創造社会の都市と農村 SDGsへの文化政策 (文化とまちづくり叢書)

制作 : 敷田 麻実  川井田 祥子  萩原 雅也 
  • 水曜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784880654652

作品紹介・あらすじ

2015年国連サミットでの「持続可能な開発目標(SDGs=Sustainable Development Goals)」の採択以来、世界各地の地域政策はもちろん民間ビジネスにおいても持続可能な社会の実現を推進しようとする取り組みが活発化している。
 わが国では、これまで佐々木雅幸が「創造都市」と「創造農村」を提言してきた。
 「創造都市」では包摂的で安全かつレジリエントで持続可能な都市および人間居住地を実現するべく、すでにユネスコ選定の諸都市が180に及び、具体的な都市ごとに個別の目標を設定し取り組みが取り組みが進められている。
 一方「豊かな自然生態系を保全する中で固有の文化を育み、新たな芸術・科学・技術を導入し、職人的ものづくりと農林業の結合による創造的問題解決を行えるような『創造の場』に富んだ農村」 を「創造農村」と位置づけ、わが国固有の新たな取り組みが各地で進む。
 本書は、地域課題の先にある「創造性社会」に向けたSDGsのゴールとなる経済・社会・環境問題を包括的にとらえ、ローカルとグローバルな文脈で意味づけながら、創造性とイノベーションを発揮しながら地域仮題の解決に取り組む試みを、15人の筆者がそれぞれの視座から捉え、報告し提議する。

感想・レビュー・書評

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    テーマ11 住み続けられるまちづくりを

    2015年国連サミットでの「持続可能な開発目標(SDGs=Sustainable Development Goals)」の採択以来、世界各地の地域政策はもちろん民間ビジネスにおいても持続可能な社会の実現を推進しようとする取り組みが活発化している。

    わが国では、これまで佐々木雅幸が「創造都市」と「創造農村」を提言してきた。
    「創造都市」では包摂的で安全かつレジリエントで持続可能な都市および人間居住地を実現するべく、すでにユネスコ選定の諸都市が180に及び、具体的な都市ごとに個別の目標を設定し取り組みが取り組みが進められている。

     一方「豊かな自然生態系を保全する中で固有の文化を育み、新たな芸術・科学・技術を導入し、職人的ものづくりと農林業の結合による創造的問題解決を行えるような『創造の場』に富んだ農村」 を「創造農村」と位置づけ、わが国固有の新たな取り組みが各地で進む。
     本書は、地域課題の先にある「創造性社会」に向けたSDGsのゴールとなる経済・社会・環境問題を包括的にとらえ、ローカルとグローバルな文脈で意味づけながら、創造性とイノベーションを発揮しながら地域課題の解決に取り組む試みを、15人の筆者がそれぞれの視座から捉え、報告し提議する。(出版社HPより)

  • 佐々木雅幸が、創造都市を打ち出してから20年。
    宮本憲一先生の地域開発論からの持続的内発的発展から、
    創造都市論への大きな展開と創造農村への広がり。
    それを、佐々木雅幸が、教鞭をとった 
    大阪市立大学大学院創造都市研究科で学んだ研究者らが中心となって、
    現在の「創造社会の都市と農村」の到達点を明らかにする。

    ユネスコによる創造都市のネットワークが、72か国180都市。
    創造都市ネットワーク日本が、111自治体が加盟している。
    金沢、横浜、神戸での実践。
    創造農村ワークショップが、始まり、
    徳島県の神山町、兵庫県の丹波篠山市での
    先進的な事例が積み重ねられている。
    総論としての創造都市論が、各地域に深く浸透している中で、
    現在の到達点を明らかにすることは、大切な作業だと思った。

    佐々木雅幸が言う
    「創造主によって、創造された存在の人間が、
    人間の創造性を開花させて、現代社会の基礎を形成した。
    さらに、人間の創造物によるAIの本格的普及によって、
    人間の創造性が脅かされている現在」において、
    創造社会をつくり、担う存在としての人間の役割を検証する。

    竹谷多賀子が、維持可能な社会の実現の動きを見える化する事で、
    どこから来て、どちらに向かおうとするのかが、
    わかりやすく解説している。
    内発的発展論、創造都市論、包摂型まちづくり、創造農村、
    そして 2015年のパリ協定のSDGsの開発目標。
    私は、包摂型社会という概念がよくわからなかったが、
    川井田祥子の包摂型社会の具現化で、やっと理解ができた。
    最近のトランプによる排除論理に、対抗する力を持つものだと思った。

    日本における度重なる大きな自然災害があり、
    人間社会のレジリエンスが求められる中で、
    それを受け入れる「寛容性」の重要性も認識されている。
    歴史文化の相互理解と、
    未来に向けた人と人のつながりとアイデンティティ。
    地域における文化芸術の豊かさに気づき、
    誇りとアイデンティティを再発見することを杉浦幹雄はいう。
    アートには人が生きるのを助ける力がある。
    アートには違いを超えて人と人をつなぐ力がある。

    敷田麻美は、木下順二の夕鶴を題材にして、地域資源の収奪だけでなく
    投資をすることの重要性を語る。
    高齢化社会であるがゆえに、クリエイティブエイジング政策の充実と
    老人劇団さいたまゴールドシアターの活躍が注目される。
    金沢21世紀美術館のミュージアムクルーズ事業。
    小学生を無料で招待して、アートに触れることで子供達の成長が生まれる。

    それぞれの実践と苦労によって現在が作り上げられ、
    「創造社会」を作り上げていく指針として、
    「創造社会の都市と農村」は、好著であると思う。

    佐々木雅幸の締めくくりは、ドイツの前衛アーティスト
    ヨーゼフ・ボイスの言葉
    「すべての人間は芸術家である」
    人は、人の心を動かし、感動を与えるために、
    創造的人間に 発展し進化していくのだ。

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著者プロフィール

1949年生まれ。大阪市立大学名誉教授、同志社大学客員教授、文化庁地域文化創生本部主任研究官。金沢大学(1985-2000年)、立命館大学(2000-03年)、大阪市立大学(2003-14年)、同志社大学(2014-19年)などで教授を勤める。京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)。文化経済学会〈日本〉元会長。国際学術雑誌City,CultureandSociety(Elsevier)初代編集長。一般社団法人創造都市研究所・代表理事。創造都市研究の世界的リーダーで、ユネスコ創造都市ネットワークのアドバイザーも務める。著書に『創造都市の経済学』勁草書房『創造都市への挑戦』岩波書店、編著書に『沖縄21世紀への挑戦』『創造都市と社会包摂』水曜社『創造農村』学芸出版社などがある。

「2019年 『創造社会の都市と農村』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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