日本の色辞典 (染司よしおか日本の伝統色)

著者 :
  • 紫紅社
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879405494

感想・レビュー・書評

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  • 日本古来のさまざまな色を、美しい写真とその色の作り出し方とともに紹介する本。

    色を作り出す材料には、顔料と染料があるという。顔料は金属の酸化したものか硫化物、染料は水に溶けて繊維の中に入り込んでいくものをいうのだそうだ(本書巻末の「色をあらわす材料」より)。
    著者は染織家であるので、本書では、後者に重点を置いて解説している。

    非常に美しく、興味深い本である。
    赤は(夜が)「アケル」、黒は(日が)「クレル」を語源とするそうだ。
    本書では、赤系・紫系・青系・緑系・黄系・茶系・黒白系・金銀系に分け、夥しい数の色が取り上げられている。
    赤だけでも、朱色、珊瑚色、梔子色、紅梅色、柿色、紅など50種を越えるとりどりの色味がある。すごいのはその色見本を実際に染めて載せていること。
    植物染めについては、巻末の解説に少々説明されているが、材料集めから抽出、染色に至るまで、とにかく手間暇の掛かるものであることが窺える。
    その手間を掛けても、昔の人々は美しい色を作り出そうとしてきたのだな、と感心する。
    平安時代後期の鎧兜の茜染はいまだに色鮮やかで、明治に修復した際の化学染料の部分が白っぽく退色してしまっているのを見ると、古代の技術の高さに唸らされる。

    色とりどりの写真を見ているだけでも楽しいが、著者の解説がまた興味深い。
    色の元となる分子が何であるとか、媒染液に酸が入るとこのような色でアルカリだとこのような色だとか、鉄分が色にくすみを加える等、色というものを科学的に見ている。なるほど、色というのは化学反応なのだ。著者自身、染色をしているので、実践に根差し、かつ理論的にも深く考察している点が信頼できる感じがする。
    一方で、『延喜式』『万葉集』『源氏物語』などの文献を読み込み、その中に登場する色について考察している。
    古来の色に関する著者の研究姿勢を感じさせてすばらしい。
    色味については、残されていないものに関しては著者の推測が混ざっているものもあるようだが、その旨、はっきり書いているところがまた真摯だ。

    巻末の解説群も興味深かった。

    *五行思想の話がおもしろかった:木火土金水(もっかどごんすい)はそれぞれ、青赤黄白黒に対応するのだそうだ。

    *黒の中に、吉岡憲法(直綱)ゆかりの「憲法黒」(黒褐色の染め物)が取り上げられている。憲法は吉岡清十郎かとも言われる人物(但し宮本武蔵に敗れたくだりは創作である可能性が高いらしい。このあたり、なにが史実なのかはっきりしない点も多い模様)。
    私は聞きかじって、著者自身が直系の末裔なのかと思っていたのだが、どうもそういうことではないようだ。吉岡一門は、江戸時代には兵法を捨て、染色業に携わるようになった。吉岡染は非常に流行り、分家して染色業を営む家も多く、一時期、「吉岡」といえば染屋の代名詞のようなものだったのだそうだ。
    ということで、「吉岡一門のゆかりの家」というくらいが適当かと思われる。

    *本書中、特に、源氏物語への言及が多いが、源氏についてのみ取り上げた『源氏物語の色辞典』も美しい本です。

  • 美しい日本の色。眺めるだけで幸せです。

  • 2011/6/18 予約 6/21 借りて読み始める。 7/18 途中で返却

    boumamaさん のところで知った本。
    最初、ぱらぱらっと見ていたのだが、文章の面白さ・深さに はじめから きっちり読むことにしました。
    結局、黒〜灰、赤あたりを読んだけれど 全部は読めなかった。

    内容と著者は

    内容 :
    万葉から江戸時代の終わりまでの染職人が行っていた、自然の植物から日本の色を出す業をたどる。
    日本の伝統色を、自然の恵みから得た染料や顔料をもとに再現し、色名にまつわる逸話や歌、物語などにもふれた色名解説の集大成。

