- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784882933410
作品紹介・あらすじ
女のわたしを「若様」と呼ぶ男の背で2000年。二人の旅に果てはあるのか?…『くちづけ』。祖母に連れられて、ピアノを習いにきた熱心な少女は、すでにこの世の人ではなかった…『ミミ』。子供のころ大好きだった亡き父のお妾さん・信子。その旧宅で、彼女の霊と逢う美也子…『鬼灯』。甘く、切なく、そして儚い「小池ワールド」の素晴らしさを堪能させる珠玉の14篇。
感想・レビュー・書評
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小池さんのホラー系短編は読む尽くした自信があったけど未読の作品が割とあった。14作品収録で読み応えたっぷりの本。著者の自信作は「くちづけ」「ミミ」「親友」とのことだが私は予期せぬラストで驚く「足」が一番好きで何度読み直したことか。哀愁漂う「くちづけ」「鬼灯」も好み。著者は「美をはらんだ恐怖」を意識してホラー小説を書いていると言う。納得。
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NHK朝ドラ「わろてんか」では毎週土曜日にヒロインが当たり前の顔で死者と交流をしている。なんだか普通のことのように思いつつあったが、やはりこれはただ事ではない、異常な体験だと再認識した。
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この人の作品集だからサイコ物を期待してたら、見事に心霊物でした…。
でも女性の心理描写の細かさはさすが。特に「車影」が怖かった。
主人公の女性の人生にたびたび登場する黒い車。タクシーとして乗ってしまった祖母や友人はその後、失踪してしまう。しばらくして気づかず黒い車に乗ってしまった主人公は過去を思い出して…。
「災厄の犬」もイヤ~な感じがうまい。これはめずらしく中年男性が主人公。主人公以外の家族は、その犬がかわいい普通の犬に見えるのです。はては自分の不運を犬のせいにしてるだけじゃないか…とまで言われ、堪えきれず犬を捨てに行くが…。オチが怖い。 -
夏の夜の枕元に
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偶然図書館で手に取った本だったのですが,ホラーとは知らずに読み始めたので少々怖かったです。
自分が死んだ事に気づいていない幽霊と登場人物も孤独を抱えた人が多いせいかもの悲しい感じがしました。
14作のウチ表題になっている『くちづけ』と犬を飼っているせいか『災厄の犬』が印象的でした。
『親友』という話の中で幽霊になって現れる親友を嫌がる奥さんを差し置いて
自宅でもてなし続ける夫の気持ちが理解できません。親友ならちゃんと成仏させてあげたいと思うのでは?
それとも、男同士の友情ってこんな感じなのでしょうか? -
図書館の本
内容(「BOOK」データベースより)
女のわたしを「若様」と呼ぶ男の背で2000年。二人の旅に果てはあるのか?…『くちづけ』。祖母に連れられて、ピアノを習いにきた熱心な少女は、すでにこの世の人ではなかった…『ミミ』。子供のころ大好きだった亡き父のお妾さん・信子。その旧宅で、彼女の霊と逢う美也子…『鬼灯』。甘く、切なく、そして儚い「小池ワールド」の素晴らしさを堪能させる珠玉の14篇。
小池真理子のホラーってどうなのでしょう?と思ったのですが、ベースにあるのはやはり「愛」で「恋」なのやもしれませんね。
タイトルにもなっている「くちづけ」が一番好きでした。
男性の広い背中を見るたびに、小さな男の子が背負われているのを見るたびにこのお話を思い出すことになりそうです。 -
単行本未収録作も含んだ、ホラー寄り短編集。ちょっと古めの作品もあって懐かしいです。最近の小池真理子さん、恋愛小説寄りですからね……。でも私が好きなのはこういう作品の数々でした。
お気に入りは「ミミ」。ありきたりな怪談のように思えて、実は一番怖いのは主人公の孤独感なのかも。幽霊が登場するけれど、怖いのはそういうところじゃないんだよねえ。「ミミ」の怖いながらも愛らしい部分もまた魅力。
「しゅるしゅる」も好き。謎めいた不気味さがたまりません。そして一番怖かったのはというと……「康平の背中」かな。あのオチはあまりにあまりだよっ!