ネグリ生政治的自伝: 帰還

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  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784878935527

作品紹介・あらすじ

「赤い旅団」から"帝国"まで。その思想的核心と波瀾の人生のすべてを、初めて赤裸々に語る。

感想・レビュー・書評

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  • いつ手に入れたのかはもう覚えていませんが、大学時代に買ったと思います。度々拾い読みしておりましたけれども、難しいのでこれまで通して読めませんでした。今回思い立って、昨日今日と2日かけて通読したのでレビューします。

    エラいしんどい目に遭っているなこの左翼のおっさん。。。殆ど冤罪で訴えられて牢屋につながれて、んで一回逃げたけどまた帰ってきたら逃げる前より罪が重くなって獄中なうですか。
    権力と公然と戦っている人の人生っていうのはこういう人生なのかと思わずにはいられません。

    この本は、アントニオ・ネグリの自伝であり、ネグリ入門でもあります、と、訳者は考えているようですが、うーん、でもやっぱり内容は難しい。。。
    「自伝」と言うには、ABCDE……とアルファベット順にキーワードを出して、その単語から思いついたこと、考えていることをネグリに語ってもらうというスタイルは奇抜過ぎます。また、翻訳した杉村先生が非常に丁寧に訳注、言葉の説明を書き加えてくれているのでネグリが書いた著書の邦訳の中では読みやすい方ですが、「入門」と言うにはちょっと。。。

    そもそも戦後イタリア史に全く通じていない私には「アウトノミア運動」も「赤い旅団」も何が何なのかよく分からない。だから、「何でこのネグリというおっさんは牢屋に入れられなければならんかったのか」、そして「なぜ一回フランスに逃げたのに、また戻ってきたのか」という肝心なところが、なかなか読めない。イタリア社会やグローバル化した国際社会に対する並々ならぬ想いというのは伝わってくるのですが……もう少し他の本も読みながら深く学んでいくことにします。

    この本の良いところは、通読すれば「ネグリの思索の歩み」が浮かび上がるとともにアルファベット順になっているおかげで「ネグリの思想辞典」のようにも使えるところでしょうか。「帝国」「マルチチュード」等、ネグリを語る上での重要タームについても手短にまとまっている感じがします。ネグリの他の著書を開きながら、この本で出てきた言葉に関して読むという読み方もいいかもしれませんね。

  •  イタリアの左派思想家アントニオ・ネグリの自伝。

     アルファベット順に言葉を選び語っていく珍しい方式でネグリの思想と今までの人生を語っていく。難解なネグリの本の中にあってこの本は比較的読みやすく、ネグリの人生とイタリアの近代の歴史についても知ることができる。
     テロの首謀者の誤解を受け、一方では組織から命を狙われ、収監された後に亡命し、母国に帰り再び投獄されるなど、ネグリの人生は刺激的だ。

     世界中でデモから革命が起き日本でも大規模なデモが行われるようになった現在、ネグリの語る言葉の重要性はとても増していると思う。

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著者プロフィール

1933年イタリアのパドヴァに生まれる。マルクスやスピノザの研究で世界的に知られる政治哲学者。元パドヴァ大学政治社会科学研究所教授。 早くから労働運動の理論と実践にかかわる。79年、運動に対する弾圧が高まるなか、テロリストという嫌疑をかけられ逮捕・投獄される。83年にフランスに亡命。以後14年間にわたりパリ第8大学などで研究・教育活動に携わったのち、97年7月、イタリアに帰国し、ローマ郊外のレビッビア監獄に収監される。現在、仮釈放中。 邦訳に『構成的権力』『未来への帰還』『転覆の政治学』等がある。

「2003年 『〈帝国〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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