遠ざかる家―建築投機 (イタリア叢書 3)

制作 : 和田 忠彦 
  • 松籟社 (1985年2月発売)
3.45
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  • 本棚登録 :31
  • レビュー :3
  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879840547

作品紹介・あらすじ

50年代の建築ブームで変わりゆく故郷、失われゆく自然への哀惜が一人の知識人を侵略者の中へ。原題『建築投機』は主人公自身の存在への賭を暗示する。

遠ざかる家―建築投機 (イタリア叢書 3)の感想・レビュー・書評

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  • 第二次世界大戦あたりを境に、市井のひとびとが「何で稼ぐか」は変わってきたらしい。その過渡期のようすを読みながら感じた。

    主人公は今までのヒエラルキーを引きずっていて、たとえばインテリ層(学生も含む)ならインテリ層の、農家なら農家の、生涯収入と地位について、今までだったらだいたい算段がついたし、どんな一生をおくるか見通しがたっていたけど、学が無くても技術が無くても証券で儲ける人も現れたりしていて、不動産や知識層に関係ない新しい力関係(経済力)が生まれる様を目の当たりにして、それに付いていこうとしている。

    全編とおして主人公がすごく滑稽で、やっぱりギャグかなと思った。

    あとがきが一番読みづらかった…

  • 原題は「建築投機」であったのを、「遠ざかる家」と文学的に?変えた、と訳者和田氏。だけど、「建築投機」でもいいんじゃないかなあ。
    というわけで、150ページくらいだからと、こちらを今日一気読み。
    パルティザン出の中産階級、左寄りの思想で政治雑誌の編集したり、映画の仕事したりとふらふらどこにも根をつけていないクイントという男を視点に、リヴィエラの建築ラッシュとそこで暗躍する貧しい家庭出身のカイゾッティを相手に振り回す決意が振り回される・・・という話。
    とりあえず一つ引用。
     このおだて合いのゲームからは自分は除外されている、とクイントは感じていた。それどころか全く勘定にも入れられていないのははっきりしていた。そして彼だけでなく家族全員がそうだった。
    (p75)
    クイント自身はともかく、作者カルヴィーノはそうした浮動する視点を利用してこの作品を書いているようだ。それが1954年からの1年半という時代設定に絡みとられてうまく(同時進行だった「木登り男爵」ほどには)いっていないというのが、訳者のあとがきにある。
    その「あとがき」から同時期の〈参加の文学論〉のエッセーの概要。
     文学がなしうることは(迷宮と化した世界からの)脱出の道を発見するための最良の態度を規定することである。たとえその脱出の道がひとつの迷宮からまた別の迷宮への移行にすぎないとしても
     「文体」は迷宮に立ち向かうための武器である
    (p167)

  • 『木のぼり男爵』と同じ頃に書かれたと思えないほどスタイルが異なっている。そういった意味ではカルヴィーノらしい。ただし『レ・コスミ・コミケ』を筆頭にする後期の作品群からみるとだいぶ物足りなさが残ると思う。

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