時の止まった小さな町 (フラバル・コレクション)

  • 松籟社
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本棚登録 : 63
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784879843401

作品紹介・あらすじ

20世紀チェコの作家ボフミル・フラバルによる中編小説の日本語版。「フラバル・コレクション」第3弾にして、前作『剃髪式』の後日談を描く。
『剃髪式』の舞台となった小さな町とそこにあるビール醸造所にも時が流れる。戦争がはじまって終わり、新しいかたちの国ができ、この小さな町も、新しい時代に入っていく。しかしそこには、古い時代への鍵しか持たず、新しい時代には入ることができない人々も、また……
子ども時代を暮らした小さな町と、そこでともに過ごした人々とを、限りない愛惜を込めて描く中編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「時が止まる」がこういう意味だったのかと最後にため息が出た。悲しくて美しくて甘い最後。

    子どものフラバルが前面に登場するのは一瞬で、あとはフランツィンとぺピンの兄弟の話。ふたりとも癖があって、『剃髪式』の後、より難しい方向に発達してしまっている感じ。でも時代が変わり、いままでの暮らしができなくなったときのふたりの変わり方がよい。人生に向かう角度をこういう風に変えられるなら、生きていられる間はただ生きてられるような気がした。

  • 乾杯!
    フラバル原作の映画も特集上映されないかなぁ?

    時の止まった小さな町 (松籟社)| 版元ドットコム
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/978-4-87984-340-1

  • 切ないほどの過去、それも封建時代への郷愁。
    そこで戦争が起きたことを知っているからこそ、よけいにその郷愁が単なるノスタルジーだけじゃない、切実なものに感じる。

    たまたま近い時期に読んだヨーゼフ・ロートを思い出した。

  • 剃髪式の続編。前作は母マリシュカが語り部だったが、本作はフラバル(子供)が語り部。
    ペピン伯父さんと主人公の父親のフランツィンの兄弟がとてもキュートだ。100年ほど前のプラハの東約50キロほどの所にあるヌィンブルクという人口1万人ほどの小さな町に住む愛すべき人物たちの日常生活の断片が、なぜこんなにも愛おしく感じられるのだろう。そんな彼等が大きな時代のうねりの中で僅かな楽しみを見いだして生きていく姿は切なく、もの悲しいものがある。
    ペピン伯父さんの酒場でのはしゃぎぶりがとてもイイ。大きなオッパイにはね飛ばされる伯父さんと爺さんたちがメッチャおもろい。

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著者プロフィール

20世紀後半のチェコ文学を代表する作家。
モラヴィア地方の町ブルノに生まれ、ビール醸造所で幼少期を過ごす。
プラハ・カレル大学修了後、いくつもの職業を転々としつつ創作を続けていた。
1963年、短編集『水底の真珠』でデビュー、高い評価を得る。その後も、躍動感あふれる語りが特徴的な作品群で、当代随一の作家と評された。
1968年の「プラハの春」挫折後の「正常化」時代には国内での作品発表ができなくなり、その後部分的な出版が許されるようになるものの、1989年の「ビロード革命」までは多くの作品が地下出版や外国の亡命出版社で刊行された。
代表作に『あまりにも騒がしい孤独』(邦訳:松籟社)、『わたしは英国王に給仕した』(同:河出書房新社)などがある。

「2022年 『十一月の嵐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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