禊の塔: 羽黒山五重塔仄聞

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  • 新宿書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880084060

作品紹介・あらすじ

修験の谷に塔が建った!さまざまな伝説の中に聳える羽黒山五重塔。中世・南北朝時代の出羽国庄内を舞台に書き下ろす、感動の歴史小説ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 「見残しの塔」に続いて「禊の塔」 。

    「雪は、『もつ、もつ』と降りはじめ、『もっつ、もっつ』と地に積もる。天からの下されものなのである。」
    この導入で、幼い頃に見た庄内の雪景色がよみがえる。#庄内弁 が懐かしい。

    塔の建立にかかわる職人やその地で暮らす人の物語でもあるけれど、修験者の物語でもあったし、両親の死の謎を知り自らの内にあるものを探りあてたいと考える女性の物語でもあって、心を落ち着けて読まないと、迷子になりそう。

  • 久木綾子さんの二作目。今回も五重塔が作り出す物語で羽黒山の五重塔が舞台。作者が一作目の取材中に構想があっての作品とのこと。厳しい修験の地において神仏に支える身分の僧侶、宮大工、庶民、侍、達に加えて実在しない生き物を自然との厳しい戦いになぞらえて織り交ぜ五重塔完成までを壮大なスケールで描いている。五重塔を前に建立に携わった人の物語を描きたいという思いは作家として自然に生まれる感情と思う。最終版に出生の秘密が解明されていく主人公、十和の物語は惹き付けられ読みやすい。そこに関係する女性達の優しさが際立つ。

  • 五重塔が好き。基本的に全部好きだが、法隆寺、醍醐寺、羽黒山が私の三大五重塔。この『禊の塔』を読んで、またあの羽黒山の五重塔の前に立ちたくなった。

    2018年鶴岡へ向かう車中で再読。

  • 五重塔の建立にかかわる登場人物が生き生きとしている。特に、女性の凛とした姿に爽やかさを感じる。神がかり的な部分もあるが、不思議な彩りを添えている。時代は違うが、長い間忘れていた何かを思い出しそうな予感がする。

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