韓国:倫理崩壊1998‐2008―社会を蝕む集団利己主義の実情

著者 :
制作 : 呉 善花 
  • 三交社
3.45
  • (1)
  • (3)
  • (7)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 30
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879195937

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 著者は、最近日本に帰化した韓国人。彼女は、近年の韓国の倫理崩壊の根元にある問題を次のように見る。日本では、旧時代以来の共同体的な親和関係が生き残ろうとする要素と、近代的な個人主義に基づいた市民的な社会に向かおうとする要素が、互いに作用しながら発展した。この二つの要素がうまく合成されて社会を進める力となった。現代日本社会の特徴は、この旧時代的な親和関係が生き残ろうとする要素を抜きにして形成しえなかっただろう。日本の社会の良さのかなりの部分が、その伝統に負っているということである。一方、韓国の場合、その伝統社会にあったのは、共同体的な親和世界ではなく、利己的な党派主義の世界だったのである。韓国では、この利己的な党派主義が温存され、さらに個人レベルの利己主義と渾然一体となり、その利己性をいっそう拡大していった。伝統と近代という二つの要素が、マイナスに相互作用して、社会の倫理崩壊を招いていったというのである。

    韓国の倫理崩壊の具体的な姿は、「外貌重視と虚飾の文化」「虚偽と虚勢の社会習慣」など、各章の見出しを見てもかなり手厳しい。「裏返し」の日本社会論として、自らを振り返る鏡とし、これからの日本で進むかもしれない「倫理崩壊」を少しでも食い止めるために何をしなければならないか、多くのヒントを与えてくれるだろう。(再読)

全1件中 1 - 1件を表示

プロフィール

1956年、韓国・済州島に生まれる。83年に来日し、大東文化大学卒業後、東京外国語大学地域研究科修士課程(北米地域研究)修了。現在、拓殖大学国際学部教授。デビュー作『スカートの風』(角川文庫)で注目を集め、『攘夷の韓国 開国の日本』(文春文庫、第5回山本七平賞受賞)、『朴槿恵の真実』(文春新書)ほか、著書多数。

呉善花の作品

ツイートする