窓のあちら側 (ふしぎ文学館)

著者 :
  • 出版芸術社
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本棚登録 : 145
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882933144

作品紹介・あらすじ

山で迷子になった少年・信彦は、ピアノの音に誘われて入った館で、吸い込まれるような深い緑の髪をした少女に出会う。やがて青年になった信彦と、彼が愛した女性・明日香を襲う哀しく切ない運命とは?八十一年度星雲賞受賞「グリーン・レクイエム」。未来都市に流れ着いた少女を巡る壮大な物語「ネプチューン」、名シリーズ「星へ行く船」の第二作「雨の降る星 遠い夢」等、日本SFを語る上で欠かせない名作+単行本未収録三編。

感想・レビュー・書評

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  • 2022.02.02 図書館

  • ネプチューンの進化論こそ本当なのでは…とよく夢想していました。「今はもういないあたしへ…」と同時収録された単行本で読みましたが、すごく切なくて今でも折に触れて読み返したくなる物語です。

  •  ネプチューンのような発想は(生物の進化に関する)突拍子もなく現実味もないけれど、すごく好き。

  • 出版芸術社から発行されている『ふしぎ文学館』のシリーズに入っている自選作品集です。
    単行本は最新作以外全部読んでいます。
    だから単行本未収録作品にひかれて借りてきました。
    でも、そのうちの一作「眠い、ねむうい由紀子」は読んだことがありました。
    雑誌「PHP」、買った記憶あります。

    とにかく中学生・高校生の時に大好きな作家でした。
    今も好きですけど。

    「グリーン・レクイエム」
    とてつもなく繊細で、そしてスケールの大きな物語。
    これを高校生が書いたというのが信じられなくて。
    目に見えるような森の表情、明日香の髪のうねり、流れてくるピアノ曲。
    伝えるべき一言を、一瞬タイミングが遅れたばかりに伝えられないまま、永遠に失ってしまった大切なもの。取り返しのつかないその一瞬。

    「ネプチューン」
    カンブリア紀にいっせいに進化を始めた生物たち。
    原生動物から側生動物へ。そして魚類、両生類、昆虫類、鳥類などへ。
    なぜカンブリア紀なのか。なぜ多方向への進化なのか。
    その解のひとつがこの作品。
    この出来事は地球の意志なのか、とまで思えてくる。

    今まで何度も何度も読み返したこの2作品。
    やっぱり大好きだ。(いや、他の作品も好きなのよ)
    これからも何度も読み返すんだろうな。

  • 中学生〜高校生の頃、ハマって読みあさった新井素子。今読むと、生理的に合わなくなっている…女性キャラが時々「あん」と声を上げるのが、どうにもたまらない。あの当時は全く気にならなかったのに…それだけで受け付けないとは自分の感性の変化にもビックリ。もっと年を取ってから読んだら、また変わるのかもしれない。

  • 懐かしい。
    文体も作品も、そして内容も。

    ただ、登場する女の子達は、現実にはもういない。
    そんな、ふんわりぽよぽよな女の子は絶滅しちゃったんじゃなかろうか…

  • 久しぶりに読んだ懐かしい話たち。「グリーン・レクイエム」は大好きで何度も読んだ話なのに、今はなんかあれ~って感じ。期待が大きすぎたか?年をとりすぎたか?「雨の振る星、遠い夢」は、今でもおもしろい。人の感性って不思議。

  • 新井素子さんって少女小説の人だと思っていたけれど、デビューはSFでレーベル的には一般書籍のほうをよく手掛けているのね。で、なにやら受賞作がたんと詰まったという本作を手に取ってみたわけだけれど。

    あのね、たぶん世代の差だと思うの。
    女の子たちの心理が受け入れられなくて…。ミルクティが好きで趣味はお菓子作りと編み物、みたいな女の子像が、かゆくてかゆくて…。あん、あたしったらまた失敗しちゃった、おばかさん、みたいな文章に、違和感がひしひしと……。
    もとからSF初心者だから、ちときつかった。
    でも魅力あるお話だった。幼いころに読んでいたら、引き込まれて夢中になったかも。

    あ、ショートショートはかなり好みだった。地面と太陽の話は素敵だし、シニカルなものもあって、星新一以来のショートショートのあのブラックなスパイスを感じさせてもらって、楽しかった!

