翼の贈りもの (Seishinsha SF Series)

  • 青心社
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本棚登録 : 57
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784878923814

感想・レビュー・書評

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  • 相撲のような読書でした。しっかり相手の廻しを握り締め、相手の呼吸を読み気合いを入れ続けていないと土俵から振りだされてしまいます。何度か敗北を味わいながらも、詐欺的見せ物師を描いた「ジョン・ソルト」が一応理解できたように思います。箱の中で人を切るような真似をして成功しなかったのです。最初から芝居なのですが、望んではいない望んだ結果になってしまい、即座に「罰が当たった」と悟ります。なんだか作者に妖怪というか、異生物の要素を感じます。闇設定なのにメルヘンぽいのが、トッキュウジャーのグリッタ嬢を思い出しました。

  • さっぱり分からない?

  • 11篇収録。

    辛辣・・・

    好きだったのは
    「だれかがくれた翼の贈りもの」
    「最後の天文学者」
    「雨降る日のハリカルナッソス」
    「マルタ」
    「優雅な日々と宮殿」

  • 『昔には帰れない』が出版され一部で盛り上がりをみせているラファティ。積んでいたちょっと前の短篇集を読了
    「だれかがくれた翼の贈りもの」 イニシエーションをテーマにした痛く切ない傑作。
    「最後の天文学者」 天文学が意味を失ない過去のものとなった世界。どことなくマジック・リアリズムっぽい。
    「なつかしきゴールデンゲイト」 「みにくい海」といいラファティは酒場でピアノを弾く女性が好きなのかな。
    「雨降る日のハリカルナッソス」 ソクラテスの知られざるエピソード。これ楽しい。
    「片目のマネシツグミ」 変わり者の科学者が取り組む前代未聞のプロジェクトとは。これはSFミステリじゃないですか。こういう技も持ってたか―。
    「ケイシィ・マシン」<全てが分かる>機械の話。さっぱり分からないんで数回読み直した(いや洒落じゃなくて)。で、どんな機械かはやっぱり分からないのだが、話としては「最後の審判系形而上学SF?」頭が爆発しそうな作品で、分かんないんだけどたぶん大傑作(笑)。
    「マルタ」 一転これは聖女をテーマにしたユーモアたっぷりの逸話といったところ。登場人物たちに土着的といってもいい存在感があるのがいい。
    「優雅な日々と宮殿」一種の超人テーマ、なのか?「専門化した人間が九人いれば、一人の十全人間がすることは、ほぼすべてこなせる」あれ?じゃヒーローものなんて意味ないってこと?(笑)
    「ジョン・ソルト」 これはキリスト教色が強いかな。なかなか難しい。
    「深色ガラスの物語 地球史スケールで描かれるステンドグラスの歴史。色鮮やかな一篇。
    「ユニークで斬新な発明の数々」 自己回帰理論がすごい。これまた「ケイシィ・マシン」をこえるスケールのでかさ(話はこっちの方が分かりやすい)。こんなひどいハッピーエンドもなかなかあるもんじゃないな(笑)。

    ラファティはおそらく「九百人のお祖母さん」が分かりやす過ぎたために
    多少誤解されている気がするが、それにしてもこの本は歯応えがありまた意外性という意味でも予想をこえた内容だった。。とにかくいえることはラファティは他のどの作家とも似ていないということだ。読む度に驚かされる稀有な作家だ。

  • SFなんだかファンタジーなんだかよくわからないお話11編。わけのわからない人を食ったようなものから、残酷さを孕んだ美しい童話のような作品まで手広い。敢えていうなら突飛な発想が共通テーマ、かな。理解しきれたとは到底言えないけど、それでもどの話もなにか心に残る作品集だった。全部良かったけど、挙げるなら雨降る日の〜、マルタあたりのしょうもないさが大ヒットだった。もっと読みたい。悪名高い九百人のお祖母さんがすごく気になる…w「まるで物語の出だしにでもなりそうな調子だな、苦虫ジョン」!

  • SF短編集。それぞれの話はシュールに感じるが、ただ絶望感のみを抱かせるのではなく、その中にでさえ幸せやユーモアが散りばめられている。趣きの違った話に飽きることはないでしょう。ただSFやファンタジーをあまり読んでない人や、それらに嫌悪感がある方には、お勧めはしない。内容を読み解くには幾分か時間を要するからと思うから。
    「だれかがくれた翼の贈りもの」「最後の天文学者」「なつかしきゴールデンゲイト」「雨降る日のハリカルナッソス」「片目のマネシツグミ」「ケイシィ・マシン」「マルタ」「優雅な日々と宮殿」「ジョン・ソルト」「深色ガラスの物語」「ユニークで斬新な発明の数々」

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