- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877587550
作品紹介・あらすじ
ジャーナリスト・佐々木俊尚が示す、今とこれからを、「ゆるゆる」と生きるための羅針盤。
感想・レビュー・書評
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21世紀になって新しいマインド、暮し方が変わってきました。
大衆消費社会の中で盛り上がり、お金持ちを目指す「上へ、上へ」という上昇志向。
大衆消費社会を蔑視し、反逆クールを気どる「外へ、外へ」というアウトサイダー。
そして次にきてるのが、所有するものを減らし、快適な動きやすい衣類を身にまとい、身軽に移動し、世界とダイレクトにつながるような裸の感覚を持つこと。その上で、わたしたち自身がじかに他者や都市とつながり、内外を隔てない開かれた共同体概念をつくっていくこと。つまりは「横へ、横へ」というネットワーク思考です。
ノームコアと、「普通という中核」という意味の言葉があるように。生き方そのものが、独自であることがカッコいいというスタイルを超越して「皆と同じ」というスタイルが逆に新しいのです。今私たちは自由です、だから自分で帰属する共同体を探し求めなければなりました。
あと20年ほどの人生。「孤独ではない自由」を求めて、他人との新しいつながりをみつけたいものですな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みたい理由:事例の企業たちが最近きちんと売り上げをあげているかつ好きな企業群だったので。暮らしと仕事と自分の立ち位置のちょうどよい距離感をつかむきっかけになるかもと期待。
読み終えてみて:
新しい感覚を言語化してくれていてとてもよかった。佐々木さんの発信追いかけていきたい。
横、文化、心地よさみたいなものがキーワードなんだろうなあ。
◆第一章 気持ちいい暮らしに憧れるということ
・オーガニックが美味しい理由p31
野菜のおいしさは栽培時期、品種、鮮度の3つの要素できまる。
オーガニック栽培にとりくんでいる農家の人たちは美味しい野菜をつくりたいと心がけ、消費者の安心や安全を求める願いに答えようとしているから、結果として美味しい。
結露なは同じだけど因果関係が違う。
・アウトサイダーとしてのエリート意識p37
アウトサイダーとして「大衆は理解していない真実を自分だけはが理解している」と優位に立つことが必要
→自分が感じていた6次産業への違和感はここ。最近でこそ、儲けも考えてビジネスしてるとこも増えてきたけどまだまだこの考え方がぬけてないとおもう。
・ていねいな暮らしp48
21cの人々は叛逆エリートになりたがってはいない。安心や安全は大切だけれどそれほど手間ひまはかけずにごく普通の日常生活の中で保っていけるような、シンプルでクリーンな食生活。
└米 クリーンイーティングの7つの要素(以下に要素あり)というよりももっとゆたからイメージがあるはず。
https://www.excite.co.jp/news/article/Beauty_co_007022/
→とっても共感する。
└『かもめ食堂』の食の意味
・非日常ではなく健全で飾り気のない日常が大切
・シンブルで素朴
・人生にはいろんな困難がある、そんな時はまず美味しい料理をみんなで食べて語り合おう。
☆前から知ってはいたけど佐々木さんがこの分野の興味をもつようになったきっかけが知りたい。お料理だったり好きな映画、本の考え方が紹介されていてとっても面白い!
◆第二章 ともに物語をつむぎ、ゆるゆる生きる
・少量多品種(成城石井)p130
一部のお店だけでいい、つくれる量でいいこの時期だけでいい、とバイヤーは生産者にお願いする。効率が悪く、手間もかかりますが、こうしなければほんとうに美味しいものを手に入れられないという考え方。そしてこういうやり方をすることで生産者が別の生産者を紹介しれくれるという出会いがつらなっていき、さらに良いものが仕入れられるようになっていく。
→画期的…!
・ささやかな特別感にこたえる品揃えp132
成城石井は客層を決めていない。美味しいものを食べたというのは男女別も年齢もないと思う。ちょっと疲れたときにほっこりと食事を楽しみたいと思うでしょう。そういう時に成城石井にきていただけるというのがいいんです
・成城石井が考える第三の道
美味しいこと
品質がいいこと
パフォーマンスがいいこと(コスパ)
あくまでも心地の良さを実現するため、日常の延長線の上にある買い物。エリート意識はなく原理主義には走らない。気負いなく、過剰にもならず、今のこの瞬間をたのしめるようにすること。
・いまこの瞬間を楽しむ手助けp140
どのような行為にマインドフルネスを感じるのかというのは人によって異なります。ある人にとっては気持ちいいことでも他の人にはめんどうごとに感じる。
オイシックスや成城石井のような企業はめんどうをできるだけ取りのぞいて自分の好きなことだけに集中することを促している。
→音楽をきくとき、外をあるくとき、綺麗な草木をみるとき、素敵なたてものをみるとき、美味しいたべものをたべるとき。その瞬間に浸りやすい。
◆第三章 開かれたネットワークと「街で暮らす」
・この道具がないと料理ができないと思ってしまうと逆に面倒になる。道具に囚われてしまって不自由になるのはおおいなる矛盾(なのでなくてもいいように元のものを減らす)
・この人とつきあうと楽しい、友人になりたい
・ごく当たり前の家庭料理をつくってだしてくれる居酒屋
