天球儀の海 (Holly NOVELS)

著者 :
  • スコラマガジン(蒼竜社)
3.87
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本棚登録 : 334
感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883864164

感想・レビュー・書評

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  • みんみん夏推しの尾上さん1945シリーズ。
    1作目手に入れました。

    旧家・名家は、没落してなくても、その責任は重いようです。
    戦況は、日々に厳しくなっていく1945年。日本は、特攻という生還を期さない攻撃に若者を注ぎ込んでいた。
    名家成重家には、男子は一人。彼が亡くなってしまえば、家の存続、雇人達の生活が成り行かなくなる。そこで、息子の身代わりに養子を迎え、成重家からの特攻隊員として出征してもらう。家の立場も後継も守ろうという策を立てる。
    身代わりを快く引き受ける少年は、幼少時に命を救ってもらった恩がある。加えて、その時からその一人息子に憧れ続けていたのだ。

    10年ほど前の作品で、ちょっと強引かな、唐突かな、と思うところありますが、この設定がもう良いです。再販計画中みたいですけど、少し抑えめに変更すれば、BLから一般文芸にいけると思うんです。
    頑張ってどこかの文庫形態になってくれると嬉しいです。

    • みんみんさん
      いい設定でしょ〜。゚(゚´ω`゚)゚。
      作者の意気込みがシリーズ通して感じるのよ
      ほんとどこでもいいから出版社頑張って欲しい!
      いい設定でしょ〜。゚(゚´ω`゚)゚。
      作者の意気込みがシリーズ通して感じるのよ
      ほんとどこでもいいから出版社頑張って欲しい!
      2023/08/21
    • おびのりさん
      この種類の小説なら、底なしに読めそう。
      この種類の小説なら、底なしに読めそう。
      2023/08/22
  • 再読につきレビュー

    この作品は尾上与一先生の代表作であり、第二次世界大戦を舞台にした「1945シリーズ」全7作の第一弾となります。
    戦争を舞台にするなど不謹慎だと賛否両論ありますが…感動の一作でございます。

    出会いはユキ5才モトノリ9才
    学者の息子ユキが夜の海辺で岩に手を挟まれ命が危なかったところを地主のお坊ちゃまモトノリが通りがかり助けたのが運命の出会いとなります。
    その日から眉目秀麗なモトノリはユキの憧れの人となり遠くから見つめ続ける日々を送ります。
    13年後海軍兵学校に進んだモトノリの為にいつか役に立ちたい一心で海軍飛行予科練習生となったユキにモトノリの家から驚く提案が…

    その頃戦況は悪くなる一方で航空機特攻、魚雷型特攻機回天という作戦が始まります。モトノリは地主のお坊ちゃんであり跡取り…死なせることはできない。地主の権力でユキを養子縁組してモトノリの身代わりに特攻隊となって欲しいと頼まれます。
    モトノリの身代わりとなりお国の為に命を捧げることはユキの喜びであり自分はこの為に生まれたのだと家族の反対を押し切ってモトノリの家に入り特攻の日を待ちながら暮らす事となりました。

    すいません…熱くあらすじを語ってしまいました
    BLですのでここからは興味のある方だけ読んでBLムリな方はレビュースルーしてください笑







    これ以上ない程の健気受けユキでございます。
    そして日々酷い仕打ちを繰り返す攻めモトノリ…
    モトノリの気持ちがわからないユキが憔悴していくのが辛い。
    後半モトノリのユキにしてきた行動の意味を知りその恐ろしいまでの愛情に涙です。゚(゚´ω`゚)゚。
    昭和19年の命を賭けた初恋の物語…

    すでに絶版のこのシリーズです。
    発行元の蒼竜社の勇気にアッパレ!

    再読しつつレビューしようと思います…


    • みんみんさん
      気長に待って〜ちょっと珍しいシリーズよ!
      気長に待って〜ちょっと珍しいシリーズよ!
      2023/08/17
    • おびのりさん
      うずうず。
      うずうず。
      2023/08/17
    • みんみんさん
      イマイチだったら申し訳ない(>人<;)
      イマイチだったら申し訳ない(>人<;)
      2023/08/18
  • モラトリアムなんて云われる大学生活2年目の夏
    時間があるならと、お高い中古に手を出して
    (再販されたらまたお迎えする所存です)
    尾上与一先生
    絶版の1945シリーズ一作目


    幼い頃に命を助けてくれた資紀の身代わりとして、特攻に行くことを決めた希
    胸に抱えた想いが切なかったです...

