- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784877986612
作品紹介・あらすじ
「人権」は法的な問題と捉えられがちであるが、はたしてそうだろうか。実は、人権に関する最も重要な問題のいくつかは、法的分析によって答えることができない。むしろ、哲学や社会科学のほうが答えを見出すのにふさわしいことがある。学際的な観点で人権に光を当ててみる。
感想・レビュー・書評
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原題:Human Rights: An Interdisciplinary Approach (2nd Edition)
著者:Michael Freeman
<https://www1.essex.ac.uk/government/staff/profile.aspx?ID=228>
監訳者:髙橋宗瑠
訳者:大内勇也[5章、7章担当]
鈴木 悠[3章、6章担当]
樋川和子[2章、4章担当]
藤田早苗[8章、謝辞担当]
松下千津[1章、9章担当]
【書誌情報】
価格:2,800円+税
出版年月日:2016/12/25
ISBN:9784877986612
A5 240ページ
「人権」は法的な問題と捉えられがちであるが、はたしてそうだろうか。実は、人権に関する最も重要な問題のいくつかは、法的分析によって答えることができない。むしろ、哲学や社会科学のほうが答えを見出すのにふさわしいことがある。学際的な観点で人権に光を当ててみる。
<http://www.genjin.jp/smp/book/b278618.html>
【目次】
第2版はしがき(マイケル・フリーマン エセックス大学 2010年9月) [ii-iv]
謝辞(マイケル・フリーマン エセックス大学 2002年2月) [v]
翻訳者はしがき(2016年10月 髙橋宗瑠) [vi-ix]
目次 [x-xii]
1 はじめに――人権を考える 002
現実 002
概念 007
社会科学 009
人権法を超えて 011
結論 014
2 起源――自然権の盛衰 016
なぜ歴史か 016
権利と専制君主 017
正義と権利 018
自然権 021
革命の時代 027
自然権の衰退 032
3 1945年以降――権利の新たな時代 037
国連及び人権の復活 037
世界人権宣言 039
理論から実践へ 046
冷戦/冷戦後/9.11とその後
結論 057
4 人権理論 060
なぜ理論をみるのか 060
人権理論 065
権利/正当化/具体化/民主制/その他の価値/義務と負担/権利間の対立/人権に対する異論
結論 083
5 社会科学の役割 087
イントロダクション――人権と社会科学 087
法学の優越とその批判 088
政治学 096
社会学 102
社会心理学 105
人類学 106
国際関係論 108
結論 114
6 普遍性、多様性及び差異性――文化と人権 116
文化帝国主義の問題 116
文化相対主義 123
少数者の権利 129
先住民族 136
民族自決権 139
女性の権利 142
児童の権利 146
性的少数者 149
7 人権をめぐる政治 152
人権をめぐるリアル・ポリティクス 152
ブーメラン理論 155
人権をめぐる国内政治 158
人権侵害を説明する――計量的アプローチ 159
世界政治におけるNGO 163
結論 169
8 グローバリゼーション、開発、貧困――経済と人権 171
グローバリゼーション 171
世界的な貧困と不平等 172
経済的及び社会的権利 173
発展 177
発展の権利 178
発展の原因 179
貿易と投資 182
企業 184
国際的な金融機関 187
気候変動 190
グローバル・ジャスティス――地球規模の社会正義 193
結論 195
9 21世紀の人権 196
歴史の教訓 196
人権への反論 201
人権法を超えて 201
終わりに 204
参考文献 [207-221]
索引 [222-226]
【抜き書き】
□イントロとして本書4頁から、〈概念〉のおはなし。
“残虐な出来事はあまりにも厳然たる現実だけれども、「人権」というのはひとつの概念である。人権は、現実について考えるための、そしてその考えを表現するための手段となってくれる。”
□次に、上の文章に続く箇所。かなり読みにくいが、本書のコアのひとつ。
“私たちが人権について語られることを理解したいと思うならば、その概念を分析してみることが必要である。しかし、ダルフールの人々のような話を聞いたときに、自分の概念を分析してはっきりと明確で筋を通ったものにするよりも、同情心をもって反応するほうがよっぽど簡単ではないか。我々が概念を理解するということは、もともと哲学の分野における概念解析が目的とするところである。「人権」の概念は、しかし、この学問分野に挑戦することになる。というのは、概念というものは抽象的であり、概念解析とは抽象的な学問分野であるから、実際の人間の経験とはかけ離れたものと感じられてしまうからだ。人権という概念の分析は、実際の人間の経験に対して同情をもって理解をすることなくしてはなしえない。そういう人間的な経験をこそ、人権の概念は指し示しているのである。”
Mandarine流に噛み砕くと:
【人権概念は、他の概念一般とは異なり、同情のような心情的な要素の比重が大きい。人権をより理解したり整合性を高めるには、哲学的な分析が必要になる。しかし、その際に抽象的な作業に終止してしまうと、心情的な要素が失われてしまう。】詳細をみるコメント0件をすべて表示