・相手は自分の所有物ではなく、自分の知らないオープンな人間関係を外に広げている存在なのだと認める「ゆるゆる」が必要。
・厳密なルールはつくらずその場その場で意見を聞きながら進めていくというやり方が日本人には向いている
・きびしい自給自足と閉鎖的な人間関係で自己完結するのではなく、外部を利用し外部と関わることで生まれる心地よさ
・百パーセント賛成、百パーセント賛成ではないが意見はない(納得している)、百パーセント賛成ではないので意見をいいたい、質問あり、反対、全く議論を認めない(コレクティブハウス聖蹟での議論の仕方)
◆第四章 すべては共同体へと向かう
・ショールーミング(お店をショールームがわりにする)、O2O(オンラインからオフライン)
・いまのウェブのUIは対面型p278
歴史上は人間と道具は同じ方向を見ているのが主流(くわ、鉛筆、箸、刀)一方、対面型のものは表示部分があるもの(そろばん、磁石、上記)
自分と離れたところにおいて目で見なければならないから体を一体化しにくい。スマホもいずれは同方向型に行こうしていくのではないか。(ウエラブルデバイスなど)
→自分にとってはかなり新しくてやばい発想だった。もっと深く知りたい…。
・p345
ゆるゆるとめんどうごとをとりのぞいて最後に残る自分の好きなことに心を傾け意識を集中する
例として料理。 -
三拠点で軽やかに生活している佐々木さん。ご夫婦それぞれ自立して、やりたいことを満喫している様子。私にとっては、自然体の生き方に思える。内容が、自分がここ数年で考えてきたようなことばかり。彼らのように、移動しながら自分のやるべきことを、どこでもだれとでもしていける状態を作っていきたい。
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ノームコア(普通の中核)
p338
個性的であろうとすればするほど世の中には個性的な人だらけになって逆に目立たなくなってしまうと言う矛盾
全員が灰色の制服を着ている中で1人だけ真っ赤な私服を着ていれば目立ちますが、全員がめいめいに派手な原色の服を着ていたら、その中で真っ赤な服を着ていてもまったく目立ちませんよね。
この状況を先程の文章「ユースモード」はマスインディーと言う言葉で表現しました。個性的であること、独自であることが、マス(大衆)になってしまうのだという意味です。
「ユースモード」はこうも書いています。「誰になるか( become someone)ではなく誰かと一緒にいること(to be with anyone)なのだ」 -
暮らしについて、最近自分が考えたり悩んだりしている事を鮮やかに言語化してくれています。心地よかったな。
まず、この人は本当は女の人じゃないの?!と作者を二度見して検索かける程に「暮らし」について真剣に向き合い、お料理をして、まあエリートさんなんですが、なるべくフラットな目線で考えていこうと頑張っていらっしゃる訳です。ただ、ゆるゆると繋がり合う仕組みは、口で言う程簡単じゃないし、サイハテのチコさんの言う自律的に動くという事は長きに渡り封建制度の元に生きている日本人には、物凄くハードモードな生き方なんですよね。
でも、新しい生き方を模索して確立した方の話は本当に面白いし、この災害の多い閉鎖的な島国で生きている私達はぼんやり生きていては駄目だし、自分のアタマで考え抜いて生きているのかな?って時々自分に駄目出ししときたいよねって。
うん。そんな本だね。新しい暮らし方を考える本。 -
本書のテーマは「上へ、上へ」や「外へ、外へ」から、「横へ、横へ」という価値観の変化。内容としてじゃ大きく、「これからは有用性より体験や物語への共感を重視」「多拠点生活による共同体のあり方の進化」「テクノロジーによる個人と場所のメディア化」といったあたり。
オイシックスを中心に、新しい生き方や働き方に挑戦する人たちの事例を通して“ていねいな暮らし”について語られる。(閑話休題でおすすめレシピも紹介)
著者は、自分に都合のよい情報しか信じない「エリート主義」や、人と違うことをしたいとだけ思う「反逆クール」に対して悲観的である。 -
出世を目指す「上へ上へ」という生き方、それを傍から眺めつつ自分は違うんだぞと気取る「外へ外へ」という生き方。この二つの生き方がこれまでの社会では主流であり、いずれもが結局は消費につながり、日本の成長をも結果的に支えてきた。しかし少子高齢化が進み、成長が困難なこれからの時代は「横へ横へ」と人々、社会と緩やかにつながりながら生きていくことが重要になる。ネットで繋がりつつ、その上に、食や農業、様々な趣味をベースにしたリアルな繋がりが形成される社会。確かに居心地がよさそうだ。
だが、普通に企業社会で生き、給与で生活し、都会で子育てをしている私のような世代の人間が、こういう生き方にシフトするのは簡単なことではないのも事実。生活をグレードダウンして地方に住む?本書で紹介されている事例はどれも興味深いのだが、できれば、こういう人間がいかにして「横へ横へ」の繋がりの中で生きていけるのかも、今後紹介いただきたいです。(自分で試行錯誤せよ、ということなのかもしれませんが(笑)) -
『キュレーションの時代』のときも感じたけど、佐々木さんは時代の空気みたいなものを切り取るのが上手いと思う。
いまの気分にとてもしっくりくるし、横のネットワークは自分を救う糧になる。これからは血縁ではなく、赤の他人と支え合う時代になる。家のために個人を犠牲にするのではなく、個人として最善を尽くして、生計をたて、慎ましく健康にすごしていけたらと思う。 -
オイシックスの話あり。日々の暮らしを丁寧に。あらためて目標としたい。