経度への挑戦: 一秒にかけた四百年

  • 翔泳社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784881355053

感想・レビュー・書評

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  • 緯度を調べるのは容易い。物理的に北極と南極があり、北極星が見える角度などから観測できるからだ。一方で経度は物理的な基準がない(グリニッジも基準点の一つでしかない)ために、時間を計って計算しなければならない。言い換えれば、経度を知ることは、正確な時計を製作することと同義になる。

    ジョン・ハリソンは18世紀に、クロノメーターという航海で使える時計を開発した。本書はハリソンを中心に、過酷な環境でも正確に時を刻む時計にまつわる物語。まさに人生を懸けた時計製作の物語である。今では当たり前のように正確な時計を誰もが持っているが、それが当たり前ではない時代の苦労を知ることができる。とてもドラマチックであり、楽しく読める。

    そういえば、上田早夕里氏の「リリエンタールの末裔」に、ハリソンの時計を題材にした小説「幻のクロノメーター」がある。合わせて読むと、より楽しめるだろう。

  • 文句なしに面白かった!
    ジョンハリスンの功績が認められるまでの過程が書かれていた。
    これ、英語版と翻訳本を買おう。

    うん良書。

  • 世界史に与えて影響は計り知れないものであろう。動作原理を知りたくなった。

  • 17世紀、正確な経度を知るための時計を作ったジョン・ハリソンとその他の経度計測の読み物。
    当時、正確な経度を知ることは一大事だった。
    新たな陸地を見つけても2度とそこに行けなかったり、また、母港のすぐそばにもかかわらず大事故を起こすということも少なくなかった。
    経度を知るには、簡単に説明すると、母港の時間と現在地の時間の差に15を掛ければ求められる。
    しかし、振り子時計は海上では役に立たず、
    温度差によって金属部品は変形し、油をさしておかなければならない。
    また、星や月を観測して求めることもできるが、
    月などの正確な運行表はまだできておらず、曇りの日はもちろん観測できない。
    経度を知ることは、不老不死や永久機関と同義語になっていたそうだ。
    イギリスでは商人や船乗りの要請で軽度法と言う法律が生まれ、
    正確な計測方法を見つけたものには国王の身代金と同額の賞金を受け取れるというものだった。

    そのため、様々な方法が持ちこまれる。
    お気に入りなのは、共感の粉。
    この粉をナイフにかけると、それで負った傷が治ると言うなんとも胡散臭い粉だ。
    しかし、そのとき痛みが伴う。
    そこで、傷をつけた犬に巻いた包帯を港に残し、
    正午きっかりにその包帯に粉をかければ、船上の犬は反応すると言うわけ。
    長い航海で治らないように、航海中に何度も傷をつけたとか。
    新しく傷をつけたら共感の粉が効かないような気もするけどな。
    ちなみに、クロノメーターという言葉は、この当時に持ちこまれた時計類を皮肉った記事に出てきた言葉だそうだ。

    さて、王道としては月を観測する月距法が主流だったんだけど、
    そこで現われるのが、弟子入りもしておらず、それまで無名だったジョン・ハリソンと言う職人。
    彼は物凄い時計を作ってきて、天文観測主流の委員会を唸らせる。
    賞金が手に入ると思いきや、そこで立ちはだかるのが経度法評議委員長にして、
    月距法を強く推すマスケリン。
    彼のために、ハリソンは長く苦しい戦いを強いられることになる!?と言う感じ。

    原著も薄い本らしく、かなり読みやすい。
    エーコの『前日島』の前に読んできゃ良かった。

    ハリソンの最初の理解者として、ハレーが出てくんだけど、
    ハレーと言えば彗星しか知らなかったけど、これが中々愉快なキャラで、それが知れただけでも収穫。

    オススメの一冊。

著者プロフィール

科学ジャーナリスト。元「NYタイムズ」科学欄記者。

「2010年 『経度への挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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