医者 井戸を掘る―アフガン旱魃との闘い

著者 :
  • 石風社
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883440801

作品紹介・あらすじ

白衣を脱ぎ、メスを重機のレバーに代え、大地の医者となる。──パキスタン・アフガニスタンで1984年から診療を続ける医者が、戦乱と大旱魃の中、1500本の井戸を掘り、13キロの用水路を拓(ひら)く。「国際社会」という虚構に惑わされず、真に世界の実相を読み解くために記された渾身の報告。

感想・レビュー・書評

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  • 古書店で本書を目にし、一昨年の12月、武装勢力の銃弾に倒れた著者のニュースを思い出し、手に取った。当時のタリバン政権、各国NGO、住民などとの遣り取りのリアルがここにある。リーダーシップとは、政治交渉とは、ニーズ解決とは...。様々な要素が詰まった一冊。こんな実践できんのかよって考えさせられるが、自身のポジショニングで取り組めることからやっていこう...。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kamitakoさん
      この本が出た後に、講演を聴いたのですが、訥々と話される姿に感銘を受けたのが、ついこの間のように、、、
      同じくアフガ...
      kamitakoさん
      この本が出た後に、講演を聴いたのですが、訥々と話される姿に感銘を受けたのが、ついこの間のように、、、
      同じくアフガンで殉職した、伊藤和也の写真集「ダラエヌールの子供たち」を見て溜息をついています。。。何故なのかと、、、
      2021/01/14
    • kamitakoさん
      猫丸さん
      おぉ、肉声聞かれたんですね。
      ここまで尽くした人たちがなぜ? と思ってしまいますね。伊藤和也さんの写真集、出会ったら見てみます!
      猫丸さん
      おぉ、肉声聞かれたんですね。
      ここまで尽くした人たちがなぜ? と思ってしまいますね。伊藤和也さんの写真集、出会ったら見てみます!
      2021/01/15
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      kamitakoさん
      子ども達が、とても可愛いので是非。。。

      アフガンが普通になったら困る人がいらっしゃるのでしょう、、、猫的には、そんな...
      kamitakoさん
      子ども達が、とても可愛いので是非。。。

      アフガンが普通になったら困る人がいらっしゃるのでしょう、、、猫的には、そんな輩は呪われろ!です。
      2021/01/15
  • どんな政治体制の元でも人は生きてゆかなければならないし、生きてゆける。
    そして大国の馬鹿共を見返す日を一緒に迎えたい!

    医者 井戸を掘る | 図書出版 石風社
    https://sekifusha.com/362

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      中村医師ドキュメンタリー映画公開へ!塚本晋也「今、全ての人が見るべきドキュメンタリーだ」 | 映画ログプラス
      https://tokush...
      中村医師ドキュメンタリー映画公開へ!塚本晋也「今、全ての人が見るべきドキュメンタリーだ」 | 映画ログプラス
      https://tokushu.eiga-log.com/new/137445.html
      2022/06/08
  •  アフガニスタンで井戸を掘っていた医者中村哲さんの悲報が報じられました。なにもできることがないので、少しづつ記事を読んでくれるかもしれない誰かに紹介しようと、ブログに「案内」しています。
    https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201912130000/

    • kuma0504さん
      シマクマさん読みました。このブクログでは、簡単にリンク先に飛べないのです。出来たら、編集してそのままここに載せるべき素晴らしい文章だと思いま...
      シマクマさん読みました。このブクログでは、簡単にリンク先に飛べないのです。出来たら、編集してそのままここに載せるべき素晴らしい文章だと思います。
      2019/12/13
  • 916
    2020年度図書室だより 学生おすすめ本

  • 2019年12月4日、NGO「ペシャワール会」(福岡市)の現地代表で医師の中村哲さん(当時73歳)が殺害された。

    この中村医師の著書『医者井戸を掘る』には別紙がついています。

    2001年9月11日。そう、9.11の米同時多発テロ事件です。マンハッタンのワールドトレードセンターに旅客機が追突し、ビルの崩壊、逃げ惑う市民たち。テレビから流れる映像を鮮明に記憶しています。

    米国のブッシュ大統領はアルカイダの犯行だと断定し、アルカイダの掃蕩と、支援するタリバンの退陣を画策して、アフガンへの侵攻を開始します。アフガニスタンでは、日本大使館より強い「法人退去勧告」がだされ、中村医師らはやむを得ずアフガン・ペシャワールを去ることになります。

