- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784882932284
感想・レビュー・書評
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言わずと知れた怪人二十面相の伝記、という体の小説。少年探偵団はさわりしか知らない自分でも十分楽しめた。
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筒井康隆の「大盗庶幾」を読んだ後、急に読みたくなりました。探偵、怪盗ともに代替わりすると予め聞いていて、どうかなと思いましたが、戦時中のブランクをうまく利用して上手に辻褄あわせをしていて感心しました。もともとの荒唐無稽なストーリーを、工夫を重ねて再構築し、大人が読んで楽しめるまでにリアリティを持たせることに成功しています。その工夫のところが大きな読みどころとなっています。これを原作に、大きく翻案し、映画化されたようですが、原作そのままで、「こち亀」風の絵柄でマンガ化されたものを見てみたい気がします。
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聖典では明智がやたら海外出張していた。今作では、その秘密が明かされている。その他、少年探偵団とチンピラ別動隊の格差問題、二十面相の変装の限界など、小ネタが満載である。しかし、単なるパロディーに終わっていないのは、作品全体に横溢するペーソスのためだと思う。貧しい時代だったのだ。
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映画より先に読んでいたのですが、映画のほうがワクワクドキドキして面白かったかな?
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高校時代、NHKのFMでラジオドラマを放送していました。(今もあっているのかな?)夏休みは、1ヶ月ほどかけて、江戸川乱歩の少年探偵団のシリーズを数年間やっていたんですが、ある日、江戸川乱歩ではない作家が原作の怪人二十面相の話を放送していました。それが、この怪人二十面相・伝でした。怪人二十面相の正体が原典で語られるのは「サーカスの怪人」という話なのですが。その話をもとに、独自の解釈で怪人二十面相の側からのお話を作っています。少年探偵団のシリーズでは、どこか抜けている感じがある二十面相なんですが、この小説ではかっこいいこと・・・明智が嫌みな奴に思えます。この本は、続編の「青銅の魔神」もあわせて収録してあるので、二十面相や明智が、どうして戦前と戦後で年をとっていないのかがわかります。