検証・免田事件

制作 : 熊本日日新聞社 
  • 現代人文社 (2009年7月8日発売)
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  • Amazon.co.jp (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784877984182

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  • BOXという、袴田巌死刑囚に関する映画を見てから、気になることがあって読んだ本。
    気になる点とは、あの映画に描かれていることは特殊ではないのかというところ。
    日本で初めて、死刑囚から、無罪の身になったのが免田さんだ。34年間を国家に奪われ、自由もなく生きてきた。刑事補償は一億に近い額だが、それで彼の34年が償えるのかといえばそんなことはないように思う。この事件はまだ、免田さんに死刑が執行されず、存命だったからまだまし(この表現が適切だとは思えないが比較の上で)なものの、後に冤罪と分かったが、その時冤罪被害者はすでに亡くなっているケースなどもある。
    人が人を裁くからこそ間違いがある。その前提をもとに、推定無罪・疑わしきは被告人の利益になどの原則がある。それにもかかわらず、裁判所は最後のチェック機関としての役割と全うしているかといえばそうではない。警察検察も見込みからの自白に頼ることもある。取り調べ過程は密室だからやりたい放題である。メディアも警察発表を鵜呑みにし、逮捕段階ですでに犯人だといわんばかりの報道ぶり。そして、国民もそんな問題だらけの司法の制度には目を向けず、被害者の側だけに立ちメディアに加勢し、そしてこの冤罪がどう作られて、冤罪被害者にいつでも自分がなりうるという当事者意識が抜けている。
    そんな、冤罪という問題にかかわるすべての立場の人にとっての反省がこの本にはある。当事者意識が抜けているなどと大見得を切った私だが、実際、この本を読むまで司法制度が生み出す冤罪という問題などに対しては全く知らなかったし、興味がわいていなかった。
    しかし、だれもが自白偏重という流れの中、それを生み出す制度が整っているこの日本の司法制度の中では冤罪被害者となりうる可能性がある。ちなみに免田さんが逮捕されたのは、23歳の時で私たち大学生とそう年の変わらない時である。今、逮捕されて、向こう三十年ほどをやってもいないものの死刑の恐怖にさらされ続けることを思うととても正気ではいられない。
    これを機に、死刑廃止に方向転換した。

  • 冤罪で死刑囚にさせられ、常に死の恐怖に苛まれながら、23歳の若者が36年6カ月も牢獄に入れられて、アラカンになる少し前に無罪になって解放された。

    殺人者に仕立て上げられ罪をなすりつけられ、誰も味わったことのない屈辱と自由を奪われ監獄に入ることを強制された免田栄さんが、たとえ死刑判決後の31年7か月分の9,071万2,800円の補償金を受け取ったとしても、半分以上を弁護団や支援団体への謝礼に当てたこと、いや、そんなことより、普通に働いている人が受け取ることができる年金を拘留によって不可能にされた、そのことの配慮が何もなされていないことを、恥ずかしながら、つい先日、NHKの再放送の番組『裁判員へ・・・元死刑囚・免田栄の旅』というドキュメントで知りました。

    ほとんど人生をメチャメチャにするでっち上げ・偽証をして、不当にも死刑という有罪判決を下した警察・検察・裁判官たちが、罰を受けないで何も制裁を受けないで、のうのうと平気な顔をして生き永らえることができるのも理不尽な話ですが、最低限、せめて当の冤罪を味わった本人にその代償として後半生なんのわずらわしさもないように十二分な補償をするのが人の途であるはずです。

    笑い語らい青春を謳歌する時代も、仕事や人とのつながりで充実した感情と満足を体験する当たり前の時間も、根こそぎ奪われた36年6カ月という歳月はもう絶対に戻って来ないのに、ただ単純に法定計算でお金を支払えばいいってもんじゃないでしょう。

    それに、何ですって、今の制度では裁判で無罪にすると裁判官の出世の妨げになる、有罪にしてこそ順調に出世する、なんてことを最近の痴漢冤罪事件にからめて今日のテレビでコメンテーターが言ってましたけど、バッカじゃない、信じられない、何という破廉恥な因襲がまかり通っていることか。 

    恥を知れ、恥を!
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