第1章辺りは、日本人は時間を守る民族、勤勉で働き者という神話を明治期のお雇い外国人たちの発言、幕末の日本の記録などから崩しまくり、読んでとてもおもしろい。江戸時代、勤勉に働かせられていたのはあくまで農民であって、職人たちは午前中しか働かなかったり、明治に来日したオランダ人たちが困ったのは日本人労働者が時間にルーズ過ぎることだった。近代教育制度の裏の目的は、よい工場労働者を育成するため、命令に従順であり、時間を守り、反復作業を嫌がらなくすることであると言われるが、現在の日本人の国民性と言われるものの多くが、単に明治期に西洋人たちの協力で導入された近代義務教育によるものだったことがわかる。第2章ぐらいから、だんだん専門的な内容になっていき、読み通すのはかなりきつくなってくる。