- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784880593470
作品紹介・あらすじ
笑わせんな、泣きたいのに、どうかスッキリ泣かせてくれよ…朝日舞台芸術賞グランプリ、読売演劇大賞最優秀作品賞受賞作品。
感想・レビュー・書評
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さっくり読めた。
「君が代」問題を扱っている。もう少し詳しく述べると、教職員が式典の際に「君が代」を歌わなかったり、斉唱の際に起立しない場合、罰せられるという問題を扱っている。が、それほど堅苦しいものでもない。
いま教育現場で起きているのもきっとこんな感じなんだろうなあと思わせられる。ほとんどの教師はそのことについて考えたこともないのだが、反対の人もやはりいて、そのときに初めて問題に直面するというか。そしてきっと多数派になびくのだろう。
イギリスでこの戯曲を上演しようとしたところ、これは理解できないというか、イギリス人には親しみがもてない(信じられない)テーマだから別のものにしようといわれたそうだ。
さもありなん。
国旗・国歌に関しては、強制するようなものではないと思うし。歌う人が歌わない人に「歌え!」というのはよくあるけれど、歌わない人が歌っている人に「歌うな!」というのはあまり知らない。その時点で、パワーバランスがはっきりしているのだから、異端分子弾圧みたいなことを必死にやらなくても、とりあえずは「安泰」なのではないか。
なにをヒステリックになることがあるのだろう。
というか、自分の信条をおさえてまで歌を歌うような人に先生であって欲しくはないなあ。まあ、ロマンチックにすぎる考えかも知れないけれど。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
多少戯画化されてはいるだろうが、当時様々に報道されていたことを思い返すと、これはほんの十数年前に都立学校で、そしてまた全国のあちこちで実際に起きていたことだろう。よくできた脚本で、笑いのオブラートに包みつつも、今の日本で起きてしまったこと、そしてこれからもいつ起こっても不思議でないことを観るものに突きつけてくる。笑えるが笑えない。怒りが込み上げ胸が苦しくなる。冷静でいられない。
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何という傑作だろう。テーマといい、キャラクターといい、プロットといい、完璧だ。時折はさまれる俳句やシャンソンが効果的で、最後は泣ける。
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シャンソンが効果的に使われていた。演劇の脚本でこんなに面白く読めた本は初めてだ。