失われた者たちの谷〜ハワード怪奇傑作集 (ナイトランド叢書)

  • 書苑新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883752096

感想・レビュー・書評

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  • 英雄コナンでおなじみハワードのコナン以外の作品を集めた短篇集。すでに読んだことのある作品もあったが、総じて楽しむことができた。敵同士だった偉丈夫が闘いを通して響き合うキング・カル第1作がお気に入り。

    ハワードの作品は魔術や神秘、この世ならざるものを扱う時でも、その中心に必ず具体的実質があって、それがストーリーの要となる印象が強い。「手応え」があると言うか、力尽くでも何とかなりそうと言うか(笑)。この辺り、好む人好まない人と別れそうだが、その性質があのコナンを産み出したのは間違いないところだろう。もちろん私は嫌いではない。

  • ●ホラー、ヒロイック・ファンタシーから、ウェスタン、SF、歴史、ボクシングまで、ハワード研究の第一人者が厳選して贈る怪奇と冒険8篇!
    ▼詳細
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  • 作風多彩な作品集。読み応えあり。表題作、暗黒の男、の二篇が特に良かった。

  • ちょっと高いけど気になる。
    とくに『鳩は地獄から来る』が読んでみたい。
    再販とかされにくそうな感じだし、ここは買っておくしかないか。

  • 呪いや魔物など王道のホラー集。映像的で面白い。

  • ヒロイック・ファンタジーの金字塔、英雄コナンシリーズでお馴染みハワードの多彩な面を知ることができる短篇集(以下特に面白かったものに◎)。
    「鳩は地獄から来る」◎ 夕闇が迫り主人公と友人が飛びこんだ古い誰もいない屋敷。二人を待ち受けていたものは。視覚的な描写の鮮やかさ恐ろしさとモダンなテンポのよさが際立ち、そしてヴ―ドゥーとくる。スティーヴン・キングが絶賛したというのもうなづける。
    「トム・モリーノの霊魂」◎ エース・ジェッセルを覚えているかい?あの<マンキラー>ゴメスとの伝説の一戦を。ボクシング幽霊譚。解説によると<ウィアード・テールズ>の原稿料の安さに耐えかねてジャンル横断的な怪奇小説を書き、その中でボクシング小説との融合を図ったのがこれとのこと。ボクシングパートの描写も見事で、これもテンポがいいんだよね。
    「失われた者たちの谷」 レイノルズ家最後の生き残りジョンは宿怨のマクリル家に追われ、謎めいた<失われた者たちの谷>に逃げこむ。こちらはウェスタン+怪奇小説。きれいに融合しているとはいえない部分もあるが、ウェスタン部分そのものの筆さばきはよどみがなく優れた資質を感じさせる。
    「黒い海岸の住民」 婚約者と乗った自家用飛行機が遭難し、とある島に到着。もちろんなんか出てくるんだが・・・西洋圏ではコワい人もいるんだろうねコレ(笑)
    「墓所の事件」◎ 死んだ双子の弟に襲われたと助けを求める老人。これは探偵小説との融合で解説によると本人は推理小説とは肌が合わなかったらしいが、どうしてどうして。たしかに探偵小説的要素はやや表層的だけどその分後半のスケール感とコントラストがあってこれはこれでいい感じになってる。
    「暗黒の男」 オブライエンの一族に連なる卓越した闘士ターロウ・ダヴ。身を切られる寒風の海岸で漁師に舟を貸せという。ダルシアンの一族の娘モイラを救うのだ。典型的なヒロイック・ファンタジーながら実在の民族や地名があってとまどう。このターロウ・ダヴ11世紀のアイルランド人戦士で<剣と魔法>仕立ての歴史冒険小説のシリーズということらしい。アクションシーンはコナンを彷彿させる迫力だが、巻末の「影の王国」と比べると若干地味というか荒唐無稽さが控えめで少々物足りない。ただ(「影の王国」の解説に書かれている)<歴史冒険小説と怪奇小説の融合>という視点で読むとその試行錯誤の過程が垣間見え大変興味深い。ある意味本書の最大の読みどころともいえる。
    「バーバラ・アレンへの愛ゆえに」 恋人同士だったジョエルとレイチェル。悲劇が襲い・・・。美しい詩が挿入されるロマンティックな掌篇。核となるイメージはある種のSF小説でも綿々と連なっていて幅広いジャンルで普遍的なモチーフだなあと思わせる。またハワードの作品の多様さも印象づけられる。
    「影の王国」◎ 超古代王国ヴァルシア王カル。比類なき勇敢さで玉座を奪い取り君幻想要素はよりたっぷり、と自由に想像の世界をふくらませてこれぞヒロイック・ファンタジー!というカタルシスを感じさせてくれる。
     興味深い点も多々あり面白かった。詳細な解説もありがたい。

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