本当にヤバイ!中国経済―バブル崩壊の先に潜む双頭の蛇

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  • 彩図社
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レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883926411

作品紹介・あらすじ

中国の数字は信用できない!
貿易相手国の数字から見える中国経済の驚くべき実態!
米国、欧州の不況が中国を襲う!
声高に叫ばれる中国崩壊論、
その先を読む!

感想・レビュー・書評

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  • 2008-08-27

    後輩M君がビブリオバトルで紹介してくれていた.

    面白そうなので借りて読んでみた.

    中国の崩壊は北京オリンピック終了で始まるとの説はいろいろあるけれど,最近はNewsWeek誌もその見方を否定しだしてたりとか,
    実際その臭いは消えだして「本物」の経済大国化していたりとか,逆に「崩壊しないんじゃないか?」との疑いがある.

    本書で指摘する主な点は,既に始まりつつある「バブル崩壊」と「スタグフレーション」
    そしてこれらが米国経済の悪化を機に起こるということだ.

    中国と日本の貿易関係の深化は国内でも強く感じられている.貿易額は中国が一位だったはずだ.
    ところで,日本は対中貿易が黒字なのである.

    これは主に加工貿易を行う中国に対して機械・電子「部品」を提供する日本らしい地味さで堅実な技術力が主に重要な効果を持っているが,
    麻生さんが3Jとよぶようなファッションなどのアジアにおける日本ブランド的な高価格品も効いている.
    世界に於けるフランスのようなおしゃれブランド感をアジアでは日本が持ちうるのである.

    さてさて,というわけで日本は確かに中国に仕事を奪われている感もあるが,しっかり仕事を奪ってもいるのである.

    まあ,第一次産業とか身近な伝統的な工芸品の仕事を奪われている点に経済的でなく文化的・安全保障的問題があるわけなんだが・・・.


    それにたいして,あいかわらずアメリカは巨額の貿易赤字.

    中国は輸出産業の利益 経常黒字の80%を米国に依存している.

    故に,アメリカでの販売不振はクリティカル.

    さらに,ドル資産を大量に持っているために,ドル安は大打撃.


    その他,国内問題を鑑みても,サブプライムによる米国バブル崩壊が中国破壊のきっかけとなると著者はみる.

    インフレと不況が同時に襲うスタグフレーションが中国をおそうというのである.



    オリンピック開催の条件とされた国内民族問題の民主的解決もうやむやにされて,結局激しい弾圧の元に「民族の誇り」
    が保たれた北京五輪.

    メダルは取ったが,それで残り続ける経済的問題が解決されるとは思えない.

    ビジョンや誇りといった「シンボル」では人を引っ張りきれない水域があるのではないだろうか.
    内紛,戦争の問題は常に経済的問題にルーツがある.

    というわけで五輪終了後も中国からやはり目を外せないのである.

  • 以前より中国経済は北京オリンピックまでもつとか、上海万博まで大丈夫と言われてきましたが、あと1年余りとなりました。多くの人口を抱えて大きな市場を持った国ではありますが、ソ連が10年程に失敗した共産党がいまだに国をリードしていていつまで年率10%と言われる成長をと続けられるのでしょうか。

    動物も市場もいずれは成長が止まるときが来るのですが、それを無理に引き伸ばしたり隠していたりすると、そのツケは何倍にもなって返ってくることは日本が経験済みです。

    この本は三橋氏による中国経済の現状が解説されていますが、現在では経済的にも結びつきが強くなってきているので、クラッシュが起きるにしても覚悟をしておく必要があると思いました。なんだか症状が崩壊したソ連のときと似ているような気がしました。

    以下は気になったポイントです。

    ・中国の最悪の輸出品は、中国当局から発表される統計数字(p20)

    ・2006年5月時点での中国の不良債権額(100兆円)は、当時の名目GDP(2.64兆ドル)の34%以上、日本の場合は50兆程度であったが、当時のGDPの10%程度(p23)

    ・中国には輸出した製品の付加価値税を還付する制度があるが、これを悪用して輸出額を嵩上げして、貿易黒字が水増しされる、一説には70%分が虚偽かも(p26)

    ・世界同時成長が成立する(サブプライムローンが破綻しない)前提とは、1)バブル諸国の住宅ローンが返済されて証券化商品の品質が維持される、2)住宅価格の値上がりが続き、ローンの借り手に不足しない、3)ドル安にならない、である(p60)

    ・アメリカは経常収支が赤字であるが、サービス収支と所得収支は黒字、つまり赤字は貿易赤字(p72)

    ・アメリカは外需依存を高めることで、アメリカの経常収支の赤字(貿易収支の赤字)は減少していく、アメリカへの輸出に依存し経済を発展してきた国は大きなダメージを受ける(p76)

    ・2006年末の対外純資産残高は215兆円で、対GDP比較では38%、スイスは46.6兆円で対GDP比較と同様(p84)

