1941年。パリの尋ね人

制作 : Patrick Modiano  白井 成雄 
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784878933073

感想・レビュー・書評

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  • ナチス占領下のパリで、新聞に掲載された尋人広告。ここから全てが始まり、ユダヤ人少女の足あとをモディアノが追跡するノンフィクション。その簡潔な筆致が、ものごとの本質を余すところなく伝え、深い印象を残していきます。

  • 1988年に占領下のパリの新聞<尋ね人>欄で偶然見つけたユダヤ少女の足跡を追って10年の歳月をかけて調査し執筆した本書は、まさにこのノーベル賞受賞作家が語る<透視能力>の天分(P.65)がいかんなく発揮された作品。
    なんとなく、この少女のことが気になり始めて調査をはじめて、彼女が一時預けられていた聖心マリア会寄宿学校をつきとめ、その場所がまさにヴィクトル・ユゴーの「レミゼラブル」でコゼットとジャンヴァルジャンが身を潜めた場所と一致したり、不思議な縁(えにし)がそこここに登場する。
    自分の生い立ちとオーバーラップさせ、当時ユダヤ人が置かれた過酷な状況を、今のパリの街を歩きながら振り返る、なんとも辛い、でも記録として残しておくべき貴重な作品。
    なかなか少女の足跡が辿れず、フィクションの世界に逃げ込んで書き上げたという「新婚旅行」と、デビュー作「エトワール広場」を次に読みたい。(と思ったが、まだ翻訳されていない?ノーベル賞受賞を機に翻訳本が出ることを期待したい)

著者プロフィール

1968年、La place de l'étoile でデビュー。1978年、ゴンクール賞(Rue des boutiques obscures)、1996年、フランス文学大賞(全作品)等々。2014年、ノーベル文学賞。「その記憶の芸術で、彼は人間のもっとも捉え難い運命の全てを呼び起こし、またナチス占領期の世界を明るみに出した」と評価される。邦訳に『パリ環状通り』(講談社)、『暗いブティック通り』(講談社/白水社)、『ある青春』(白水社)、『カトリーヌとパパ』(講談社)、『イヴォンヌの香り』(集英社)、『サーカスが通る』(集英社)、『いやなことは後まわし』(パロル舎/キノブックス)、『1941 年。パリの尋ね人』(作品社)、『廃虚に咲く花』(パロル舎/キノブックス)、『八月の日曜日』(水声社)、『さびしい宝石』(作品社)、『失われた時のカフェで』(作品社)等。1945 年、オー‐ド‐セーヌ県、パリ西部に隣接するブローニュ‐ビヤンクール生まれ。

「2015年 『迷子たちの街』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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