崖っぷち (創造するラテンアメリカ)

制作 : 久野量一 
  • 松籟社
4.25
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本棚登録 : 23
レビュー : 2
  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879842985

作品紹介・あらすじ

現代ラテンアメリカ文学でもっとも挑発的な作家といわれるバジェホの代表作。
瀕死の弟の介護のため母国コロンビアに戻った語り手。彼の脳裏に去来する弟との思い出、ありし日の父の姿、憎むべき母親、そしてかつての、また現在の母国コロンビアのどうしようもない状態。
死と暴力に満ちたこの世界に、途轍もない言葉の力で作家はたった一人立ち向かう。
2003年ロムロ・ガジェゴス賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 自分に累が及ばない限り、人が毒を吐いているのを聞くのはちょっと楽しい。痛快だったりする。

    本書でバジェホは、子どもを生むだけ生んで生みっぱなしの母親に対して、その一族に対して、コロンビアという国の有り様に対して、そしてとりわけ教皇に対して、罵倒の限りを尽くしている。
    その言葉の選び方には時折クスッとされられつつも、それを痛快と思うより、なんだか悲しみのほうを強く感じてしまった。

    罵倒に傾けるのと同じくらいの熱情で、今は亡き祖母や父親、エイズで弱りつつある弟ダーリオへの憚ることのない愛も語られる。
    その語り口が、彼の言う“愛の天秤”(こっちが重けりゃあっちが軽く、こっちが軽けりゃあっちが重い)において、彼はいつも重く傾いたほうにいるんだろうな、と想像させるせいかもしれない。

     El Desbarrancadero by Fernando Vallejo

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プロフィール

1942年、コロンビアのアンティオキア州の州都メデジンに生まれる。
父は有力な政治家。大学で哲学、そして生物学を修めた後、イタリアに留学して映画を学んだ。70~80年代にかけて3本の長篇映画を撮っている。少年時代を描いた『碧き日々』で小説家デビューし、その後も自伝的要素の強い作品が続く。
1994年にはシカリオ物『暗殺者の聖母』を刊行。この作品が映画化された影響もあり、欧米など国外でも広く知られる作家となった。2001年刊行の本書『崖っぷち』によって、ロムロ・ガジェゴス賞を受賞(2003年)。あらゆる既成の価値観を容赦なく否定する作品群によって「ラテンアメリカでもっとも挑発的な作家」と呼ばれている。

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