    著者 :
    吉岡幸雄 (よしおかさちお) とは。染色界の第一人者。京都の染司よしおか五代目当主。
    日本の伝統色の再現に半生をかけて挑んできた染織史家。紫紅社の創立者。

    URLはこちら http://www.sachio-yoshioka.com/ 『紫のゆかり 吉岡幸雄の色彩界』 : 
    京都の染司よしおか主宰、吉岡幸雄(よしおかさちお)の公式サイト。
    吉岡幸雄は日本古来の植物染 (草木染め) により日本の伝統色を現代に蘇らせることに半生をかけてきた。

  • 日本の伝統色を再現し、その成り立ちや由来とともに丁寧に解説した本。

    書かれたのは染め職人の方。随所に読みやすい工夫がなされ、難しい専門書というよりは大人の絵本みたい。

    まず、基本となる色(赤や青)についての説明があり、その後、その色の主たる伝統色の色名とその紹介が並べられる。そのひとつひとつに付いている色見本は、実際に著者の工房で製作、絹布や和紙を天然の顔料で染め再現したものだそう。すごい労力! そして最後に、近代になって色名として使われるようになったものや、外国の色についてまとめて掲載、という構成。

    知らない漢字や知らない単語が頻出するも、フルカラーで写真が豊富なので読みやすい。たとえば染料となる植物や虫、貝の写真も載せてくれていて、同じ色でもこんな違いがあるのだと原料から比較できるのは面白い。

    解説の際には源氏物語や枕草子を多用し、どの場面でどのような色が使われ、それはどのような意味合いを持っていたかなど、物語とからめ説明されるので、肌感覚で理解できる。

    古今東西の文献も多く引用しており、知識量と洞察力には舌をまくばかり。それでいて、その勢いのまま流れることもなく、「推察するしかない」「私見であるが」と断りが入るのに好感を抱いてしまう。

    なにより、著者の「色」に対する愛情と情熱が感じられるのがとても良い。文面に滲み出るその思いが専門性を和らげ、気安さを醸しているように感じる。

    色の名前が知れればいいかくらいの気持ちで手に取ったけれど、「色」から平安時代の文化、果ては世界史までに触れられる良著。

    この値段で大丈夫だったのだろうか……。

    このように情熱を傾けるものがあり、それを本にまとめあげ、なおかつ他者も楽しめるよう工夫を凝らして魅力を共有する。そんな本を作ることができれば、どれだけ素晴らしいだろう。

    そんなことまで思わせてくれる一冊でした。

  • 所有

  • 京都で染めの老舗を営む吉岡さんの本。

    日本の色名は美しいものが多い。
    その色名がどうやって付けられて、どうやって染められたのか、かつての技法で再現しながら解説してくれる。
    また、その色が過去の日本人にとってどういう意味があったのかも解説してあり、おもしろい。

  • [図書館]
    立ち読み:2012/3/1

    紙がツヤツヤで色見本が大きめなところが良い。

  • 見た目より重くてビックリした本。見たくなったら図書館で借りている。読むというより色の名前と写真を見ているだけで幸せな気持ちになる。いい加減買えばいいのかもしれない。

  • 素晴らしく美しい本です。日本人が培ってきた色への深い感性が伺えしれます。

  • 「この本持ってみて」と人に渡すとみんなびっくりする。重くて。

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著者プロフィール

1946年生まれ。染織史家。「染司よしおか」五代目当主。「植物染」を専門に、日本の伝統色の再現に取り組む。東大寺、薬師寺など寺社行事に用いられる道具や装束などを制作。平成21年京都府文化賞功労賞。平成22年日本古来の染色法による古代色の復元、寺社等の伝統行事、国文学、国宝修復など幅広い分野への貢献が認められ、第58回菊池寛賞。「日本の色辞典」「源氏物語の色辞典」「王朝のかさね色辞典」(いずれも紫紅社)「日本人の愛した色」(新潮選書)「日本の色を染める」(岩波新書)など著書多数。

「2016年 『日本の色を知る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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