    『医者井戸を掘る』の別紙には、そのときの出来事が記載されています。

    米国による報復攻撃がまもなく始まろうとしているとき、現地スタッフのみを残し、ペシャワールを後にする中村さんに長老らしきものが、感謝を伝えます。

    「皆さん、世界には二種類の人間があるだけです。無欲に他人を思う人、そして己の利益を図るのに心がくもった人です。PMS(ペシャワール会医療サービス)はいずれかお分かりでしょう。私たちはあなたがた日本人と日本を永久に忘れません。」

    この言葉に、面はゆいおもいを感じてしまうのはなぜでしょう。アフガンに貢献したのは、日本人ではあっても私ではないという気持ちです。同時に、「そして己の利益を図るのに心がくもった人」の側に安穏と隠れている自分を発見し、うろたえます。

    中村医師は、文章の最後にこう伝えます。

    「・・・尽きぬ回顧の中で確かなのは、漠々たる水なしの地獄の修羅場にもかかわらず、アフガニスタンが私に動かぬ『人間』を見せてくれたことである。『自由と民主主義』は今、テロ報復で大規模な殺戮戦を展開しようとしている。(略)瀕死の小国に世界中の超大国が束になり、果たして何を守ろうとするのか。私の素朴な疑問である。」

    理想論だといわれても、私たちに今必要なのは「イデオロギーや共同体への呪縛」ではありません。互いに異なることを前提とした「共有知」の置き所です。そして、固陋の中に閉じこもることなく柔軟に変化すことを厭わない「ちょっとしたおもいやり」ではないでしょうか。

  • 中村医師の視点によるアフガニスタンでの旱魃対策のノンフィクション作品。

    アフガニスタンでの戦争が進んでいくのをテレビで眺めている間に、現地でどれほどの苦労をされ人名を救われてきたかを考えると胸が痛くなる。そこで働いてきた人間の重みが言葉に現れている。例えば、『西欧世界の「人権」は、女性の胸をはだける権利とか、ブルカを着用せぬ自由だとか、ちっぽけなプライバシーだとか、矮小でみみっちいものとなり、少しも感動を誘わない。』という言葉は昨今の「人権」ムーブを痛烈に批判していて、凄く心に突き刺さってくる。

    私が中村医師のような生き方はできないのはわかっている。けれども、そんな状態でもなにか出来ることはないだろうか。そう本書を読むことで考えさせられるのである。

  • ふむ

  • 訃報にて、はじめて中村さんを知りました。
    この本を読んで感じる中村さんはひとに、自分に厳しい。自分のためではない。土地を蘇らせ、人々のいのちをつなぐために。厳しいからこそなのか、働かざるものは辞めさせる。そこまで中村さんを突き動かす元はなんなのだろう。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2019年度第6回図書館企画展示
    「追悼展示:中村哲氏執筆本等」

    展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

    開催期間:2020年1月6日(月) ~ 2020年2月28日(金)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

  • 医者井戸を掘るーアフガン早勉との闘い
    著作者:中村哲
    石風社
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

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著者プロフィール

1946年(昭和21年)福岡県生まれ。医師。PMS(平和医療団・日本)総院長/ペシャワール会現地代表。
九州大学医学部卒業。日本国内の病院勤務を経て、84年にパキスタンのペシャワールに赴任。以来、ハンセン病を中心とした貧困層の診療に携わる。87年よりアフガニスタン難民のための医療チームを結成し、山岳無医地区での診療を開始。91年よりアフガニスタン東部山岳地帯に三つの診療所を開設し、98年にはペシャワールにPMS基地病院を設立。2000年からは診療活動と同時に、大干ばつに見舞われたアフガニスタン国内の水源確保のために井戸掘削とカレーズ(地下水路)の復旧を行う。03年、「緑の大地計画」に着手、ナンガラハル州に全長27キロメートルに及ぶ灌漑用水路を建設。その後も砂嵐や洪水と闘いながら沙漠化した農地を復旧した。マグサイサイ賞「平和と国際理解部門」、福岡アジア文化賞大賞など受賞多数。19年10月にはアフガニスタン政府から名誉市民証を授与される。
2019年12月4日、アフガニスタンのジャララバードで凶弾に倒れる。
著書:『ペシャワールにて』『ダラエ・ヌールへの道』『医者 井戸を掘る』『医は国境を越えて』『医者、用水路を拓く』(以上、石風社)、『天、共に在り』『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』(以上、NHK出版)、『アフガン・緑の大地計画』(PMS&ペシャワール会)、『希望の一滴』(西日本新聞社)など。

「2023年 『中村哲 思索と行動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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