    希が抱えた想いと裏腹に、13年ぶりに再会した資紀の態度は最初から冷たくて、それがまた余計に切なくて
    特に中盤以降の態度は酷く、明らかに"何か"あるわけだけどもその真意はわからず
    そしてついに事件が起きて...

    何故そんなことを?希の右手を切断して自分が特攻に行くためっていうのは希の想像にも難くなかったけれど、資紀がそうしたい理由を希は勘違いしてしまって
    これも資紀がわざと仕向けたんですね...
    「大切に想っている希をどうしても特攻に行かせたくないから」なんて後腐れ(?)の残るようなことは言わない
    わざと恨みを買ってそのまま出征する
    事件の日の資紀の態度は、いよいよ決定的に恨まれるための凶行を前にして、最後の最後だけは自分の気持ちに正直にいたかったのかな...
    それっきり一度も会わないまま迎えた出征の日、勘違いしたままの希にまともに目も合わせてもらえず、資紀はどんな気持ちだったのだろうか
    自分で仕向けたことだから本望だったろうとは思いつつ、最期の別れとしてはあまりにも辛すぎる...
    もし資紀が特攻で死んでいたなら、読者であるこちらの精神も恐らく修復不可能なダメージを受けるところでした

    そして終戦から何年も経って、とある日
    希が営む店の客から、小倉で出会った人がオリオンの干からびた右手を大切に持っているという話を聞いて...
    なんたる偶然か、運命の再会を果たす二人
    このシーンの挿絵を見てから暫く涙が止まりませんでした
    こんなに嬉しい再会、他にありません

    で、ここからの幸せっぷりと言ったらもう...
    『サイダーと金平糖』では、資紀が希をどれほど気に掛けていたかが分かって思わず笑ってしまいました
    ハッピーエンドで本当によかった
    本当によかったです


    それにしても
    そこまでしないと愛を守れない時代
    もう二度と来ないことを願わずにはいられません...

  • 2023/02/14-02/18

  • 希が5歳、資紀が9歳の時に2人は海で運命の出会いをする
    海辺の瓦礫に右手を挟まれて命を失うかもしれなかった希は、通りかかった名家の嫡男資紀に救われる
    資紀に救われた希は資紀の代役として特攻隊へ行くという使命と資紀への憧れを胸に命を捧げようとするが、資紀の希への言動が日に日に辛く耐え難いものとなっていったある日、凄惨な事件が起こる

    太平洋戦時下の張り詰めた空気の中、資紀の実家のもとで特攻隊への指令が下るのを身を隠すように暮らしながらひたすら待つ希
    そんな中で希は資紀と再会し彼への想いを募らせ書生として資紀の下働きをするようになるのだが、資紀の複雑な態度や表情からは希への思慕は読み取れない
    希が資紀の代わりに命を捧げる事を厭わないのと同じように、資紀もまた全てを捨て自身の命をかけてでも希を救おうとしていたのが解るのは資紀が特攻機へ乗車し空へ飛び立とうとした時だ

    資紀の希への想いの執着ともいえる強さと
    希の資紀へひたむきに恋焦がれる想いが
    物語の最後の奇跡を生んだと思う

    希の失くした右手に輝くシリウスは
    資紀の元でずっと絶えることなく
    資紀の心を照らしていたのだろう

    希の輝くシリウスであった資紀と共に
    ずっと2人支え合って逞しく生き続けて欲しい
    幸せな2人の描写に本当に心から良かったと
    大きな安堵をついて最後のページを閉じた