  • どの話もすごく好みだった。
    ロマンチックなSFの短編集。
    自分が人間であり、地球の一部である人類であることを再認識させてくれる素敵さ。
    私にも不思議な出会い、訪れないかしら…

  • 新井素子さんの本を読んだのは多分初。
    女性の描き方がリアルで、でも、かわいらしさもどかこに残してはある。

    個人的にはとても苦手なタイプで、読むのがちょっとつらかった。

    話はSFっぽいところがあって嫌いじゃない。
    蝉と雪の話は好き。影絵の街は怖さがある。

  • 新井素子は中学~高校生だったころ、よく読んでいた。
    この本に収録されている中で、既読は「グリーン・レクイエム」「ネプチューン」「雨の降る星 遠い夢」の3作。
    読んだことだけは覚えているんだけど、ストーリーは思い出せない。
    どれもあまり好きでなかったような気がする。
    だから、今読んだらどんなふうに感じるのかなあと思って、
    あえて借りてみた。

    読み返して、「ネプチューン」が好きになった。
    ネプチューンが戻っていくシーンがきれいだった。

    季節のお話が絵付きで全部読みたい。
    「八月ー蝉」は、うるっときた。
    ちょうど息子が卒園だからかもしれない。

    「叶った時には忘れているかも知れませんが、夢をみる時、子供達は幸せなのです。」

    先日の台詞劇で息子は言いました。
    大きくなったら、おすしやさんになりたいです。
    夢が叶ってもそうじゃなくても、言ったときの幸せな気持ちを覚えていてほしい。
    (10.03.16)

    図書館(10.03.15)

  • 新井素子さんの短編集。
    グリーン・レクイエム
    ネプチューン
    雨の降る星 遠い夢
    季節のお話  一月―雪 八月―蝉 十二月―夜
    眠い、ねむうい由紀子
    影絵の街にて
    大きなくすの木の下で
    を収録。すべて色にまつわる話らしいです。
    全体的に悲しい話が多い…?


    ○グリーン・レクイエム
    これは好きだなー。
    続編がある。それが好きだったと思う。
    読んだの大分前で話し忘れてるんだけど((

    ○ネプチューン
    茶色の海に浮かんでた、青い海の子。ネプチューン。
    彼女を中心としたお話。
    ラストが好きだなー。
    よくエッセイとかで女の子にネプチューンってつけたって聞くけど、それ。

