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著者 :
  • スコラマガジン(蒼竜社)
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883863891

感想・レビュー・書評

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  • 木原作品は読むとからだの中心が捻れるような疼痛に見舞われる。
    どちらも愛されたいのに愛されなかった人。攻めは両親に、受けは双子という身の上から自己肯定感が低い。これで密かに恋する攻めがワンコなら健全なんだろうけど、そこは木原作品なので…暗い、暗すぎる…。
    どちらも麻痺してるなぁとは思うけれど、二人静かに暮らしているようで、周りがどう思おうが幸せなんだよね…、?

  • 共依存負のスパイラル

    好きな伊沢は双子の弟と恋人となり、一緒に事故で死んだ。
    ずっと弟に劣等感を感じていたトドメのような出来事。もし自分が伊沢に告白していたら?そんなもしもに捕らわれ続ける篤は伊沢が遺した甥っ子を引き取り、育てた。大学生になった直己。幼い頃からなにを考えているのか、喋らない子供だった。2人で食事をし、挨拶を交わすだけの同居人。
    その直己が突然篤を襲う。突然の暴力的な行為に恐怖を感じる篤。直己の行為の意味は…

    ダークオブダークでした。
    恋愛物語?え?って感じにダーク。鬱々とした空気がひたすら漂う。だって2人が納得するならいいじゃない?ってとこで、直己は大怪我して、死にかけて、障害残って、自殺未遂して。そこからひたすら鬱鬱。2人の食事中の緊張感。
    2人でいても苦しくて。伝えない直己も、踏み込まない篤もお互い1人で消耗していくしんどい話。
    篤が直己を引き取った理由もバレて、離れて、アルコール漬けになり…ますますダーク。一緒にいてもいなくてもダーク

    最後、篤の前に現れた直己もまたダーク。
    ゾッとする執着心の裏側は直己語りがないので見えないし。結局最後まで直己の心の内はあんまり見えず、直己はただ篤のことが好きな、それしかない子供。と言うキャラクターで終わりましたが

    最後にその後の2人。穏やかにやってくれればもういいよ。と言いたくなります。

    読後感が決して良くはないけれど、グッと詰まる空気をひたすらに耐えた解放感ならありますね…

  • 死んだ好きだった人の甥、直己を引き取り育てた篤。
    自分を引き取ったくせに、自分自身には向き合ってくれないことがわかった直己は辛かったろうな。でも好きだから離れたくはなくて…悲しいな。木原先生のこういうキャラ好きだなあ。意地っ張りだけど好きだから苦しくてどうしようもないという…。
    顔を整形して伊沢にそっくりに変えてしまうというラストだけど、これも2人が伝え合ってこなかったからなんだよなあ。事故後も、すれ違いまくりの2人だったな…
    書き下ろしもよかった。2人の関係、直己の執着も異常だけど、それは他の人にはどうでもいいことで、また2人にとっても、自分たちのことを誰がどう思おうが、どうでもいいことなんだ。

  • 木原さんの小説は本当萌えとは別次元なんだよな。共感出来る部分は殆ど無いんだけど、それでもその世界に引き込まれるのは、決して自分じゃ真似出来ない愚かな愛の形がそこにあるから。はたから見たらどうしてその相手を選ぶ?としか思えないのだけれど(立原は至極正しい)、社会性とか理性とか常識とか突破らった究極の愛、あの結末は度肝を抜いたけれども、恋愛とは本来不条理なものというのを代弁しているように思う。だから木原小説は止められない、たとえどんなに痛くて苦しくても。

  • 2013年読了

  • 表紙の朴訥とした雰囲気に騙されてはいけないメリーバッドエンド。
    心に余裕のないときにはおすすめできない。(心の余裕がないときに読んではいけないのは木原音瀬作品全般に言えることだが)

    読んでいてすごく気持ちが悪いけれどそこがいい。

  • 木原さんの作品でメイン人物が早々にくっつくと、この先どんな悲惨な別れ方をするんだろう…と不安になる。今回も途中で鬱々としすぎて読んでてハラハラしました。
    萌えるかと聞かれたら萌えないけど、BLどうこうより愛の形は見たような気がする。

  • これは辛い…辛すぎる…
    だがしかし良い……

  • 小説は「満ち足りてない」ところから始まるものだと思うが、木原作品には「満ち足りない状況」だけでなく「満ち足りてない人物」が加わり、過度な飢餓状態から始まる作品が多い気がする。故に、独特の満ち足りた状態でエンドマークが出る。それは概ね、最初の満ち足り無さからは前進して見えるハッピーエンドと言うか。手放しで大円団にはならないが、描かれる人々に
    とっては間違いなくハッピーエンドである、と言う様な。もしくは、読み手はハッピーエンドと言う一つの終結と捉えるが、作中の人物たちにとっては少しだけ前に進んだ、くらいの、そう言う些細さ。
    フィクションの醍醐味は底辺から頂点へ上り詰めた時かなりのカタルシスを得られる、と言うもんだと思うが木原作品のフィクションの世界の醍醐味は、劇的な状況を見た目にも楽しむのではなくて、あくまでも登場人物の内面の変化、それがその人間にとってそれこそ世界が変わって見えるような、そう言う内面世界から外側へほんのちょっと発露する、その些細さだと思う。
    目が覚めた途端に世界の色が変わって見える、と言うような「娯楽」ではなくて、一人の人間が感じる幸福とか不幸とかを読み解く作業が出来る娯楽だと思う。
    表面的には善意の行動に見えて、本人の本音の部分は私利私欲に固まっており、それが後ろめたさになりつつも開き直れるほど厚かましくない性質の人物描写が…凄いな、っていつも思う。いい意味で「曖昧さ」を文章にしてしまう作家さんだ。嫌な事を考えていたくないからアルコールに逃げる、と言う気持ちは分かるが、嫌な事を忘れさせてくる手段がアルコールしかなかった篤が…どこまでも孤独な人間なんだ…と、やっぱ木原さんは「怖いとこ」まで書く人だなぁ、と再確認。

  • 萌えなかったけど好き。
    主人公に感情移入して泣いた。
    兄弟姉妹にコンプレックスがあったり、自分をつまらない人間だと感じたことがある人にはかなり感情移入できる主人公だと思う。
    ラストにはびっくりした。
    メインキャラがどん底に落ちたり鬱展開があっても耐えられる人向き。

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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