  • とてもよく調べて時間をかけて書かれたお話だなあという印象です。
    作中で出てくる言葉ひとつを取っても美しく、けれどこの時代の薄暗さ、空虚さ、憐れさを映している。
    飛行予科練習生になり、いずれ特攻に向かわなければならなかった希を行かせないために
    腕を切らなければならなかったことは一応は理解できました。
    本人にも自覚があるようですが、希を繰り返し手酷く抱いたり冷たく当たったり
    思い出のガラス玉を粉々にしたり、傷つけすぎではないかとも思い、読んでいて辛かったです。
    そうせざるを得ないほど、̪資紀が追い詰められていたんだと思うと苦しい。
    ただ、時代背景、想いの長さを考慮しても切り落とされた手首を
    大事に大事に拝んでいるのはだいぶヤバイと思います、坊ちゃん…。
    最後はハッピーエンドだけど、希の手は戻らない。
    幸せそうな二人に、戦争さえなければ…と思わざるをえない気持ちになりました。

  • 戦時中、幼い時に出会った時から想っていた彼の身代わりとして特攻することが決まった希(ゆき)。冷たい態度を取るも、実は資紀(もとのり)も希にずっと恋していた。捕虜になった後も手首を離さなかったなんて、守るために必死だったなんて、いじらしすぎて泣けてきます。
    生きることが難しかった時代があります。という作者さんのあとがきが印象的。
    彼らはこの物語の後、来たる激動の時代も2人で乗り越えて2人で生きていってほしいと願うばかりです。

  • 太平洋戦争シリーズ。
    手首切り落として・・・って、激しい。

  • とっても感動しました!!BL作品でここまで物語として魅力的なものはもしかしたら初めてかもしれません。戦争物は扱いが難しく批判もされやすい中、それでもBLで書くというのは作者の方にもこの時代でこの要素で書かなくてならない思い入れがあるのだと窺わせるものでした。綺麗な情景描写や、言葉で静かに紡がれていくのですが、登場人物たちの抱える辛さや、情熱がじわじわと伝わってきます。主人公の希と資紀は、想い合っていながら形は違えど、生きて欲しいと願うあまりに行動が極端なんですが、終わってみるとそのひたむきさが理解できます。切なくて甘くて、それでも読後はとても爽快です。愛は奇跡を生みますね。

  • 尾上さんはデビュー作から何となく購入していて、例に漏れずこの作品も購入→積ん読コースだったのですが、またしてももっと早く読んどけば良かった! という展開です。

    色々と話題になっていた作品ですが、戦争物です。
    BLで戦争物を持ってくるだなんて、なんて勇者でしょう。
    そしてこの作品を世に出してくれた蒼竜社さんの、あり得ない程にどでかすぎる懐に感謝。
    不謹慎という声も聞こえてくることの多い作品ではありますが、身内が特攻の生き残りで、昔聞いた時には濁されながらもソッチもあるにはあったらしい、と特に深く考えずに読めました。
    史実を絡めたファンタジーとして、割り切っていたからかもしれませんが。

    で、その辺を頭にいれつつ読んでいくと、後半で目頭熱くなる。
    最初は受、攻ともに頑というか、かたいなぁ、という読みにくさが目立ってたんですが、気づけばぐいぐい読まされちゃいました。
    受が攻の身代わりとして特攻に行くはずだったのに、それをなんとかして止めたかった攻が、とんでもない暴挙に……。
    いやぁ……衝撃の展開すぎて、ちょっと頭がついてかなかった。
    そこに至るまで、攻の性格といい受に対する態度といい、酷いものがあったので、こっちまで振り回されました。
    この攻の行動については賛否両論でしょうが、私は割と好ましくというか、そうでもしなければ健康体である人間が死地に赴くのを止められないという時代だったわけで。

    個人的には攻を失ってからの受の葛藤だとかに、もう少しページ割いてくれても良かったような気がします。
    離ればなれになるまでの時間が冗長になっていたので、その部分を削って、離れていた時間の描写をもっと詳しく書いてくれたら、ラストの感動がもっと大きかったんじゃないかなー、と勿体ない気がしました。

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著者プロフィール

小説家。代表作『天球儀の海』『さよならトロイメライ』『初恋をやりなおすにあたって』(キャラ文庫)、最新刊『雪降る王妃と春のめざめ花降る王子の婚礼2』(キャラ文庫)。

「2021年 『笠井あゆみイラストカードブック 旦那はんと痴話喧嘩』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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