えんとつと北極のシロクマ (少年写真新聞社写真絵本)

著者 :
  • 少年写真新聞社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (40ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879815729

感想・レビュー・書評

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  • 環境問題を子どもにも分かりやすく説明してくれる、写真絵本。巻末5ページは、詳しい解説。
    漢字は総ルビ。

    著者の藤原幸一さんは、生物ジャーナリスト・写真家・作家とマルチな方。野生生物の生態や環境に視点をおいて、世界中を訪れているそうで、『世界一受けたい授業』や『情熱大陸』など様々なメディアにも出演されている。

    以下感想メモ。

    氷のない日が増えると、シロクマの食料であるアザラシを捕まえられる日が減ってしまう。
    カナダのハドソン湾では、2012年には1年間で氷のない日が143日になり、これが160日になるとシロクマは生き残れないそうだ。

    農薬や水銀などによる海洋汚染・大気汚染が北極圏の生物に甚大な打撃を与えている。枯れ葉やゴミが、吹き溜まりに溜まっていくように、人類の生活圏で出された汚染物質は、北へ北へと集まっていく。
    「シロクマの体にあるPCBという「どく」を調べたところ、なんと東京湾でもっともPCBがたまっている生きものより、20倍以上も高いあたいのPCBが見つかってます」という一文には、本当に驚いた。

    裏見返しの『わたしたちがだした「どく」のゆくえ』という地図は、非常に分かりやすい。

    環境問題を学ぶ導入におすすめの一冊。

    余談。
    コロナ禍で世界的に経済活動が自粛になり、インド北部では、ここ何年も見えなかったヒマラヤ山脈がくっきりと見えた、とか、野生動物が町に繰り出す映像などがSNSでも話題になった。
    人類にとっての厄災は、地球環境にとっては幸いなのか…と環境にとって人類がもはや「どく」になっている事実に辿り着いてしまう。しかし、両者がバランスを取れる道を、どうにか見出してほしい、と無責任にも願ってしまう。2020.5.6

  • 図書館で子どもが選んで借り。

    で、読み。
    北極に暮らすシロクマを通じて、地球温暖化・環境問題に警鐘を鳴らす、という趣旨の本。

    うーん、いろんな立場から読むことができる本ではあるけれど、うーん。子どもとこの本について話し合うのは難しいなあ、と思った。
    悲しい結末を迎える動物たちのことを考えると読んでていたたまれない気持ちにもなるし、「どく」という抽象的な言葉(大人向けのページにはちゃんと解説があるけど)にむずむずくるものもあるし。享受している便利さ・快適さについてもちゃんと説明しないといけないし。
    難しいなあ、と思った一冊。

  • イラスト/小野寺ハルカ
    デザイン/緒方修一

  • 南の方の工場のえんとつから出た煙が
    北極の方へと溜まっていってしまう。

    温室効果ガスによって北極の氷が溶けやすくなり
    アザラシを食料としていたシロクマが、氷の季節に
    捕まえていたアザラシを捕まえることができなく
    なっている。

    最後どうなったかわからないお話しなので
    読み聞かせには向かないかな。
    最後問いかけられている感じがするので
    読書感想文などには良いと思います。

    シロクマの事を思うと、切ない気持ちになりました。

  • 私の中でのシロクマは、かわいいものやかっこいいものではなく、哀しいもの、です。

    それは常々、人間による環境破壊の影響を受けたその最たるものは北極グマではないかと思っているから。
    現状温暖化の影響で氷が解け、足場が少なくなったせいで狩りがしづらくなり、年々個体数が減っているのです・・・

    この本は子供向けの写真集ではありますが、こぐまの写真が愛らしければ愛らしいほどそんなことを考えさせられ、かなしい気持ちになりました。

    しかも本作はそれだけでなく、衝撃的な事実が書かれていました。
    はるかかなたの大陸で吐き出された有害物質の含まれた煙が、何カ月もかけて北極まで届き、それが雨や雪となって地上に降りそそぐことで、そこで生活する魚や動物の水銀含有率が25年前と比べて4倍に増えていたそう。
    また、PCB含有率も、東京湾で最もPCBが溜まってる生き物より20倍以上の残留率で、アザラシを食べるエスキモーの母乳からも更に高い値の毒が検出されているそうです。

    これ以上地球に迷惑は掛けられません。
    出来ることからはじめていかなければなりません。

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著者プロフィール

生物ジャーナリスト・写真家・作家。
:ネイチャーズ・プラネット代表。学習院女子大学非常勤講師。秋田県生まれ。日本とオーストラリアの大学・大学院で生物学を専攻し、グレート・バリアー・リーフにあるリザード・アイランド海洋研究所で研究生活を送る。その後、野生生物の生態や環境に視点をおいて、世界中を訪れている。日本テレビ『天才!志村どうぶつ園』監修や『動物惑星』ナビゲーター、『世界一受けたい授業』生物先生。NHK『視点・論点』、『アーカイブス』、TBS『情熱大陸』、テレビ朝日『素敵な宇宙船地球号』などに出演。
著書に、『えんとつと北極のシロクマ』(少年写真新聞社)、『環境破壊図鑑』『南極がこわれる』『アマゾンがこわれる』(以上ポプラ社)、『地球の声がきこえる』(講談社)、『森の声がきこえますか』(PHP研究所)、『きせきのお花畑』(アリス館)、『ヒートアイランドの虫たち』(あかね書房)、『小さな鳥の地球たび』『地雷をふんだゾウ』『ガラパゴスに木を植える』(以上岩崎書店)、『森の顔さがし』(そうえん社)など多数。

「2018年 『砂漠が泣いている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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