ダラエ・ヌールへの道 アフガン難民とともに

  • 石風社 (1993年11月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784883440511

みんなの感想まとめ

医療活動を通じてアフガン国内の診療所設置を目指す中村医師の姿勢が描かれた作品は、困難な状況にあっても希望を失わず、ユーモアを交えながら人々と向き合う姿が印象的です。彼は、政治や体裁に翻弄されながらも、...

感想・レビュー・書評

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  • ペシャワール(パキスタン)のアフガン難民たちへの医療活動から、中村先生悲願のアフガン国内の診療所設置の紆余曲折が描かれる。
    とにかく、あらゆる困難が多すぎて、自分などはよくも忍耐強く、物事の本質(いかにすべきか)を見抜き、行動されたかにただ驚くばかり。ひとつわかったのは、中村先生は“ユーモア“のある方、ということ。希望を失わない、というのはどこか楽天的なところがある。銃口を向けられても、努めて冷静に、との文は、自分はある種の“ユーモア“と受け取った。先生は飄々とした感じがある。
    とはいえ、“あらゆる困難“に変わりはなく、現地事業だけでなく、個人的なことも結構あけすけに記されていてちょっと驚いた。活動は、自分ひとりだけでなされているのではなく、と先生自身も言われている通り、どうしても中村先生だけが表面に出てくる傾向にあるが、それを避けたかったのかもしれない。
    それは次の文章で感じた。ハンセン病患者の様子を取り上げた章があって、その人々との関わりのなかで先生は気づく。(自分は)「患者たちと共にうろたえ、汚泥にまみれて生きてゆく、ただの卑しい人間の一人」と。

  • 政治や体裁という実体のない力に翻弄されながらも、常に行動(中村医師風に言えば「実弾」)でもって対峙されてきた方の言葉です。
    現場で常に人と共に在り続けた中村哲医師の言葉はさながら、「沖仲士の哲学」のようで、虚飾の皮膚が怜悧な刃物で精密な薄さで切り取られるような、そんな感覚を覚えます。

    立ち向かうべき人間には対しては厳然とした態度で臨み、手を差し伸べるべき人間には柔らかな眼差しを持ち続けた、そんな姿勢をわずかでも持てたら、という思いに中村哲医師の言葉は力を与えてくれます。

    「およそ人間と名のつく動物の集まる社会では、人はそれぞれに、侵してはならぬ「神聖な空白」とでも呼べるものを共有し、それに自らの生活から滲み出た言葉で意味を与えようとする事である。謙虚さの根源は、この、人の言葉の限界と相対性を自覚することにあると私は思っている。実態と投影図を混同するところに人間の傲り、偽りが生ずる。投影図の操作で実態を操作できるとまで信ずる所に、人間のこっけいな悲劇が生ずる。」p.249

    「我々が神を守るのではなく、神が我々を守るのである。金や地位に執着しないのはそう難しいことではない。難しいのは、自分たちが設けた心の垣根――人生観、思想、生きる論理、哲学……何と呼ぶにしろ――さえからも人は実は自由に生かされている事実を知ることである。人の定義したり発明する神なぞ要らない。守らなければならぬ神なぞありえない。それは独善・狂信・偏狭・妄執とは無縁のものであり、すべての思想や生き方を突き破って輝く圧倒的な光なのだ。躓きは下手な人間の言葉にある。」p.262

    「今日、それなりに西欧化してスマートになった日本で何が足りないかと言えば、決して各分野における各論卓説ではない。まして技術的教育水準はすでに欧米を圧している。だが、巷には怪しげな新興宗教が依然として若者の心をとらえ、政治家は金で腐敗し、国際化の掛け声の舞う国内では老人が過疎地に捨てられ、塵ひとつない街路では浮浪者が暴行を受ける。そして、ヌエのように掴みどころのない慌ただしいだけの精神生活に、誰もがやる瀬なさをかこっているではないか。
    我々に足りないのは科学技術でも、気の利いた幸福論や海外協力論、ひねた個性の追求でもない。足りないのは、自然と人間についての地についた洞察であるような気がしてならない。」p.259

  • NDC 369.9

  • 家族でもない他の人のために何かをする。しかも命がけで。どうしてそのようなことができるのか、する人がいるのか。背景が少しだけわかった気がする。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2019年度第6回図書館企画展示
    「追悼展示:中村哲氏執筆本等」

    展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

    開催期間:2020年1月6日(月) ~ 2020年2月28日(金)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

  • 「井戸を掘る医者」中村哲さんの強靱な意志

  • 究極の医療過疎地への拠点作り。所属組織、人種、宗教、様々な爆弾を抱えつつ、真に大事な事は何かという事を貫く中村医師。

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著者プロフィール

1946年福岡県生まれ。九州大学医学部卒業。日本国内の病院勤務を経て、84年にパキスタンのペシャワールに赴任。以来、ハンセン病を中心とした貧困層の診療に携わる。87年よりアフガニスタン難民のための医療チームを結成し、山岳無医地区での診療を開始。98年にはペシャワールに基地病院を設立。2000年からは診療活動と同時に、大干ばつに見舞われたアフガニスタン国内の水源確保のために井戸掘削とカレーズ(伝統的な地下水路)の修復を行う。03年、「緑の大地計画」に着手、ナンガラハル州に全長27キロメートルに及ぶ灌漑用水路を建設した他、農村復興に尽くした。2019年12月4日、アフガニスタンのジャララバードで凶弾に倒れる。  著書:『ペシャワールにて』『ダラエ・ヌールへの道』『医者 井戸を掘る』『医は国境を越えて』『辺境で診る 辺境から見る』『医者、用水路を拓く』『中村哲対談集 人・水・命』(以上、石風社)、『天、共に在り』『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』(以上、NHK出版)、『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』(岩波書店)、『アフガン・緑の大地計画』(PMS &ペシャワール会)、『希望の一滴』(西日本新聞社)、『中村哲 思索と行動』(ペシャワール会)など。

「2026年 『中村哲の言葉1 不条理への復讐』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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