コントロール・ドラマ: それはアダルト・チルドレンを解くカギ

著者 :
  • 三五館
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883201006

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  • 「今は家族を自分の作品のように誇り、それをたえず他者から確認してもらうことで家族を維持している。他者からどう見えるでつくられる家族が今の家族である。同様に、子どもも、「自分の作品よ」と誇る時代が来るのではないかと危惧している。」

    これが出版されたのが、1997年。今、まさに、著者が危惧していたことが現実になっているのではないか。
    それは、ますます悪化しつつあるのではないか。
    ただ救いなのは、今までは、隠されて弱者が耐えるしかなかったことが、白日のもとに晒され、仕方がないと諦めていたことが、仕方がないことではないのかもしれないと、考えが変化していっていることだと思う。

    いまだ、家族に幻想を抱いている人は多いと思う。家族とは何なのか?

    p77に一つの指標のようなものがある。

    「家庭というものは、勝つ負けるというものから自由でなければいけない。支配する、されるから自由でなければなりません。つまり自分が自分のままで生きて、なにか安心できて、ご飯がおいしく食べられて、だらしなくしていても許されて、自分が何か言ったら聞いてくれる人がいる、それだけでいいんです。ところが、それが全然ない家族がどれほど多いことか。」
    きちんとしなければ、許されない場所に、安らぎはないと心底思う。
    そして、こういう場所をこどもに与えるために、大人は努力しなくてはならない。

    p133
    「親が子を支配する共依存というのは、必ずその対象が不幸でなければなりません。」
    怖いなと思う。こどもの不幸を望む親。珍しいことではない。そして、こういう人ほど、自分こそが被害者で我慢していると思い込んでいる。それが怖い。

    全体的に、苦しんでいる人に寄り添ってくれるような印象を受ける本だった。
    それが苦しいのなら捨てればいい。
    シンプルで、自分の覚悟が必要だけど、自分の覚悟さえあれば何とかなるのかもしれない。
    そう思わせてくれる本だった。

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著者プロフィール

公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。

「2023年 『家族と厄災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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