- Amazon.co.jp ・本 (1ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877587222
感想・レビュー・書評
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日増しに寒さが増し、深山の紅葉は里の方にも下りてきています。ハローウィンが終わったお店では、早くもクリスマスのきらきらした雰囲気に変身。
本屋さんで見かけた一冊。題材はアンデルセンの童話”もみの木”なのですが、素敵なイラストに魅かれてしまいました。
Sanna Annukkaはフィンランドの母親と、イングランドの父親を持ち、小さいころからラプランドの自然の中、ベリーを摘み、野生のサーモンを捕まえて過ごしていたという。
幾何学的なデザインのモチーフはラプランドの自然。落ち着いた大地のトーンもあれば、華やかな色合いの動植物のデザインもあります。テキスタイルデザイナーとして、Marimeccoのブランドにも提供しているようです。
とてもきれいなクリスマス絵本。さてどなたにプレゼントしようかとわくわくしています。
Sannna AnnukkaのHPは以下
http://www.sanna-annukka.com/詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
なんといっても本書は、サンナ・アンヌッカの幾何学的な絵。表紙だけでも、いつまでも眺めていたい。Marimekkoのデザイナーとして活躍している人。
プレゼントに最適!と言いたいところだけど、このアンデルセンの「モミの木」の物語を知らない人が初めて読んだら、ちょっとさびしくてびっくりするかもしれない。
というのも、森に生えているモミの木が長じて切り倒され、クリスマスツリーになり、用が済んだら屋根裏に捨て置かれ、ふたたび外に出られたと思ったら薪にされ、燃えて灰になる。しかもモミの木は終始過去をなつかしみ、今を受け入れられないでいる。
まるで、後悔しながら人生を送った人の一生を見るようである。「お話は、どれもこうして、おわるんですよ」
これが最後の1文だ。
私はこういうちょっと後味の悪い話が嫌いではない(笑)
ともあれこの物語は、灰になるとはいえ、それまでの過程のかけがえのなさを教えてくれる。
クリスマスツリーになって飾り立てられること。それもまた、一生のハイライトであるかのように美しく描かれている。
また、失われたものこそが美をまとうということも。 -
クリスマスツリーになったモミの木の一生。
誰かを羡ましがったり、ここではないどこかを夢見がちな時ってあると思う。だけど、今このときが一番素敵だったと思えるように生きようと思えた。
装丁が美しい。 -
なぜ、自分は、いつもここではないどこか、今ではない時ばかりを求めて、今その時今いるその場所を大切にしてこなかったんだろう、という強烈な後悔、反省。失ってからその価値に気づく愚かさ。そして、それが人生だという真理。響いた。