- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784883205851
感想・レビュー・書評
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現代の医療はEBM(エビデンスつまりデータに基づく医療)に基づいている。著者の主張の根幹は現在の西洋医学の9割の否定である。しかし著者がその反論として持ち出す言説なり論文は著者の主観の域を出ず根拠に乏しい。おおざっぱに言えば、ある問題に関してありったけの情報をかき集め、自分の理論に否定的な情報の方が遥かに多いにも関わらずそれらの存在には触れることなく、自分の解釈に合うような1情報を選び出して取り上げるという寸法である。その意味ではほとんどの医学的な主張は読むに値しない。医療と病気について自分自身の頭でバランスよく考えよと主張する著者自身が頭ごなしに西洋医学を否定するのは自己矛盾でしかない。薬に関しても、生体は複雑であるから薬が生体に様々な症状をもたらすのは当たり前でありリスクが利益を上回ればその薬を使わないというのが医療の常識である。一方医療界に既得権益が存在しそれらが真に患者のためになる医療を阻んでいる可能性は否定できない。しかしそのような一面はどの世界にでも存在する構造である。肥大化する医療費についても歯止めがきかないのはまた事実であり、個人的にはその第一歩としては終末期医療のあり方について国民全員が真剣に考えることがひとまず必要なことだと思う。何点かについては考えさせられるものがあるがそれらは著者が文中で指摘するようにあくまでジャーナリズムあるいは社会学的な視点からのものであって、展開されている医学的な主張に関しては根拠に乏しいお粗末なものであると言わざるを得ない。
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既存の医学について、真っ向から否定する一冊。
とにかく何に対しても否定なので、あまり役に立たなかった。 -
激しい物言いだが、突き詰めて考えていくことに興味が出た。
詳しく調べていきたい。
本当に人を良くすることは何だろうか。 -
現代の医学は病気を治さない、それを治すという発想そのものが問題であるとして、病気への対応はどうあるべきかを提示。ここまで現代医療を否定するのは一読の価値があるともいえる。
一方、論理展開や資料引用解釈に飛躍があったり、脈絡がおかしい部分もあるが、そこは割り引いて読むべきか?