- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784883809172
作品紹介・あらすじ
バカヤローな社会の仕組みがよく分かる!日本を読み解く"生きた"経済学入門書の決定版。
感想・レビュー・書評
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前に紹介した高橋洋一さんの本をより平易にした本
本書の出版の前後に高橋氏は捕まってしまった。
その真意はおいておいて、本書では経済理論などを紹介しながらも、霞が関、永田町で起きている人間ドラマについての記述が面白い。
官僚や政府に都合のよい御用学者の話や、それに従わない人をスキャンダルで辞任に追い込むなど恐ろしいと思える話まで様々だ。
内容的には『霞が関埋蔵金男が明かす お国の経済』と重複しているところが多い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
感想
理論だけでは世の中は決定しない。経路依存性や複数存在するナッシュ均衡を考慮に入れなくては世の中を説明できない。現状には必ず理由がある。 -
経済学というよりは日本社会のおおまかな仕組みを暴露する啓蒙書。現在の閉塞感がどこから来ているかが説明されている。現状のルールで何とかするには投票により政治を変え、政治のパワーで行政を変えるしかないが、それには若年層の政治参加と共に一票の格差是正という大問題が立ちはだかる。
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科学者として著名な竹内氏が経済を覆面先生(高橋洋一郎氏か?)に学ぶという本。科学者の目で見た日本経済の常識が、いかに変てこりんかというのが解かる。特に日銀総裁に対する見方はことのほか厳しく、今の白川総裁はまぁまだ良いとして、前任の福井総裁、速水総裁は経済については全くの素人であり、根本的なことを理解していないくせに、ろくでもない金融政策を行い、日本を苦境に陥れたと断罪する。しかしこの本で驚かされることはこの先生が(高橋洋一郎氏だとして)本の出版直前に窃盗容疑で警視庁に逮捕(起訴猶予)され覆面としてしか出てこないことである。この本でもそうだが、常日頃より政治家や役人をこき下ろしていた氏が冤罪で逮捕されたという憶測まで出る始末である。
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【経済】経済学と数学の専門家である「先生」と経済についての初心者である「著者」が日常に存在する経済の疑問についてあれこれ議論している一冊。基本的に日本の経済が上手く行かないのは代表者集団が利権を守ろうとする動きが基本となっていることが本書の主張だ。初心者という立ち位置である「著者」も経済に対する関心が高く、ある程度の経済用語、時事ニュースには精通しているところから始まっているので、池上さんのような本当の入門編というよりは大分違うレベルにあるように感じる。しかし、「先生」の語り口が非常に分かりやすく、かなりフランクに説明してくれるので、経済音痴である自分も何とかついていきながら楽しむことができた。
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「99.9%は仮説」の著者と"先生"の対談形式で、現在の日本経済を経済学とからめて紹介する一冊。ちょうど麻生政権の時期に出版されたこともあり、時の政権批判モード前回だったのが、ここに出てくる"先生"の国策捜査によるでっち上げ逮捕につながったんだと思いますが、そういう背景は抜きにして痛快に楽しめる一冊です。なにより、ものすごくわかりやすい。経済学科を出ている自分でも目からウロコな解説が多数あったし、大学教授もこういう解説をしてくれればもっと学問が頭に入りやすかったんじゃないかな?なんて思いました。大学の一般教養の教授が以前、「経済学の教授が教えているのは"経済学学"だ」なんて揶揄していましたが、この本を読むと、以下に経済学という物が現実の後追いであるか、市場経済というものも壮大な社会実験であり明確な解なんてことはないということがよく理解できます。敬愛するいろんなブロガーさんがオススメしているのも納得です。
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経済の発展の側面は、技術の進歩が原動力なのではなく、食料生産の飛躍的増大による農業に占める人口割合の減少が最大で根本的なベースである。飢餓の喫緊の不安から解放された市民が次に「期待」の生産を目指したのが資本主義社会である。故に経済の問題とはすべて「期待」と「予測」の齟齬から生じる。
市民は常に「新しい効用」を求め、それに応えるものが「近代産業」になる。現代の資本主義社会における市民は自らをも含む「創造的な効用」を欲することにおいて、その生存が担保されるという仕組みになる。
しかし「効用」は衣食住のような人間の必然以外のものは予測することが難しく、そもそもものが溢れた現代社会では発生しづらい。ゆえにどんな統治者も経済運営を確実に上向きにすることは不可能であり、それは偶発的事象として成功する。社会の最大関心事であり最も影響力が大きいのは経済発展であるが、それは太陽の黒点活動を管理することが不可能なのと同じくらいに政治家には原理的に不可能である。せいぜいできるのは、経済活動を不当に制限して、新たな効用の創出を邪魔しないことくらいしか無い。 -
この筆者のサイエンス・エッセーは好きだったので、この本を本屋で見かけたときちょっと興味をそそられたのですが、買うまではないかなと思って結局図書館で借りて読みました。
筆者と経済学の学者との対話によって、新聞によく出てくる様々なテーマが歯切れ良くわかりやすく説明されていて、とても読みやすい本でした。が、歯切れ良すぎてかなり首をかしげる説明のところもいろいろ。「ガイダンス」と「一時限目 ゼロから学ぶ経済の基礎」の経済学関係の説明のところまでは、たとえをうまく使って結構うまく説明しているなと感心したのですが、総理大臣や日銀総裁、政府各省庁を始め、様々な政策立案者を次々とこきおろしていく舌鋒は、現実の政治や行政のことを全く知らない読者が読めばおもしろいのかもしれませんが、批判の根拠があいまいかつ不正確で、読んでいて相当品が悪いなと思いました。
Webで検索してみると、この「先生」は、東大理学部・経済学部出身の元財務官僚の経済学者で竹中平蔵のブレーンだった人だそうですが、歯切れは良くても非常に独善的な語り口にはそれで納得できました。