    ・2006年のスペイン新築住宅数は、前年比18%の86万軒、この数字はイギリス、ドイツ、フランスの合計よりも上回った(p89)

    ・かつての日本売りのときは、株安と円安が同時進行していた、今回は円高であり状況は異なる(p94)

    ・日本は、企業に例えると、まず本業で稼ぎ(貿易収支の黒字)
    余剰資金で外部投資(資本収支の赤字)、投資の収益を得ている(所得収支の黒字)であり健全である、このような収支構造の国は、ドイツ・北欧諸国・サウジアラビア・シンガポール・台湾である(p102)

    ・2008年初頭に1ドル=90円になったのは、ドル安であり円高ではない、実行為替レートで見ると、日本円はいまだに過小評価であり円高になっていない(p107)

    ・日本の輸出対GDP比率は16.3%であり、主要先進7カ国の平均(22%)以下であり、内需依存国である、外需依存国は35%を超えている、ドイツ・韓国・シンガポール、中国等である(p109)

    ・中国の個人消費の経済成長への貢献が下がっている(図3-4)のは、中国当局のドルペッグ制により、中国国民の購買力が抑制されているから(p119)

    ・人民元安が維持されるため、貿易収支が黒字になり、投資マネーが流入するため資本収支まで黒字となる、その合計が外貨準備高の増加になる(p121)

    ・人民元は中国以外では通用しない、預金金利は高くないのでインフレ率に負ける、そのため中国人は、株式や不動産で運用せざるを得ない(p124)

    ・10%経済成長をしている中国で輸入の伸びが鈍化したのは、1)人民元安のため購買力が向上しない、2)国内の供給過剰と工業製品価格の低下(デフレ)である(P130、151)

    ・中国は日本に対しては貿易赤字(香港経由の対中貿易を含むと)、これは韓国と同様、中国の輸出産業も日本から生産財・資本財を輸入して、消費財を輸出しているから(p134)

    ・2007年10月にペトロチャイナは上海株式市場で出回った2%分の価格(48.6元)に対して、時価総額は出回っていない98%も計算にいれて1兆ドルと計算された(p174)

    ・中国の対外資産は全て外貨建てであり、人民元が適正レートに近づくと、外貨の価値が対人民元でほぼ半減する(p185)

    ・日本の対中依存と中国の対米依存は、GDPに対する影響で考えると、0.16%に対して5.4%(中国の貿易黒字対GDP比率は6.7%、対米貿易黒字シェアが81%)であり、影響は33倍(p205)

    ・2007年では日本の輸出製品の何と74%以上が一般消費財ではなく、資本財である、耐久消費財の対GDP比率は3%程度(p207、208)

  • マクロ経済の指標を使って中国経済の状況を示しています.元々<br>
    マクロ経済が好きじゃないので,あぁ,そうなんですか!,と納<br>
    得とまではいかないが,筆者の言いたいことはわかった.指標の<br>
    読み方を少し覚えたのも良かったことでしょうか.<br>
    この本では,いかに中国経済が外需依存型であることが書かれて<br>
    おり,この経済情勢の中では一番ダメージを受けると書いてあり<br>
    ます.この本が書かれたのが大体1年前.これだけ経済状態が悪<br>
    くなるという予測はあってるけど,残念ながら中国経済の予想に<br>
    ついてはあんまり当たってない気がする.少なくとも,現在は中<br>
    国頼みの様相を呈していますからねぇ...<br>
    2009.05.10(Sun)読了

  • 相変わらず分かりやすい。中国経済と書いてあるが、米国経済のことから説明してある。

  • 動産とバブルの崩壊、チベット動乱など、さまざまな危機に直面している中国。中国側の発表する統計数字の中でも比較的粉飾や捏造が難しいと思われる国際収支、金利、為替相場を中心に分析し、その経済構造を解き明かす。(TRC MARCより)

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著者プロフィール

経世論研究所・所長。1969年生まれ。東京都立大学(現・首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業等数社に勤務した後、中小企業診断士として独立。大手インターネット掲示板での、韓国経済に対する詳細な分析が話題を呼び、2007年に『本当はヤバイ! 韓国経済』(彩図社)を出版、ベストセラーとなる。以後、立て続けに話題作を生み出し続けている。データに基づいた経済理論が高い評価を得ており、デフレ脱却のための公共投資推進、反増税、反TPPの理論的支柱として注目されている。著書に『超・技術革命で世界最強となる日本』『第4次産業革命』『今や世界5位 「移民受け入れ大国」日本の末路』(以上、徳間書店)、『財務省が日本を滅ぼす』(小学館)、『生産性向上だけを考えれば日本経済は大復活するシンギュラリティの時代へ』(彩図社)など多数。

「2017年 『2018年 戦争へ向かう世界 日本経済のラストチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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