蟲笛

著者 :
  • 青林工藝舎
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本棚登録 : 46
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883793105

感想・レビュー・書評

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  • 某所で「読後、絶望的な気分になるマンガ」云々という特集を
    目にして興味を惹かれ、購入。
    絶版になった単行本の収録作を再編した一冊で、
    1990年代後半から2000年代初めに
    少女向けホラー誌に掲載された作品群。

    実際にあった猟奇的な事件にインスパイアされつつ、
    実録物としての表現ではなく、
    フィクションとして加工する手腕は見事と思うが、
    いかんせん元ネタが残酷過ぎるので読んで疲れた……し、
    どうせやるならもっと深く掘り下げればよかったのに、
    という気もするけれど、ページ数の制限など、
    都合もいろいろあったのだろう。

    各作品のストーリーに直接の繋がりはないが、
    共通しているのは、
    もちろん事件を起こす輩が
    絶対的な悪には違いないのだが、
    本当に恐ろしいのは
    被害者のSOSに気づかない、見過ごす、
    あるいは承知で無視して他人事を決め込む第三者たち
    ――という描かれ方で、
    これはホラーエンターテインメントとして
    至極真っ当だと思う。

    しかし、私はやはりグラン=ギニョル愛好家であり
    楳図かずお信者なので(笑)
    「恐怖・戦慄」7:「笑い・ブラックユーモア」3
    くらいの内容でないとドはまりしないのだった。

  • 内容もさることながらまえがきと共に寄せられた「夢で見た顔の絵」の薄気味悪いこと。実際にあった事件をモチーフに構築された作品集で、人が陥る狂気ではなく、人の欠落、欠陥を表した漫画であると受ける。其れらの暴虐に曝され、蝕まれる不可解な現実に引き裂かれていく残酷さと助けを求める声なき声も届かず、救いの手も不躾に振り払われる悲惨な日常がキリキリと心を締め上げてくる。

    解説の「時に蟲は、昆虫のような無機質な観察者であり、あるいは時に、自らの中にある「弱くて傷だけで汚い」認めたくない存在だ。そして、すでに人とは呼べなくなった何者かを表すこともある。そう言えば、「人でなし」という言葉がある。だが、悲しいことに、人でなしに成りうるのは、唯、人だけなのであった。」がこの蟲笛の黙示である。



    凄惨な現実に対して、湧き上がってくる恐怖や怒りや悲しみなど、すべての感情をオフにし、ただただ蟲のように観察すること。残酷というより、冷徹な眼差しを持ち続けることを、作者自身が自らに課しているのだろうか。

  • 印象に残った言葉
    「世界中で自分だけが傷つきやすいのね?
     自分の殻の内側の痛みしか感じられないのね?
     でもあなたをなでて慰めるたびにその殻で私の手も……」

    これは弱い人間の物語だ。でも、そんな弱い人間を傷つける人間もやはり弱い。暴力、虐待、無関心、ありとあらゆる弱い心から生まれるものが彼女たちを傷つけていく。

    などと決めつけてしまいたくなるが、人間はそんな単純に一言表せるものでもない。とりあえず、読み終わると何とも言えず悲しく疲れた。自分の殻で人を傷つけるのはもうやめようと思った。

  • 以前からトラウマ漫画掲示板などで噂になっていた漫画。簡単に人に薦められないが価値はある。

  • 祝!復刊!!
    さすが青林工藝舎さんだぜ!!ありがとうございます!!

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