古井戸に落ちたロバ (インディアンのティーチングストーリー)

著者 :
  • じゃこめてい出版
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本棚登録 : 111
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880434223

感想・レビュー・書評

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  • ティーチングストーリーとは生きることを教える話。

    シンプルでかわいらしい絵なのだが、
    最後のシーンは
    とんでもないものを突き付けられたような気にさせられる。

    普段は忘れたふりをしていること。
    自分が生きるために人を傷つけてきた。
    他人も生きるために私を傷つけてきた。
    生きることは大変なことなのだ。

    読み終わり、中表紙に戻ってみる。

    古井戸を下から見上げる絵に、絵本を読む前とは違う感情を持つ。

    かつて自分も穴に落ちたことがあった。
    実際古井戸に落ちたことはないが、
    人生の暗い穴に落ちたことはある。

    その時、自分を救ってくれたのは何か。

    古井戸に落ちたロバは、もうすぐ働けなくなるだろう年寄りロバ。

    穴に落ちた時、本当に困った時に、
    真実が見えるものである。

    ロバを生き埋めにしようとした老人。
    理由があるにしろ、正しいとは思えない。
    しかし、老人を責める気持ちにもなれない。

    それはこの話が、
    誰かに期待をし、裏切られたと悲しむよりも
    前に向いて歩くことが重要だと言っているような気がするからだろう。

    生きることは厳しい。

    人のせいにしたところで悲しいだけ、
    生きている自分に笑えるようになりたい。
    このロバのように。

    自分を救うのは自分だった。

    正しい道とは何か。いろいろ考えさせられる絵本。

  • 最後のページ 涙がこぼれました。
    しばらく、余韻に浸ったまま泣いてしまった。

  • 老人が年老いたロバに荷物を引かせていたが、ロバが古井戸に落ちてしまった。
    老人はロバを助ける手立てを思いつかないし、苦労して助けたところでkの年老いたロバはもう長くない。
    それよりも、次、子供たちが落ちては大変、とみんなで古井戸を土で埋めてしまうことにした。
    一方ロバは、寂しさで暴れるが、井戸が半分埋まっても自分の体に土が乗っていないことに気が付く。
    落ちてきた土を踏み固め踏み固めして、とうとう井戸から脱出することが出来たのだった。
    井戸から出たロバはそのまま真っ直ぐ歩いて行き、二度と振り返ることはなかった。

    主人はロバよりも子供たちの安全を取った。
    一度生き埋めにされそうになったら、もう主人のところには戻らないのか…。
    荷物も途中で落としていたし…。

  • 生きること、生き延びることを教える本。

    絵が素朴でいい。

    途中思わず涙が出そうになったけど、最後は鳥肌が立った。

    ロバは何を思い、何を考え、そして何を伝えて去ったのか…

  • この話は古くからネイティブ・アメリカンの伝承として伝わっているらしいのですが、僕はまったく知りませんでした。読んでいて「なるほどなぁ」とは思いますが。

    僕は「修羅の刻」という漫画でネイティブ・アメリカンと「陸奥」がかかわりを持った章を読んで以来、いくつかネイティブ・アメリカンの教えにかかわる本を読んできたのですが、ここに記されている物語は単純といえば単純で、おじいさんとロバが歩いていて、途中ロバが古い井戸に落ちて途方にくれたおじいさんはせめてほかの人がこの井戸に落ちることのないように古井戸を土で埋めるのです…。というものです。

    簡単に言ってしまうとそういう話です。彼らの残してある寓話の中にはの中には、必ず人生についての深い教えが内包されているのですが、解説が書かれていないので後は自分で考えろということなのでしょうね。救出されたロバがゆっくりと歩き出し、最後の一文である
    「一度も振り返ることはなかった」
    という箇所に、あまりつらい過去を振り返ってはいないで、前向きに人生を歩みなさいということなのかなと勝手にそう考えています。

    しかし、ここでもっともらしいことをいっていますが、果たしてそれは正しいのでしょうか?そんなことを考えています。

  • 資料ID: W0160337
    請求記号: DE913.8||Ki 74
    配架場所: 本館2F絵本・童話架(千葉)

    ---
    生きるとはどういうことかを教えてくれる
    アメリカインディアンに古くから伝わるおはなし。
    どんなに生きる時代は変わったとしても、
    生きることがこういうものであることは、
    なにひとつ変わってはいないようです。  北山耕平
    (本書帯より)
    ---

    進むべき道を見失ってしまったとき。
    進むべき道が本当に正しいのが迷ったとき。
    答えは出なくても何かを変えれるかもしれません。(M)

  • どんなティーチングストーリーなのか気になる。インディアンのストーリーには『生きることとは何か?』を教えてくれるものが多いので、読んでおけばよかった本にあげてみました。

  • 解説文がありませんので、このお話から教えられる意味を自分なりに考えるしかありません。
    年老いたロバが、最後に古井戸から助け出されても、インディアンたちから離れて歩き出し、「一度も振り返ることがなかった」、という終わり方には、なんだか物悲しいものを感じてしまいました。

    年老いたロバは、一度は自分のことを見捨てられて、古井戸に埋められてしまうと感じたので、たとえ助け出されたとしても、もう人間とは一緒にはやっていけないと感じて一人で歩き出したのか、とか。

    人間と動物との関係だけではなくて、人間同士でもよくありえるお話なのかな、とも思いました。

  • 自分から見ているだけのことが現実ではないという、
    こういう複合的なことが現実というのをこれほどシンプルに表現できて、かつ奥深い…。智慧だねぇ…。

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著者プロフィール

北山耕平(きたやま・こうへい):1949年神奈川県藤沢市生まれ。『WonderLand』(のち『宝島』と改称)創刊メンバー。1975-76 年『宝島』編集長。76年『POPEYE』創刊に参加後、渡米。同誌特派員としてアメリカ、ロサンゼルスに4年間滞在。70年代後半の西海岸で「ニューエイジ」の勃興に立ち会い、ローリング・サンダー(メディスンマン)と出会い、ネイティブアメリカンの精神を伝える。著書に、『自然のレッスン』『地球のレッスン』(太田出版、ちくま文庫)、『ネイティブ・マインド』(地湧社)、『雲のごとくリアルに[青雲編]』(スペースシャワーネットワーク)など、訳書に『虹の戦士』(ウィロヤ+ブラウン、太田出版)ほか多数。

「2022年 『北山耕平青春エッセイ集 抱きしめたい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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