連合赤軍事件を読む年表 (オフサイド・ブックス)

制作 : 椎野 礼仁 
  • 彩流社
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本棚登録 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882026211

作品紹介・あらすじ

●前口上……年表にしたら、見えてきたこと
あさま山荘の銃撃戦と、その後に続いた同志大量殺害のニュースが世間を震撼させてから、早くも30年たつ。30年と言えば、35、6歳くらいまでの人は、連合赤軍事件のリアルタイムの記憶はないということになる。にもかかわらず、この事件はいまなお少なくない人々の耳目を集めている。
なぜか。それはこの事件が21世紀の今日でも「重い」からだろう。
連合赤軍事件、とりわけ同志殺害の事実は、日本の左翼運動に致命的といっていい打撃を与えた。事件以降、左翼は大衆的な求心力を失い、「新左翼」はいまや死語となりつつある(もっとも、その原因は「連赤」だけにあるわけではないが)。したがって「連赤」は、左翼運動にシンパシーをもつ(もっていた)者にとって、触れたくない「重い」過去だろう。
一方、「連赤」を知らない世代にとっては、自分と同じくらいの年齢の者が銃を握って闘ったことは、衝撃的であるに違いない。そして、それが30年前だとはいえ、この日本で実際に起こったということは「重たい」疑問を生む——なぜ、そのような事態に至ったのか?
この「なぜ」は30年の間、繰り返し問われ続けられたものだが、決して陳腐化しない。これからも「組織と個人」「社会の変革とは何か」といった問題を考えていく際、必ずつきまとう問いなのだ。
「何を大袈裟な」と思われるむきは、第3章の「総括」の場面を読んでほしい。何も感じない人はこの本を手にとっていないはず。
さて、事件の全体像をつかむのなら、当事者による証言を読むことをおすすめする。たとえば永田洋子『十六の墓標』(上・下)。事件の淡々とした記述だけでも圧巻だ。また『続十六の墓標』では、一人の人間が発展していく様を共感と微笑をもって読みとることができる。また植垣康博『兵士たちの連合赤軍』は、ハードボイルドに描かれた青春小説といっても、お叱りは受けないだろう。
ただ、それらは膨大な分量があるのと、人間関係、事実関係が入り組んでいて、読んでいると思わずメモをとり整理したくなる。ならばという発想から生まれたのが本書だ。
この読む年表は、関係者の著作、当時の記録などをもとに、時系列に沿って「事実」を再構成している。矛盾は矛盾のまま、混沌は混沌のままにしてある。それが現実の肌触りだと考えたからだ。
年表によって改めて(初めて)気がつくことも多い。赤軍派と革命左派(当時は「京浜安保共闘」という名で報道されていた)は当初、互いに別個の山岳ベースを持っていて、その後合流していること。また、ベースでの連合赤軍としての活動は、指導部(中央委員)は会議、被指導部はまき作りをえんえんとくり返していることなどは、その典型例だろう。
また、なにより、ひとつひとつ独立していると思える事象が、互いに結果となったり原因に再生したりして、結びついていることが年表からみえてくる。
日本赤軍のリーダー重信房子は言う。自分たちの「リッダ闘争」(イスラエル、テルアビブ空港で岡本公三ら3人が銃を乱射)は、連合赤軍の同志殺害について内省した結果の闘争なのだと。〝自爆テロ〟の始まりはこの闘争だったという説がある。とするなら、〝自爆テロ〟の遠因には、連合赤軍事件があるのかもしれない。それくらい、連合赤軍事件は「重い」のである。

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