- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784883926787
作品紹介・あらすじ
『誰も書かなかった経済回復論』
医療崩壊、介護難民、年金不信、雇用不安…すべてを一挙に解決する秘策がここにある!
感想・レビュー・書評
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MMTという呼び名がない時なのに、それと同様のスタンスを早くも訴えています。
テレビでしばしばコメンテーターになっている高橋洋一が、安倍政権で歳出削減を進めたことを指摘している。その反省をまるで感じさせない厚顔無恥な人であることがわかる。失われた20年あるいは30年に加担した人だ。文系をバカにする人たが、そもそも謝れないのなら、一定の文系人よりも明らかにヒトデナシと言える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主張が力強く、内容はわかりやすい。
わかりやすいのだが、本当にそんなに単純な話なのかな?
そのあたりはもう少し勉強してから判断しないとだな。 -
「ひょっとして国債は返さなくて良いのではないか?」と漠然と思っていたので、本書を手に取ってみた。答えはそのとおりだった。
経済の原則に従えば、誰かが得をすれば、その分誰かが損をする。国が借金をすれば、誰かがその分得をしている。それは国民全体である。
日本政府と民間の合計、すなわち連結の貸借対照表(=日本国の貸借対照表)を書くと、資産>負債となる。その差額が純資産であり、つまり対外純資産である。対外純資産が黒字である限り、国家破綻はありえない。
1990年の貸借対照表
資産
政府 271兆円
政府以外 4219兆円
合計 4490兆円
負債
政府 294兆円
政府以外 4144兆円
合計 4438兆円
純資産
政府 -23兆円
政府以外 75兆円
合計 52兆円
2007年の貸借対照表
資産
政府 510兆円
政府以外 5353兆円
合計 5863兆円
負債
政府 962兆円
政府以外 4619兆円
合計 5581兆円
純資産
政府 -452兆円
政府以外 734兆円
合計 282兆円
政府の借金残高というのは、貸借対照表の負債中の一項目に過ぎない。プライマリーバランスの黒字化というのは、実は意味がない。
日本は借金を増やしてでも積極財政出動することにより、経済成長するはずである。たとえ借金を増やしても、それ以上に経済成長するので、公的債務/GDPの比率は下がる。
気をつけなければならないのは、インフレ率である。しかし、日本はデフレである。デフレの根本原因は、供給>需要であることである(逆にインフレは、供給<需要の時に起こる)。日本の生産性は高く、常に供給過剰であり続ける限り、借金の増額、通貨量の増加で、悪性のインフレになることはない。
バブル崩壊後、国の借金を増やしてきたにもかかわらず、高い経済成長を実現できなかったのはなぜか?主に、橋本内閣・小泉政権では、財政再建の名の下、政府支出を減らした。特に小泉政権下では、公定歩合ゼロ、量的緩和を実施していたのにもかかわらず、政府支出を減らし続けたため、経済成長のブレーキになった。
本書の主張に基づき、過去の政治家の政策・経済学者を採点してみると、次のようになる。
○徳川吉宗の元文の貨幣改鋳
○明治維新政府の発行紙幣
×世界恐慌下の米フーバーの緊縮財政
○世界恐慌下の高橋是清・米ルーズベルトの積極財政
×英サッチャー・米レーガンの新自由主義
○英ブレアの第三の道
×橋本内閣の緊縮財政
○小渕内閣の大量国債発行
○バーナンキFRB議長の日本国政府への積極財政の薦め
○日銀のゼロ金利・量的緩和政策
×小泉・安倍内閣の構造改革路線
○麻生太郎の補正ばらまき予算
×与謝野馨の増税・財政再建論
○民主党の子育て手当て
○亀井静香のモラトリアム法案(本書では触れていない)
×民主党による公共工事等の予算カット(本書では触れていない)
○ケインズとケインジアン
×ハイエク・フリードマン・グリーンスパンらのマネタリスト
目次
第一章 「国が借金で大変」の大ウソ
カネにまつわる3つ目の悲劇
「17年連続世界最大の債権国」が「破産寸前?」の怪
国全体の「連結バランスシート」で見る日本の金持ちぶり
国全体では「借金」が増える以上に「資産」が増えている
「イマドキの若者」がカネを使わなくなったことと、国の借金
諸悪の根源は「国にカネがない」と考えること
そもそも「国家破産」、「財政破綻」とはなにか?
破綻したアルゼンチンと日本の決定的な違い
日本のインフレ率は世界最低水準
日本は国債金利も世界最低水準
公的債務/GDP比100%で財政破綻?
