星へ行く船シリーズ4逆恨みのネメシス

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  • 出版芸術社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784882934943

感想・レビュー・書評

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  • 森村あゆみを逆恨みする少女。あゆみにまとわりついて嫌がらせをする。でも、どこか普通の逆恨みではなさそう。同時に逆恨みをするおじいさんも登場。最初は話の展開が読めなくて、これきちんと話のオチをつけられるのか心配だった。もちろん、不思議な逆恨みの顛末は明らかになるし、この作品のカラーとして、軽く解決する。新井素子という作家はすごいな。じっくり読めば穴なんてたくさんあるのだろうけど、読者に疑問を抱かせる前に次々と新しい事件を起こす。読者は退屈する暇もなく物語の波に乗れる。読んでいて楽しい。次はシリーズ最後の作品だ。どんな結末が待っているのだろう。

  • 面白いッ!
    いつもよりアクションがなかったからか、むづかしい話が多かったからか、スカッと感は少なかったが、相変わらずのスラスラ読める感は健在ですぐ読み終わった(私これと同じ話を毎回してるな)
    個人的に本編よりも書き下ろしの「田崎麻子の特技」が好きかな あとがきも大好き笑
    麻子さんやレイディ、あゆみちゃん、今回登場・信乃さん等等、星へ行く船の女性は芯の通った凛々しい人ばかりで惚れそうになる。ステキ。憧れる。

  • かなり大幅に加筆改稿されてるので、
    シリーズ前半の事件で、敵役だった人々の
    関係者に、主人公のあゆみが恨まれ、逆恨みの
    挙句に嫌がらせを受ける…という本書の内容、
    コバルト文庫版を読んだ時は、

    「いや、そりゃ、恨む人の気持もわかる。
    分かるけど信乃さん…(今作のゲストヒロイン)
    それであゆみちゃんに恨みを抱いて生きても
    後ろ暗い稼業や人生に行けば行くほど、あなたの
    先行きなんてもっと暗くなる。

    親兄弟がろくでもなかろうとも、何をしようと
    自分だけはまっとうに行くんだ…って思って
    生きないと…。そりゃすごい幸福は望めないし
    現実に差別はあるし、キツイだろうけども。

    それでも身一つってことは、自分にだけ責任持てば
    いいってこと。出直しをぶち壊す人も、逆に言えば
    いない。ちょっと動機が弱くない?変だよ。」

    と、決して当時幸せじゃなかった私、思ったのです。

    奥付を見ると、三作目の『カレンダー・ガール』
    と『逆恨みのネメシス』『そして星へ行く船』
    の出版執筆の時期がかなり開いていたせいで
    後半二冊はかなり作品の雰囲気が変わり
    読み手側は、すごく期待した分だけ

    あり?もっと面白いはずなのに…ありゃ?

    って違和感が。

    で…出版からかなりたってシリーズ一気読みで
    ラノベ読者デビューした私、思って…。

    面白いのは前半三作までかな…って
    思って文庫版読了したのです。

    が…今回同時期に作品全てに手が入り、
    加筆改稿されたことで、少女小説と言うより
    ライト風味だけど、しっかりしたSFシリーズに
    生まれ変わったこのシリーズ、作品の雰囲気や
    構成感に統一感が出ました。

    つまり、前半三作みたいな疾走感は
    ないですが、あ、この話つまんないわ
    という感触も、綺麗に払拭されていて

    山場になるラスト一冊に向けて
    わぁっと盛り上がるわけではないけど
    橋渡しの役をする、落ち着いて読める
    小説になっています。

    「ざっと読んだら気にならないけど
    この部分は?」

    って言う抜けがしっかり補完されたこと。
    細かな登場人物の心理や背景が書き込まれた
    おかげで

    作者様の若さが、作品を新鮮にしていた前三冊と

    (調べると新井さん、当時大学生で
    いらしたはずで…。
    後半の二冊は、ご結婚されたあたり。)

    社会人の落ち着きをお持ちで、家庭も
    持たれて、良い奥様でもあろうとされた
    はずの新井さんの筆致が変化して

    シリーズ的には

    あれ?この話もっと面白く盛り上がって
    いいのに…失速?いや…でも下手じゃないし…。
    落ち着いちゃったかな?

    うーん、読み返すなら前三冊でいいや…

    という、作品の中のトーンの落差が
    なくなったのが、とてもいいです。

    ティーンの時に読んでも
    大人が読んでも…年齢層に関係なく
    楽しめる、良質なSFだなと思います。

    うーん。
    読みやすい、と、手堅い、が両立するって
    良い、です。

    ラスト、どうなるかな。楽しみです。

    そうそう、スピンオフの主役は麻子さん。
    これも、麻子さんがそれなりにぶっ飛んだ
    行動力を見せていて…やっぱ水沢さんの
    奥さんになるだけはあるわねー、って感じ。

    あと、ううん。長くなった…蛇足ですね。

    本編でとんでもない事実がバラされます。
    文庫版の本編にも、最終巻に至るまで
    これは書かれていなかったはず…!

    えーっ!です。はい。
    ナカミ?

    いえ、これはネタバラシしたらダメ!
    ご本をご自身でお読みになってください。

  • 過去の事件や登場人物が出てきてストーリーも終盤

    表紙の人物はレイディ?

    あゆみちゃんの言動にまどろっこしさを感じでイライラしてしまったんだけど・・・次巻に続く

  • あゆみちゃんの能力を知っているので、ここで発揮されてたのかな…とか思いながら読みました。いきるか死ぬかのお話なのに、ほのぼのーっと読めるのはさすが新井先生でした。

  • 完全版

    嬉しい書き下ろしは「田崎麻子の特技」

  •  『そして、星へ行く船』へとがっつりつながっている、序章のようなお話で、昔読んだ時もシリーズの中で一番本の厚みも薄いし、正直印象も記憶も一番薄かった。
    何があったかまったく覚えていなかった。
    『通りすがりのレイディ』とは違って、たぶんさらっと一度しか読まなかったんだろうなぁ。
    今回もやはり、本編はさらっとという感じではある。

     が、今回の新装版(完全版?)には、麻子さんの短編と・・・目を疑うほど、思わず厚みを確認せずにはいられないほど長い「あとがき」が入っていて、1冊の本としては何とも面白味のあるものになっている。
    「あとがき」を研究したり語る人がいるならば、是非オススメしたい1冊(笑)。

  • "「どんな関係の誰か、なんて処までは、あたしが教えてあげる筋合いのものじゃないし、教えてあげる気もない。別にあんたがあたしの台詞を信じなくたって、ちっともかまわない。だけど、一応言っといてあげると、そっちは、本気で、あんたを殺す気だからね」
    「誰が?どうして信乃さん、そんなこと知ってるの」
    「さあ。……あたしとしては、あんたがそいつに殺されちゃったって、それはそれでまったくかまわないんだけど、せっかく火星くんだりまでやってきたんだもの、あたしがこころゆくまであんたに意地悪をする前にあんたが死んじゃうと残念だから、たったそれだけの理由で教えてあげるんだもの、あとのことは自分で考えたら」
    こう言い捨てると信乃さん、そのまますっと立ちあがってしまう。"[p.96]

  • あぁ、あと一冊…
    しかも、最後が…
    読みたいような哀しいような…

  • シリーズ中もっともSF感がないのがこの巻かもしれません。SF的ガジェットは登場しますが、なんたって逆恨みからの嫌がらせの方法はアナログだし、階段だし、竹串だし。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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