眩暈(めまい) (Holly NOVELS)

  • スコラマガジン(蒼竜社)
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本棚登録 : 63
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883864089

作品紹介・あらすじ

幼馴染みの圦也と澄は小五の夏休み、戯れに口づけを交わした。圦也は意地悪で、綺麗で愚かな澄に惹かれていたが、噂をたてられるのを恐れた澄は圦也から離れていく。疎遠になったまま澄は女を、圦也は男を知り、圦也は曖昧な感情でしかなった同性である澄への欲情をはっきりと自覚する。高二の夏、久しぶりに家族旅行で澄と顔を合わせた圦也は、快楽に弱い澄を抱き、いったんは手に入れる。しかし圦也に囚われることを恐れた澄は圦也を裏切り-。大幅加筆訂正&大量書き下ろし付きの新装版。

感想・レビュー・書評

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  • 執着愛。

  • この作品を一言で表現するなら、



    歪み愛



    に尽きると思います。
    色々と歪みすぎてて、所々薄ら寒くすら感じます。
    ヤンデレと分類するには、攻さまが歪みすぎてるのです。
    受さんの性格の悪さも折り紙付きで、読んでる途中で気分が
    悪くなってくるレベルなんですが、これが不思議な吸引力。

    読み始めるとやめられません。
    やめさせてもらえません。
    こんなに歪みきったふたりの愛が、一体どういう風に着地するのか
    見届けるまでは、眠れません。
    この独特の後味の悪さは木原さんを彷彿するものがあります。
    新装版ですので、15年前の作品ですが、なるほどJune風味。
    当時こんな苦み系BL流行ってましたもんね。

    本編の後味の悪さを補うように、書き下ろしの甘さに悶えます。
    色紙の裏側のラストに、もう何とも言えずこみ上げてくるものがあり、
    あぁ、読んでよかった……と思わずにはいられません。

  • 読み終わった時、読後感があまりにもヘビーでそれこそめまいがしました。久々に、自分の感情の起伏が制御できなくなる作品でした。
    初出は1998年と古いだけあって、BLというよりはJUNE的な要素が濃い感じです。大幅加筆訂正&大量書き下ろし新装版ということで、かなり書き直したんだろうなと推察。

    幼馴染みの圦也と澄。彼らの半生に渡る愛憎ドラマです。BL的大河ドラマ。
    生まれたときから隣同士で育ってきた二人。圦也は、美形で性格が悪くて意地悪な澄のことがずっと好きだったのに、いつも苛められたり泣かされてばかり。小5の夏休みに二人は戯れでキスしてしまったことで気まずくなり、疎遠になっていきます。中学生になって、見た目のいい澄は女の子にモテるようになり、圦也は年上の男、大鹿と付き合うようになります。自分の性癖を自覚した圦也は、澄への恋情を秘めたまま成長し、高校3年の夏、浅慮で愚かな澄とSEXするまでに漕ぎ着けるのですが、手に入れたと思ったらまた手酷く裏切られてしまうことに。

    圦也はその後もずっと澄に執着し続けます。もっとも長い人生の中他の男も登場しますが、想い続けているのはただ一人だと分かりすぎるくらい分かります。一方の澄は、性格も悪くて見栄っぱりで何度でも残酷なまでに圦也を打ちのめし裏切るのです。だけど、その行為の裏に、やはり圦也に対する特別な感情があるのは間違いありません。そして、圦也はゲイであるにもかかわらず順調な人生を歩み続け勝ち組へ、澄は周囲の期待に反して何事も上手くいかず、会社も倒産の憂き目に遭い、妻にも愛想を尽かされ、昔の面影もない弱気な男に成り果ててしまうのですが。

    怒涛の人生ドラマです。嵐のように吹き荒れ渦巻く感情の中、圦也の澄に対する気持ちに終始何一つブレがないのが安堵するところでもあり、空恐ろしいところでもありました。そして、そんな彼の恋の成就には大いに泣かせられました。他にも、母親の気持ちの奥深さに胸打たれたり、娘の恋心に女の強さ、哀れさを感じたり。とにかく、いろんな感情に揺さぶられました…

    「惑い」は、濡れ場がとてもエロです。昔と立場が逆転してることを感じさせる言葉攻め。でも、甘い。
    書き下ろし「色紙の裏側」も、ラストに泣かされた!こちらは新作なので、本編と微妙に作風が違う気がします。でも、このcpも年月を経ているのでこれがちょうどいい感じなのは意図的?
    未だに相手の全てを自分のものにできた自信がない二人が微笑ましいです。Hに対する情熱も衰える気配なし。ラブラブ以上。

    痛い系の作品ですが、その分最後にはハンパない感動が待っています。木原音瀬作品が好物なら大丈夫だと思います。今市子センセのイラストがもの凄くステキ。

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