    ○雨の降る星 遠い夢
    星へ行く船(だっけ)シリーズのひとつ。あゆみちゃんと太一郎さんが出てくるやつ。
    またこのシリーズを読みたくなった。

    ○季節のお話
    季節ごとのお話。ショートショートっぽい?
    ファンタジーっぽくて好きだな。

    ○眠い、ねむうい由紀子
    個人的に「それはありかっ」って思っちゃった。
    凄く、すごおく悲しいお話だと思ふ((

    ○影絵の街にて
    悲しいお話だなー。
    時間って…考える。

    ○大きなくすの木の下で
    くすの木って表記はありなのだろうか…?;
    最後の詩みたいな部分がよかった。


    最後についている新井素子著作リストは地味にうれしいと思う。

  • -グリーン・レクイエム-
     七歳の『信彦』が森の奥で出会ったのは、緑色の長い髪をもつ少女だった。

    『色』をテーマに書いた作品を集めた短編集。


    『グリーン・レクイエム』おお!懐かしい・・そんな想いで手に取りました。

    新井素子さんといえば、それまで動物ものかルパンなどジュニア向けのミステリーを中心に読んでいた私が、SFというジャンルに強く引きこまれた作家さんであります。たぶん最初に読んだのが『絶句』じゃなかったかな。その時の印象は「なんだか分らないけど面白い」だったと・・それから何冊か読んでみて奇想天外コメディよりは、こういったテーマ性をもった話に向かいました。正直に言えば、新井さんの主人公(特に女性)の口語体は抵抗があります。なんかぶりっこっぽいとか、バカっぽく思えて・・ですが、それを上回る魅力。この方の発想力、ものの見方にはいつも「ううむ・・」と唸らされます。『グリーン』にしろ『ネプチューン』にしろ独特の進化論に惹かれました。

    『グリーン・レクイエム』は特に印象強い作品です。テーマもそうだけど、高校生だったかな?当時の私には知らない言葉が多く・・ここには入ってなかったけど(緑幻想なのかしら)『おもねる』という言葉の意味が分からず、家に帰ってから辞書を引いたことを思い出します。それから『カプチーノ』!!今のようにスタバもなければ、ファミレスのなんて気軽に入れない時代(苦笑)、いったいどんな飲み物なのかさえも分らず(私だけじゃないよね?)社会人になってから喫茶店でメニューを見つけた時は迷わず注文してしまいました。しかも、ちゃんとシナモンスティックも出てくるようなところだったんですよ!あれは感動。

    今回この短編集を読んで、なぜ新井作品に惹かれるのかがわかった気がします。
    「雨の降る星 遠い夢」です。『星にいく船』シリーズは読んでなかったんですね。この中で主人公が理由も分らず気が重い、その感情を『憂鬱』と表現します。誰も悪くない(その立場立場にたってみれば)のに傷つく人(生き物)がいる状態。知らず知らずに他者を犠牲にしないと生きていけない生き物。なのにその一方で弱い者は守りたいと思うある種、傲慢で身勝手で優しい気持ち・・新井さんの話の底にはそれが脈々と流れているのです。だから読んでいると『憂鬱』になる。でも優しくなれる気がするのです。

  • 懐かしい新井素子さん作品が再読できてよかったです。
    新井さん独特の語り口調が新鮮に感じました。

  • 環境破壊とか、がテーマになっていると感じました。

  • やっぱり新井素子大好き!と再確認した一冊。
    独特の文体も物語の展開も全てが好み。
    「雨の降る星 遠い夢」を読んで、久しぶりにあゆみちゃんと太一郎さんに会いたくなった。
    星へ行く船シリーズ読み返そうかな。

  • 「色」をテーマに短〜中編9本を再録した作品集です。
    (一部、単行本初収録のものもある)
    久しぶりに読む、ロマンティック、メロウなSFに
    少女の頃を思い出して、じーん・・・。

    「グリーン・レクイエム」の揺れる緑、ショパンのノクターン
    「ネプチューン」の青、ねじれてパワーを持つ時間軸、
    つかみたい星、知らない世界
    「雨の降る星 遠い夢(星へ行く船シリーズ)」の
    優しくて弱いきりん草の、けぶる黄色

    今も大好き、とはもう言えないけれど
    ページをめくると
    一生懸命、何度も何度も読んだ10代の私を思い出します。
    確かに鮮やかな色をともなって。

    新井素子のコバルト文庫は、どれもこれも茶色く変色していて
    でもやっぱり、宝物。

    「あんた、運、相当いいぜ」
    「どこが」
    「俺とお知りあいになれたじゃない」

  • 07/03/09読了★色をテーマにした著者本人による自選集です。プラスで未収録短編が3作ほど…。久しぶりに過去の作品をよんだけどやっぱり私はすきだなぁって思った次第です。星へ行く船シリーズもう一度よみかえそうかしら〜。っていうか続き書いてくれないかなぁ。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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