王朝のかさね色辞典 (染司よしおか日本の伝統色)

著者 :
制作 : 福田 伝士  染司よしおか 
  • 紫紅社
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本棚登録 : 45
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879406033

感想・レビュー・書評

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  • 平安版フルカラー配色パターン集。観賞用に買ったのですが、実はかなり実用性も高いです。
    例えば今の時期なら、ワンピースの中に着ると少し見えるキャミソールの色選びや、カバンやサンダル等の差し色など、これまで自分では思いつかなかった配色コーデの参考になります。春夏秋冬で分類されているので、日常に伝統的な季節感を取り入れることも出来ます。

    色の組み合わせって、濃淡や見える面積の比率によってこんなにも受ける印象が違うのか、合わないと思っていた色の組み合わせがこんなに綺麗なんだ、など、色々なことに気づかせてくれたおかげでかなり幅が広がりました。

    王朝の女人たちが襟元や袖口、裾に衣をずらしてあらわした配色の妙趣である「かさね色」240パターンを和紙を染色して表現したものを掲載したこのフルカラー画集、目で楽しむにも実用にも、一冊あると便利です。

  • 『日本の色辞典』、『源氏物語の色辞典』に続く色辞典、第3弾。

    前2冊同様、著者らが染めた色の辞典である。
    この本では、布ではなく、紙を染めている。和紙は布より染まりにくく、繊維も切れやすい。が、元本としたのが『薄様色目』(1812年)という古書であり、薄様は手紙やそれを包む和紙を指すため、和紙で再現してみたとのことである。
    上記書は色刷木版が付いていて、色の保存状態もよかったそうだ。ここを手掛かりに王朝のかさね色に迫ってみたのが本書である。現代にも続く、日本人の色彩感覚のルーツを探る試みとも言える。

    『日本の色辞典』にも述べられているように、元となる色もそもそも色とりどりである。かさねはそれらを組み合わせたものなので、多種多様な色あわせが可能になる。
    色選びは「季に合いたる」が身上とされる。いかにもその季節にあったものを選ぶのが、感性が優れている証になる。
    それぞれのかさねには、春ならば「早蕨」、「牡丹」、夏ならば「若竹」、「萱草」、秋ならば「萩」、「朽葉」、冬ならば「枯野」、「松の雪」といった風雅な名が付いている。しかもかさねは同じ名前であっても幾通りもあり、同じ「紅梅」でも着る人・使う人の感性で、濃い色を用いたり、青味のある色と取り合わせたり、自由度の高いものだったようだ。

    著者はあるいは元本にしたがい、あるいは自らのこれまでの研究から、元本とは少々違う色を選び、和紙を染めている。
    そもそもは現物を多くの人に見てほしいとのことだが、手間の掛かる植物染めであり、和紙を染めたにしろ、布を染めたにしろ、高価でもあるし、大量生産が不可能でもある。次善の策としてこうした本を製作しているとのこと(この本自体もそうそうお安くはないが)。

    季節にあった色合わせを考え、色に雅な名を付け、それを染めさせ、鑑賞し、批評する。
    そんなことはやはり戦乱の世ではできないよなぁとしみじみ思う。よかれ悪しかれ、これは「暇」「ゆとり」がなければなしえないことだ。

    お正月、こんな本を眺めながら、王朝の優美を思うのもちょっとよいかもしれない。


    *「紫」と「二藍」はどちらも紫色だが、「紫」は紫根を使い、「二藍」は藍と紅の二色を混ぜたもの。「二藍」は二色を混ぜるため、赤味が勝るものから青味が勝るものまで、グラデーションがある。

著者プロフィール

1946年生まれ。染織史家。「染司よしおか」五代目当主。「植物染」を専門に、日本の伝統色の再現に取り組む。東大寺、薬師寺など寺社行事に用いられる道具や装束などを制作。平成21年京都府文化賞功労賞。平成22年日本古来の染色法による古代色の復元、寺社等の伝統行事、国文学、国宝修復など幅広い分野への貢献が認められ、第58回菊池寛賞。「日本の色辞典」「源氏物語の色辞典」「王朝のかさね色辞典」(いずれも紫紅社)「日本人の愛した色」(新潮選書)「日本の色を染める」(岩波新書)など著書多数。

「2016年 『日本の色を知る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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