PIECES 3 WILD WET QUEST

著者 : 士郎正宗

• 青心社 (2010年8月1日発売)

感想・レビュー・書評

[banbeeさんの感想 · 2010年8月18日]

　私は士郎正宗氏の描くボディラインや表情は好きなので、迷うことなく購入したが、絶賛はできない出来。
　王立女学院に通うファラ（19歳）は図書資料室で秘密の部屋を見つけ魔導書『レメゲルトニア』に導かれるように文明遺跡を訪れる。そこで彼女は目にした物は…。と、はしょりすぎですけどまあこんな感じ。フルカラーとはいえ８７ページは深い設定を語るには少ない気がする。氏の作品らしい表現もあるがあまり掘り下げた中身はない印象を受ける。なおいわゆる漫画ではなくストーリーに沿ったイラスト集という構成。しかし、1枚1枚にこだわりを感じる画集でもない。いけないと言うつもりはないが、立ち絵や背景のコピペが目に付きすぎて、手抜き感がぬぐえない。もちろん人が立ってるだけの絵を毎回描き直し、服のシワを変えることに意味があるかと言われたら、ないかもしれない。ただ、ヒエログリフの文字の書かれた背景絵がそのまま鏡像反転コピーされてるのはさすがにどうかと思った。絵はまだしも文字まで反転って気にしなさ過ぎじゃないだろうか。また拡大した絵がぼけた感じになっているのも気になった要素のひとつ。
　繰り返すがコピペが悪いとは思わない。これで作画時間やコストが削減でき早く安く作品が手に入るメリットはあると思う。また、新規に描き起こした絵が大半であることは間違いない事実であり、望むべくはもう少し目立たないように処理できないものかと思うのである。

著者プロフィール

漫画家・イラストレーター。’82年に同人誌市場にデビュー。以降主な作品として『アップルシード』シリーズ、『ドミニオン』シリーズ、『攻殻機動隊』など。アニメ家としての主な作品は『ブラックマジックＭ６６』。そのほか、ゲームや画集などさまざまな制作分野で活躍。

「2017年 『攻殻機動隊小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」