- Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
- / ISBN・EAN: 9784882029885
作品紹介・あらすじ
四人の王女を娶り、勝手放題の人生かと思いきや、その名は「慎重王」。華麗なる王女たちに囲まれ、スペイン帝国が頂点にのぼりつめる時代に生きたフェリペ二世71年の生涯と人間模様。
感想・レビュー・書評
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西川和子さんの本は『スペイン宮廷画物語―王女マルガリータへの旅 』に続いて二冊目です。
面白くてとてもわかりやすいです。
目次をメモ。
地図は、16世紀前半のヨーロッパ
系図は、スペイン、ポルトガル、イングランド、フランス、オーストリア、イタリア・メディチ家
第一章 フェリペ誕生―父への憧れー幼年期
第二章 最初の結婚相手―ポルトガルの少し太った王女―10代
第三章 イングランドの年上女王との結婚へ―フェリペ海を渡る―20代
第四章 スペイン王フェリペ誕生―フランスの華麗なる王女との結婚―30代
第五章 オーストリアから穏和な王妃―レパント海戦も大勝利―40代
第六章 さらに広がる帝国―やってきたのはポルトガル王位―50代
第七章 戦いにも賭けにも敗れ―不運だったアルマダ海戦―60代
第八章 死と静寂―想いを残しつつ生涯を閉じる―70代詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
スペインの全盛期の国王フェリペ2世の伝記です
フェリペは生涯4度結婚しています
当時の王族の結婚とはイコール外交なのだということが実感できました -
エリザベス女王、アン・ブーリンに続いて…あのあたりの時代に興味があって。
ややこしい歴史がわかりやすく読めました。
ですます調で、歴史物にしては漢字が少ない。
エリザベスの姉メアリ・テューダーと結婚していた時期のあるフェリペ王。
外見はネーデルランド人の血が強く出ていて、けっこう容姿がいい。ただ中身は根っからスペイン人。英語は出来ず、礼儀正しいけど社交下手でした。
最初の妻マリア・マヌエラは母が出身のポルトガルの王女でつまり従妹。2番目のメアリは父の従妹にあたる親戚どうし。
父のカールは神聖ローマ帝国皇帝。この頃のハプスブルグ家の強大さというのはすごいですね。フランス以外の西ヨーロッパ全部を支配、それで一国にずっとはいられない生涯でした。
ただし、神聖ローマ帝国の称号はカールの弟フェルディナンドの方へ継がれていきます。
海というと毎回アンドレア・ドーリアが出てきて、青池保子さんのコミックを思い出します。
スペインの栄光の頂点と凋落を経験するフェリペ。
レパントの海戦では連合軍でオスマントルコに勝利しますが、アルマダの海戦ではイングランドに負けます。
異母弟のフアンはレパントで英雄となるが、後に反乱の起きているネーデルランドに派遣され、見捨てられたように死、フェリペは若く人気のある庶子に嫉妬していたとも言われています。
4人の王女様と結婚していたとは。不幸な結婚というわけではなく、死別によるもの。子供が生まれても成長する保証はない時代、しっかりした跡継ぎを待望していた点はヘンリー8世と同じですね。
3人目のイサベル・デ・ヴァロアはフランス王女で娘二人を生みました。
4人目の妃アナ・デ・アウストリアは姪に当たり、嫡子のカルロスと同年代。
カルロスが病気がちで、ネーデルランド逃亡を夢見て幽閉されたいきさつが「ドン・カルロ」のモデルに。フェリペの猜疑心が強いイメージはここから来ているのかな。史実はカルロスの方にもかなり問題があったよう。
しかしフェリペは71歳とは長生きだったんですね~。
この時代、フランスは女性が王位を継げない法律があったらしいが、他の国にはなく、総督や摂政として活躍した例がいくつもあるのは面白い。