メメント・モリ

著者 :
  • 三五館
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883204489

感想・レビュー・書評

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  • 幼い頃、
    私は怒鳴る大人が怖かった。

    <嫌い>と言う感情は知らなかったから
    自分を守るシールドを張ることも出来ず、
    ひたすらびくびくと脅えるばかり。

    (怖れ)とは
    良く知りもしない相手に対して
    抱く感情だったのかな。

    なんて
    頁を捲ったその先に広がる光景を見ながら
    そう感じた。

    私はもう、
    犬に食われ、
    火にくべられ、
    骨になってく<死体>を見ても
    恐ろしい、とは思わない。

    この衝撃的とも言える光景を撮り、多くの人々の目に生々しい死を直視させようとした、著者の意図のほうが遥かに興味深かったからだ。

    人は美しく賢い。
    が、その美しさも賢さを誇れるのも期間限定。
    やがてその日が来れば
    人は再び、創造前の一塊の肉に戻されてしまい、
    やがて生まれくる別の人間の為の素材と化す。

    ならば、
    流されず生きろ。と、そんな声が聞こえた。

    死の光景の後は再生の様な風景写真。

    死とは、朝を迎えるためにやってくる夜の様なものだな、と読了してそう思った。

    • kaze229さん
      ほんまやねぇ(関西弁)
      藤原新也さんの写真と文を目にするたびに
      心をぞわっとさせられたり
      今、いきていること を考えさせられたり
      平...
      ほんまやねぇ(関西弁)
      藤原新也さんの写真と文を目にするたびに
      心をぞわっとさせられたり
      今、いきていること を考えさせられたり
      平等に訪れる死 を意識させられたり
      なんでしょうね
      この 包み込まれるような
      気持ちの揺れ は

      いつも すてきな言葉を ありがとう
      2014/09/06
    • MOTOさん
      kaze229さんへ

      そうやねん(と、返してみたり)
      「死を想え」って、命令形…
      写真集を目にして感じたのは、
      死、想ったつもり...
      kaze229さんへ

      そうやねん(と、返してみたり)
      「死を想え」って、命令形…
      写真集を目にして感じたのは、
      死、想ったつもりでいただけだったんだなぁ。
      本当に覚悟してたら、生きる事はこんなにつらいはずないんだなぁ~、って事。

      はっ、とする言葉と出会えると嬉しいね。
      こちらこそいつも はっ とさせていただき、 ありがとう
      2014/09/07
  • 2008年初版。200ページに満たない作品です。写真と短い文章で構成されています。何度も読み返しました。感想を書こうと思いつつ書けずにいます。きっと、この本は今後も何度も何度も読み返すと思います。きっと感想も変わってくると思います。「メメント・モリ」は、ラテン語で「自分がいつか死ぬことを忘れるな」「死を忘ることなかれ」と言う意味らしいです。だからと言って日々を享楽的に生きると言う解釈ではないように思います。目を背けたいような写真もあります。今の閉塞的な世界に読んで、生きること死ぬと言うことを考える意味で価値ある作品だと感じます。また読み返してみます。

  • 死を常に感じながら生きること。人間が人間として生きるうえで必要なことだろう。

    死の瞬間が命の標準時。最初の言葉と写真から、なぜか進めなくなった。死が根源であり、基本である。そこに向けて一歩一歩進んでいく。それが生きること。

    誰にでも訪れる死の瞬間まで、なんとか踏ん張って生きていきたい。

    読むたびに違う感じ方をする本だと思う。また期間空けて読みたいと思う。

  • 言葉の少なさがまた「死」のありかたをまざまざと見せつける。

  • 言葉が少なく、写真が全てを物語っている。
    ただ漠然と生きることはある意味幸せなのかもしれない。
    けど、或る意味ではとても不幸なこと。

    写真から伝わるのは生への力強さとその奇跡。先進国で安泰に生きる人々に足りないものを感じた。

  • 「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」というコメントが有名な写真集。
    死生観というか、生命の連続性を意識させられる一冊。
    これ読んで、インドに行きたいと思ったのは間違いなく。
    「おくりびと」のインタビューで、もっくんがこの映画に入る前から、死生観についてはこの本から影響を受けていたと言っていて、興味を持った一冊。
    日常から不浄なものとして隔離された死を、生命の延長線上だと改めて感じました。
    これは手元に置いておきたい。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「生命の連続性を意識させられる一冊。」
      色々なモノと隣り合わせになっている世界の素晴しさと醜さ(醜いと感じるコトが人間の小ささの証明なのでし...
      「生命の連続性を意識させられる一冊。」
      色々なモノと隣り合わせになっている世界の素晴しさと醜さ(醜いと感じるコトが人間の小ささの証明なのでしょうけど)。
      それを、全部は無理だけど、少しでも飲み込んでしまいたい。。。
      2013/05/02
  • カラーの写真に文章、という写真集のような本。
    短い一言のようなどの言葉にも何か力のようなものを感じる。
    「Memento-Mori 死を想え」

  • 人に贈ったりして、この本を手に取ったことは何度かありましたが、そろそろ自分の手元に置いておきたいと思い購入しました。
    買うときに改定前のものとこちらの新版と、かなり迷いました。

    ほとんどのページ文字が銀色で、角度によっては見えにくいので写真だけを集中して見たいときにはいいと思います。
    けど今まで慣れ親しんだ、黒とか白の文字がくっきり写真に刻まれてた初版の方があったかみがあって好きだったかなぁ。

    どちらにせよ、藤原さんのメッセージには何度も救われました。
    新版もこれから読むうちに、新たな魅力を発見できたらなと思います。ときどきめくりたくなる、そんな本。

  • 高慢でギトギトした物言いは、元となった旧作の初版、八十年代の時勢をよく伝えていると思う。
    今になって初めて手にしたが、当時だったらどう受け取っただろう。熱狂していたのかもしれない。ある意味妬ましい。

  • 前に読んだ時は分からなかったことが分かるようになっていた。それは楽しいことではないけど、私も後者の阿呆の方を選ぶしかない。
    言葉の力、写真の力、強い。ウッとなるほど

    「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」

    また時間をおいて読みたい。

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著者プロフィール

1944年福岡県生まれ。『印度放浪』『全東洋街道』『東京漂流』『メメント・モリ』『黄泉の犬』『日本浄土』『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』『死ぬな生きろ』『書行無常』『なみだふるはな』など。

「2022年 『若き日に薔薇を摘め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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