ことばの食卓

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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784878931079

感想・レビュー・書評

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  •  武田さんのことは、前に「グレーテルのかまど」で見て以来、知ってはいたんだけれど、初めて読みました。
     淡々とした文章なんだけれど、惹き込まれる。
     無駄にテンションが浮き沈みしないところがいい。
     そんな中で、「花の下」の雰囲気も好き。

  • 滋味深い文章の一つの特徴に、再帰のサイクルの潔い寸断、があるように思う。考えて書く、その考えを検閲する自意識の不在。軽やかで奔放な筆運びはそうした検閲する自意識の不在がもたらすのではなかろうか、こんな風に書きたいものだなあ、と思いながら味わった。

  • ある雑誌で角田光代さんが推薦していた一冊です。

    最初の数編を読んだときは、なんとなく生々しさが際立っていて
    「うーん…」という状態。

    でも、海辺の避暑地での兵隊さんとのやりとりからなる一編を読んだときに、
    その光景と空気がすっと目に浮かびました。

    まるで短編映画を見ているかのように。

    少し、きつすぎるんじゃないかと思うくらいに癖のある、
    細やかな描写は、このためにあったんだ、と思い至りました。

    生々しさは、生きている証。

    私もこうして、生きて行きたい。

    生きていることは、五感の全てをフルに使い切ること。
    特に竹田さんの作品では、嗅覚が強く働いているように思います。

  • 画・野中ユリ

    題名の『ことばの食卓』から、なんとなくいろいろな食べもののことが書かれているのかと思って読み始めた。
    もちろん食べもののことも書かれているが、それだけではない。
    ≪食卓≫というのは、人間が生きてゆくためになくてはならない≪食べる≫ということのためにある場所であり、どこよりも気取らずに過ごせる場所でもあるのだと思う。

    14の小さな物語が、食卓にのせられ、強ばりのない語り口で語られるのに耳を澄ませると、こちらまでほっとからだの強ばりをほどいて寛げるような気がする。

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著者プロフィール

武田百合子
一九二五(大正一四)年、神奈川県横浜市生まれ。旧制高女卒業。五一年、作家の武田泰淳と結婚。取材旅行の運転や口述筆記など、夫の仕事を助けた。七七年、夫の没後に発表した『富士日記』により、田村俊子賞を、七九年、『犬が星見た――ロシア旅行』で、読売文学賞を受賞。他の作品に、『ことばの食卓』『遊覧日記』『日日雑記』『あの頃――単行本未収録エッセイ集』がある。九三(平成五)年死去。

「2023年 『日日雑記 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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