アダルト・チルドレン完全理解: 一人ひとり楽にいこう

著者 :
  • 三五館
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883200870

感想・レビュー・書評

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  • 20年以上も前の本ですが、内容が陳腐化していないというか、20年以上も前から家族問題が顕在化していた人たちがいたと知りました。(他にも、著者である信田さよこ氏の本は読みましたが、この信田氏が「アダルト・チルドレン」という概念を広めた、当時の先駆者だったみたいです。)
    この本では、私が身近で見てきた家族(良く言えば「働き舎の父、良妻賢母の母、親孝行な子」)と類似の問題が、たくさん載っていました。特に「共依存」、「嗜好(アディクション)」、「機能不全家族」、「世代連鎖」のように、私が介護に向き合った中でようやく気付いたことについても載っています。
    近年、中高年の子供と高齢の親の問題を散見するようになってきていますが、私には「高度経済成長期という強い光の影に隠れてしまった親子関係の問題が、ようやく今(少子高齢化・低成長社会)になって噴出しているだけ」のように思えてなりません。
    この本に「自分の人生と親の人生の間に線が引けるようになることです。それは親を捨てることでもなく、親を憎んでいるわけでもありません。でもそのプロセスにおいて親を憎むことがあってもいいわけです。そして、親もあれでよかった、私もこれでいいと思えるようになる。そういうふうになることがACの回復ではないかと思います(P143~P144)」とあります。
    私の配偶者は今、このことができたことにより、自分の人生を取戻し始めています。配偶者を見ていて、私は「自分の人生を人のせいにせず、自分で責任を持つことができる人こそ、本当に強い人ではないか」と思っています。

  • アダルトチルドレンの概要が知りたくて、久々に図書館よりお借りする。平易な言葉で分かりやすい。
    1996年出版。アダルトチルドレンという言葉の創生期における概要について。ACOD(アダルト・チルドレン・オブ・ディスファンクショナル・ファミリー)=家族関係がうまく機能しない家「機能不全家族」において成長した人々。概していい子だと思われる子どもに成長し、三類型に分けられるのではないか。
    ①責任を負うども/②なだめる子ども/③順応する子ども
    それぞれの類型における傾向と問題点。

    特徴として、孤独感、自己非難、極端な自己評価の低さ、愛と同情の混同、怒りや批判への脅え、自分の感情に気づき表現する能力の欠如、自己肯定感の無さ、絶望的なまでの愛情と承認の要求…ACのランドリーリストより

    失敗することへの恐怖、承認されることの欲求、コントロール(支配)することの要求、頑固さ、一貫性のなさ…アメリカの研究者エドワード・ゴンドルフとロバートアッカーマンによる。

  • 「家族で笑って食事をする現実ってほんとにあるんだ」
    サークルや、他の人の家族関係を見ながらおんなじ気持ちになりました

    「ACはなんでも人のせいにしていると言われますがしていいと思います」
    という言葉にものすごく救われました。

    「親に感謝しなければいけない」っていう世間の常識から外れたことをして、親に対して罵詈雑言を語ってもいいんだ。


    「嫌な奴でいいや」と思ったときからすごく幸せに生きることができるようになりました。
    というか、かえって僕を支えてくれる人が増えましたし、心から感謝することができるようになりました

    「ACの12ステップ」の1で「我々はアディクションの影響に対して無力であり、生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた」というので、
    「環境はすべて自分の心が作り出している」と信じて(依然、僕はこれが真実だと確信していますが)、すべての辛さを自分でどうにかしようとしていた自分の心が救われました。

    ACを卒業して、安心して愛し、愛されるような人間になりたいなと思います。

  • ・問題飲酒とは、“ある人が習慣的に酒を飲む。その結果、周囲が困る。それを知りながら酒をやめられない”ということを指す。
     →アルコール問題は、本人だけを見て、本人をやめさせようと説教するだけ無駄。大切なことは家族への対応であり、まずその人の家族を救わなければならない、という発想の転換。

    ・共依存とは、簡単に言えば、愛情という名を借りて相手を支配すること。

    ・アルコール依存症の家庭に育った子どもたちがいちばん傷ついているのは、夫婦のいさかいなのです。父と母の間に繰り返されるドラマをずっと見ていること、その観客でいることのおびえ、自分のせいではないかという罪悪感。これらのほうが、直接殴られるより子どもにとってははるかに苦痛です。

    ・記憶を重りにたとえた場合、重りで自分自身というはかりが壊れたら困りますから、はかりが壊れてしまうような重りは乗らないようになっています。そういう記憶は全部忘却、あるいは否認という形で底に沈んでいて、その人がだんだん力をつけてきて、はかりの耐える重量が上がってくると、底にある記憶が浮かんできます。
    だから、新しいことを思い出すということは、その人がある記憶を抱えられるだけに回復したり、変化したことの証です。

  • 中年期に問題を生じやすい日本的ACについて、よく書かれていた。古い本だけれど違和感なく読めた。

  •  『アダルト・チルドレン』とはどういうものなのか? 彼らについてまとめられたもの。
     ただ、1996年に出されたせいなのか、本当に『ありがち』というか、いわゆる『例』としてあげられやすい例ばかり書かれている部分が気になった。

  • アダルトチルドレン…家庭の環境により心や人間関係に障害を持つようになった人

    アディクション(嗜好)
    機能不全の家庭で育った子どもは、機能不全の家庭にで生き抜くための適応能力を身に着けている
    例えば仕切りやだったり必要以上におどけたり、存在を消したり
    その子たちが社会=機能不全でない環境にでていった際
    今までの環境で受け持った役割とは違う役割を求められるができなかったりして問題が起こる。
    しかし本人たちはこの適応能力が普通だと思っているので、何が悪いかわからない
    自分が悪いと思い込んでしまう
    しかし悪かったのは子どものころの環境だということに気付き
    自分の中の親の像(インナーペアレンツ)を変化させることによって
    自分が求めていたもの、足りなかったものを知る

  • AC(アダルト・チルドレン)の概念を始めから丁寧に解説しているので、知識の浅い人でも読み進めることができます。親子間のコミュニケーションのパターンが良くも悪くも世代連鎖していってしまう現状については、学生のうちから問題意識を持っておくべきだろうと思います。本書のタイトルにあるような「完全理解」という感覚は味わえませんが、家庭環境について私たちが見直すべきテーマは随所に挙げられているので、その後の活用の仕方は読者次第と言った感じです。

  • 皆心にある親のイメージに大人になっても苦しんでいる。それが自分の結婚にまで影響してしまっている事実。怖がりすぎて相手に「そうでないもの」ばかり求めてしまいがち。自分で健康にならなくちゃ。

  • 若者よりも中年の、特に女性のAC向けの本?という印象を持った。内容としては特に女性だけ、ということではないのだろうが、言葉の端々にそういう感じが漂っている。男性が読んだら、そういう部分が気になるかも。講演会をきいているような感じのする部分も。2006年7月

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著者プロフィール

公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。

「2023年 『家族と厄災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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