- 本 ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784881161333
感想・レビュー・書評
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<閲覧スタッフより>
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所在記号:201||ケン||4-3
資料番号:10239727
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本巻のタイトルになっている「歴史実践」とは、「歴史に携わるすべての人々が日々取り組む史料・方法・叙述から研究、教育、社会にかかわること」(はしがきⅳ頁)だという。ただ内容は目次をみると「第4章 史料・方法・歴史叙述」が12本で、他の各章が3~4本ずつであるのに比べるとかなり厚い。偏っているともいえる。このことは史料についてのアプローチがこの15年で飛躍的に深化してきたことを示すとともに、従来「運動」と呼び習わされてきた分野が弱まっているということを示しているのだろう。とはいえ、高橋修論文や今野日出晴論文は「第5章 歴史教育の実践」に入れてもよかったのではないか。
史料に対する認識、あるいは方法論の深化について、僕自身が非常に「古い」方法論を取っているだけに、耳が痛いところはある。「流行」に取り残されていく不安はあるが、それでも頑固にやっていくしかない、という気持ちもある。
一方で、戸邉論文が、「「叙述する」行為が生み出す機能とその効果を検証する、文学研究におけるテクスト分析に比肩できる「読解」が必要」(p.212)という一文は印象的。僕自身戦後歴史学の成果を改めて評価するということをやりたいと思っているのだけど、それは戸邉の言う「戦後歴史学の擁護如何ではなく、徹底的な自己省察のために必要な史学史の〈時間の射程〉」(p.213)を見据えたものではないといけない、と気づかされた。
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