- Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
- / ISBN・EAN: 9784883863891
感想・レビュー・書評
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死んだ好きだった人の甥、直己を引き取り育てた篤。
自分を引き取ったくせに、自分自身には向き合ってくれないことがわかった直己は辛かったろうな。でも好きだから離れたくはなくて…悲しいな。木原先生のこういうキャラ好きだなあ。意地っ張りだけど好きだから苦しくてどうしようもないという…。
顔を整形して伊沢にそっくりに変えてしまうというラストだけど、これも2人が伝え合ってこなかったからなんだよなあ。事故後も、すれ違いまくりの2人だったな…
書き下ろしもよかった。2人の関係、直己の執着も異常だけど、それは他の人にはどうでもいいことで、また2人にとっても、自分たちのことを誰がどう思おうが、どうでもいいことなんだ。 -
木原さんの小説は本当萌えとは別次元なんだよな。共感出来る部分は殆ど無いんだけど、それでもその世界に引き込まれるのは、決して自分じゃ真似出来ない愚かな愛の形がそこにあるから。はたから見たらどうしてその相手を選ぶ?としか思えないのだけれど(立原は至極正しい)、社会性とか理性とか常識とか突破らった究極の愛、あの結末は度肝を抜いたけれども、恋愛とは本来不条理なものというのを代弁しているように思う。だから木原小説は止められない、たとえどんなに痛くて苦しくても。
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2013年読了
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表紙の朴訥とした雰囲気に騙されてはいけないメリーバッドエンド。
心に余裕のないときにはおすすめできない。(心の余裕がないときに読んではいけないのは木原音瀬作品全般に言えることだが)
読んでいてすごく気持ちが悪いけれどそこがいい。 -
木原さんの作品でメイン人物が早々にくっつくと、この先どんな悲惨な別れ方をするんだろう…と不安になる。今回も途中で鬱々としすぎて読んでてハラハラしました。
萌えるかと聞かれたら萌えないけど、BLどうこうより愛の形は見たような気がする。 -
これは辛い…辛すぎる…
だがしかし良い…… -
小説は「満ち足りてない」ところから始まるものだと思うが、木原作品には「満ち足りない状況」だけでなく「満ち足りてない人物」が加わり、過度な飢餓状態から始まる作品が多い気がする。故に、独特の満ち足りた状態でエンドマークが出る。それは概ね、最初の満ち足り無さからは前進して見えるハッピーエンドと言うか。手放しで大円団にはならないが、描かれる人々に
とっては間違いなくハッピーエンドである、と言う様な。もしくは、読み手はハッピーエンドと言う一つの終結と捉えるが、作中の人物たちにとっては少しだけ前に進んだ、くらいの、そう言う些細さ。
フィクションの醍醐味は底辺から頂点へ上り詰めた時かなりのカタルシスを得られる、と言うもんだと思うが木原作品のフィクションの世界の醍醐味は、劇的な状況を見た目にも楽しむのではなくて、あくまでも登場人物の内面の変化、それがその人間にとってそれこそ世界が変わって見えるような、そう言う内面世界から外側へほんのちょっと発露する、その些細さだと思う。
目が覚めた途端に世界の色が変わって見える、と言うような「娯楽」ではなくて、一人の人間が感じる幸福とか不幸とかを読み解く作業が出来る娯楽だと思う。
表面的には善意の行動に見えて、本人の本音の部分は私利私欲に固まっており、それが後ろめたさになりつつも開き直れるほど厚かましくない性質の人物描写が…凄いな、っていつも思う。いい意味で「曖昧さ」を文章にしてしまう作家さんだ。嫌な事を考えていたくないからアルコールに逃げる、と言う気持ちは分かるが、嫌な事を忘れさせてくる手段がアルコールしかなかった篤が…どこまでも孤独な人間なんだ…と、やっぱ木原さんは「怖いとこ」まで書く人だなぁ、と再確認。 -
萌えなかったけど好き。
主人公に感情移入して泣いた。
兄弟姉妹にコンプレックスがあったり、自分をつまらない人間だと感じたことがある人にはかなり感情移入できる主人公だと思う。
ラストにはびっくりした。
メインキャラがどん底に落ちたり鬱展開があっても耐えられる人向き。