キュ-バ、愛!: ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブと音楽揺籃の地への旅

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784878933653

作品紹介・あらすじ

93歳までつづく「愛」の人生と音楽。『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の音楽家との出会い、さらに著書は、「キューバ音楽揺籃の地」といわれるサンティアゴ・デ・クーバにまで誘われることになる。実際のキューバ、そして実際に会ったキューバの音楽家たちが与えてくれたものは、著者をこのうえなく幸せにした。人に何かを与える音楽家といえども、会っただけでこれほど心豊かにしてくれる人たち、また音楽の現場を、ほかに知らない。その余韻はいまだに長く尾を引いて、心に留まっている。その大きさと深さをどのくらい伝えられるのだろうか。今、著書は、そのあまりの豊かさの前に、立ちつくしてしまいそうだ。

感想・レビュー・書評

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  • この本を読む前に、まずiTunesで『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』をダウンロードし3回聴いたあと、映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』を鑑賞、これを3回繰り返し、どっぷりキューバ・ミュージックにハマったあとに本書を読むことをおススメする(既に実施済であれば失礼!)。

    本作は『ブエナ~』好きが昂じて著者の板垣氏がIbrahim FerrerやOmara Portuondoらアーティスを訪問した記録である。著者のファン感が強すぎで客観性がやや置いてけぼりで熱量にもやや気後れしてしまうが、『ブエナ~』が好きな人は音楽や映画の周りにある人物や文化の背景、映画の後日談的な意味合いで楽しめると思う。

  •  少し古い本だけど、あの『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(BVSC)のメンバーと会って、じっくりと彼らの人生訓やキューバ愛を直に語ってもらった貴重な一冊。
     当時、BVSCは、流行りもの、一時のファッションとして耳にしていた程度だったので、改めてキューバ音楽の成り立ちや、それを奏でる人々の背景が分かってためになります。

     当然、キューバ革命を過ごしてきた人々なので(あの頃、そんな意識すらなく聴いていたなあ)、そうした激動の時代を経た彼らの今、音楽の変遷が非常に興味深い。イブライム・フェレールのこんな発言も生々しい。

    「私は革命の支持派だった。けっして実際の活動をしていたわけではなかったけれど、危険分子として目を付けられたために、町にはいられなくなってしまったのだよ。」

     しかし、あの革命があってこそキューバ音楽の後の隆盛もあったようで、革命新政府による、民族意識の高揚のため伝統的なキューバ音楽の見直しが行われたことも、今となっては幸いしたということか。
     こうして、もしかしたらサンティアゴのローカルな音楽だったかもしれないソンは首都ハバナを経てBVSCの活躍を通し、世界的な知名度を獲得していく。とはいえ、サンティアゴから発祥したソンが時代を経て首都ハバナに伝わりどうなったかを、エリアデス・オチョアはこう語る。

    「ウーン、ソンはハバナまで旅して・・・・、疲れちゃったみたいだ。」

     こんな半ば冗談めかした発言も、キューバ人ならではなのだろう。全編通じて脱力ほっこりなところが、なんともキューバだ。
     イブライムにオマーラ、ピオ・レイバ、多くのミュージシャンが期せずして、楽しく生きるコツとして、「生きていることに感謝すること」という。なんとも自然体な彼らの生き様ではないだろうか。著者は”キューバの生き方辞典にでも載せたくなる”と記す。

     キューバ革命とキューバ音楽、ソンの歴史、あるいはメイヤー・ランスキーの右腕だった男の話など、内容は多岐にわたって面白い。
     巻末の100作余りのCD紹介欄もデータベースとして貴重だ。

     改めてBVSCの音楽を聴きながら、じっくり読み返してみたくもなる一冊だった。

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著者プロフィール

Mariko Itagaki.
いたがき まりこ
写真家、文筆家。
1982年、ジャズの音楽家を撮影することで写真の世界に入る。
パット・メセニー、キース・ジャレットのカレンダーなどを
手がける。
1984年、西アフリカ、ナイジェリアの音楽に触れたことで
アフリカ行きを決意。
翌85年から、ナイジェリア一周を始め
東西南北のアフリカへ通い始める。
ナイジェリア西部ヨルバの神々が大西洋を渡り
「新しい土地」で根付いていることを知り、
それに会うために1988年からブラジル通い。
北部バイーア地方に長期滞在。
後、1998年からキューバに通い始める。
2015年から3年半を超えて住み、現在も通い続ける。
キューバに関する著書は、
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ全員のインタビュー
『キューバ、愛!  ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブと
音楽揺籃の地への旅』(作品社、2000年)、
『キューバ、甘い路上』(フィールドワイ、2002年)、
『キューバへ行きたい  とんぼの本』(新潮社、2011年)
がある。その他の写真集、紀行エッセイなどの著書に、
彩流社からは
『スプーン曲げに夢中   SPOONS BEND IN ENCHANTING CURVES』
(英訳:ジョン・エリック ラトレッジ、彩流社、2005年)
があり、他、
『おいでよアフリカ  西アフリカの街と祭と女たち』
(晶文社、1990年)、
『歓喜 AYO 記憶の中の笑顔、官能の西アフリカ』
(情報センター出版局、1991年)、
『踊るカメラマン  アフリカ・ブラジル・中国の旅』
(晶文社、1993年)、
『ベトナムの人  揺らぎつづける「花と陽の国」』
(三五館、1996年)、
『魔女ランダの島・バリ  「癒しとトランスを求めて」』
(スリーエーネットワーク、1996年)、
『カーニバル・イン・ブラック   
ブラジルに渡ったアフリカの神々と祭り』(三五館、1997年)、
『バイーア・ブラック  ブラジルの中のアフリカを探して』
(トラベルジャーナル、1997年)、
『アフリカ 喜・気・樹  太陽がくれた詩と写真』
(理論社、1998年)、
『笑ってる?』(三五館、1999年)、
『虹色のこどもたち  Children in the Rainbow』
(理論社、2001年)、
『武器なき祈り  
フェラ・クティ、アフロ・ビートという名の闘い』
(三五館、 2004年)、
『アフリカン・ビューティ』(三五館、2008年)、
『ブラジル紀行   バイーア・踊る神々のカーニバル
P‐Vine BOOKs』(スペースシャワーネットワーク、2009年)
などがある。

「2018年 『キューバ・アモール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

板垣真理子の作品

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