親密性の変容

  • 而立書房
3.63
  • (6)
  • (15)
  • (15)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 244
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880592084

作品紹介・あらすじ

性の解放は、われわれに何をもたらしてきたのか。感情革命の行く末を問う。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 近代という時代は公的領域と私的領域の分離が進んだ時代であるが、本書は今日の私的領域における関係性=親密な関係性の変化をセクシュアリティの観点から論じている。ギデンズはその変化の最たるものを「純粋な関係性」と呼んでおり、この概念を女性同性愛者の語りから導き出している点が興味深い。ジェンダーやセクシュアリティに関しては、様々な立場の人、とくに女性や同性愛者などのマイノリティを捨象しないような努力が感じられる一方で、記述や論理展開が一面的というか生物学的本質論スレスレの感もある。

  • 参考図書

  • 30年前の本の翻訳であるが、明治以前の500年前の執筆のように感じられた。それほど変化が激しいのか、それともギデンスがわざと古い書き方をしたのかはわからない。いずれも、卒論としての参考文献としてはいわゆる古典になるであろう。

  • とても読み応えがあり、本書で輪読会を行った。
    しかしフーコーの思想等、色んな前提知識が欠けているため、後半は特に理解できなかった。
    勉強を積んでからまた再挑戦したい。

  • 序章と3と4と8章だけちゃんと読んだ。ほかのところはちゃんとよめてない

    翻訳が雑すぎ

    8章要旨:純粋な関係性(pure relationship)はふたつの帰結をもたらす。ひとつは、親密な関係性を継続していくためには性的排他性にもとづく信頼感(trust)と自己投入(commitment)が必要になるが、これらは共依存を生じさせてしまいうるということ。関係が終わってしまうことへの不安感がその根源にある。もうひとつは、親密性(intimacy)の達成にはふたりの権力配分の平等が必要になるが、これは自由に塑型するセクシュアリティ(plastic sexuality)が可能にするその場限りの性関係によってもたらされるということ。セクシュアリティおよびジェンダーの相違に由来する男女間の闘争は純粋な関係性の広がりを阻むが、その一方で、この闘争は親密性の変容という事態によって和らいでいくのかもしれない。

  • 前半は事例も多くわかりやすく読めた。後半は難しい……

  • 再帰的近代化の社会において親密性はどのように変化するのか、そのとき我々はどのように振舞うべきかを論じた一冊。

    最低限の近代の歴史や定義付けを理解していないとちょっと理解に困難を生じるかもしれないが、基本的には非常にわかりやすく、切り口の鋭い論点を提示している。

    ギデンズの念頭には、近代社会の二重構造、日本だと上野千鶴子が指摘したような、公的空間と私的空間の分離にもとづく社会構造が古い価値観として前提されている。日本でいえば高度成長期の、働く夫に専業主婦、マイホームに車、二人の子供……を理想とするような価値観だ。ギデンズは、このような近代社会が提供してきた、あるいは押し付けてきた役割というものが近年崩れてきており、自分が何ものであるかということを自分で構築しなければならない時代がきているという。さもなければ、我々は嗜癖や共依存に陥ってしまうのだ。

    日本もようやく、近代の価値観が現実の社会環境の変化によって打破されてきており、ギデンズやベックのいう再帰的近代化が進行しているように思える。彼らの提示した枠組みや概念の蓋然性は我々がこれから現実と照らし合わせて評価し、作り替えていかなければならないが、時代を先取りしたおっさんのアイディアをちはりばめたこの本が、その重要な素材になりうることは間違いない。

  • タイトルの通り。異性交遊の変化について社会学的なアプローチで論じた本。難解な表現が多い。

  • 初めてのギデンス。理論派ギデンス。

  • ギデンズによるジェンダー/セクシュアリティ論。アディクション(嗜癖)を媒介として、親密な関係性と自己とがいかに構築されていくか(平等な関係と民主性を指向する「純粋な関係性」への改革も含み)を論じ、なぜか最後は政治改革になる(^^;)「親密性」といえば…の基本文献だし、示唆に富んだ箇所もあるし、フーコー批判も興味深い。が、何度読んでも、今ひとつピンと来ない。訳註もないし、訳語も難アリのよーなので、やっぱり原文で読んだ方がいいのかも…(とほほ)。日本語版としては、ホントは★3.5くらい。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

アンソニー・ギデンズ( Anthony Giddens )
1938年、イギリス生まれ。社会学者。ケンブリッジ大学教授などを経て、LSEの学長を務めた。現在はLSE名誉教授、イギリスの上院議員。著書に『親密性の変容』、『第三の道』、『社会学』など多数。

「2021年 『モダニティと自己アイデンティティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アンソニー・ギデンズの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
エミール デュル...
ミシェル・フーコ...
ミシェル・フーコ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×