8%で破綻しかけた韓国、195%でもびくともしない日本
借金が「毎年200兆円増加」したのに悪性インフレにならなかったアメリカ
CDSプレミアムから見る日本のデフォルト危険度
「国の借金は税収で返さなければならない」というウソ
「国の借金」は経済全体の中の単なる一要素
日本は世界一余裕のある国
第二章 国の借金をゼロにする秘策
「税収にも借金にも頼らない」でお金を集めた明治維新政府
日本銀行設立の主な目的はインフレの抑制
「孫子の兵法」に見るインフレ
古代ローマにおける国の借金
「暴れん坊将軍」通貨発行益で積極財政を断行
「現金」が「借金(負債)」として記載される日銀のバランスシート
日銀の「現金」は最新の会計基準なら「純資産」
日銀保有の国債利息はほとんど政府にキャッシュバック
日銀による国債引き受けは「打ち出の小槌」
60年を超えて引きずる日銀の「トラウマ」
バーナンキFRB議長、日銀による国債引受けによる積極財政を強力に推奨
「ミスター円」、政府による紙幣直接発行を提言
「インフレのない時代」には「国の借金」を気にする必要はない
第三章 日本のGDPが伸びない本当の理由
経済学者の大ハズレの予言
どうしたら経済学者に騙されないかを学ぶ
国の借金は国民の資産
政府の支出は国民の収入
株価暴落で損した人がいれば、その分だけ得した人もいる
今回の金融危機でも得をした人はいる
この不況で国債を大量発行しても買い手に困ることはない
今回の経済危機は「大恐慌」ではない
アメリカの経常赤字は他の国の経常黒字
日本以外の国は借金が増えてもそれ以上にGDPが増えている
政府が支出を増やせば、GDPはそれ以上に増える
日本では国の借金は増えているが、政府の支出は増えていない
国が借金をして支出を増やす方が財政が健全化する理由
政府が支出をケチれば、景気は失速する
政府が躍起になって救済するのは銀行の「信用創造機能」
「銀行への公的資金注入」は国民が税負担というウソ
一円も使わずに「貸し渋り・貸しはがし」を防止できる
「インフレ世界一のジンバブエ」と「デフレ世界一の日本」
GDPが成長するには何が必要か?
第四章 財政政策が国の命運を分ける
積極財政派 vs. 構造改革派 vs. 増税派
ルーズベルトと高橋是清、積極財政でデフレ不況克服
サッチャーもレーガンも歳出削減などしていない!
スウェーデンも財政再建より支出増加が先
バブル崩壊後の累積財政赤字の経済効果はあったのか?
日銀による「ゼロ金利、量的緩和」の効果と弊害
政府が財政出動していれば、円キャリー取引の弊害は軽減できた
日銀の「異例の対応」の正否
デフレ不況脱出法もインフレ不況脱出法も、答えは日本自身にあった!
第五章 日本の目指すべき道
「赤字国債」という言葉のイメージに騙されるな
本当の危機は「財政危機」ではなく貧困の危機
福祉政策は消費拡大につながる
日本の「公務員」比率は小さい
行政の効率化が必須
国家財政の管理目標を「プライマリーバランス」から「実質所得の増加率」へ
解説(三橋貴明) -
国債は日本国の借金なので減らさなければいけない、という議論が昔からなされてきているので、タイトルの「国債を刷れ」には驚きました。しかし国債は日本国民にとっては資産であり、外国人の保有が少ない日本は正常であるという考え方は、斬新なものでした。
今まで多くの破産本が出ていますが、破産を煽るために都合の良いデータばかりが紹介されているようにも思います。皆が国債を減らそうと躍起になっている時に、それと異なる説を展開することは大変なことだと思います。その為には、著者の準備は大変なものだと思います、私も彼の考え方を理解したいと思いました。
以下はためになったポイントです。
・2007年の民間金融純資産:734兆円は、政府の純負債:452兆円を大きく上回っており、両者差額:282兆円が国全体の純資産であり、バブル時より230兆円多い(p18、65)
・GDPを国全体の資産で割れば、国全体の資産効率度合いが表現できる、問題なのは国の資産が大きいことでなく、GDPが伸びないこと、資産効率が落ちていること(p27)
・国が破産しない理由として、1)日本政府の借金は、全て円建て(破産したアルゼンチンとの相違)、2)日本円発行権がある(p33、34)
・アジア通貨危機時に起きていたミスマッチとして、1)国内の設備投資のために長期的に必要となる資金の多くは、海外からの短期的な借り入れ、2)国内投資のための「内貨」需要を、「外貨」借り入れで賄うこと、3)逃げ足の速い資金が、不動産・証券投資にも向かっていた、があった(p45)
・借金はやがて税金で返さなければならない、という前提がおかしい(p55)
・西南戦争(明治10年)以前のデフレ基調では、国の借金という概念そのものを特に必要としない「通貨発行」システムがうまく機能していた、激しいインフレにさえならなければ政府はいくらでも直接通貨を発行できる(p73、76)
・江戸幕府の命運を断ち切ったのは、欧米との技術格差であり、財政破綻ではない(p89)
・戦中戦後のインフレ率は、1941~43年までは10%以下、45年に51%、46年に364%、47~48年:100%超であった、これは近年のアルゼンチン、コンゴ、ジンバブエと比べれば桁が異なる(p105)
・政府が支出を増やせば、GDPはそれ以上に増えることになる(p143)
・景気悪化の時に政府支出をしぼって起きたことの代表例は、1929年の米国大恐慌である(p155)
・日本とジンバブエを比較すると、ハイパーインフレを起こすには、1)供給不足と需要過剰、2)通貨過剰発行、がそろう必要があることがわかる(p179)
・サッチャーのモットーは「小さな政府」と言われるが、在任期間中は、政府支出増加率がインフレ率を上回っている(p197)
・ブッシュ政権の行った減税のうち、高所得者中心の戻し減税は、減税額の2割しか消費に回らなかったが、子育て世帯を対象としたものは9割が消費に回った(p246) -
「国債=国の借金」という「常識」が巷間に流布して久しいが、実はそうではなく、国家経済運営上必要なもので、国債の使用をベースにしてデフレ脱却を目指せと論ずる書。より原理的に国債の仕組みを解説した『国債は借金ではない』(文芸社)も大いに参考になる
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2009/6/10
う〜〜ん。よく分からん。
でも、確かに借金も相対的なもんだからな...
ネットゲリラ: 今、コレが売れている
< http://shadow-city.blogzine.jp/net/2009/03/post_e9f3.html > -
今年最高のベスト本!
これ一冊読むだけで形骸化した大学の経済博士号以上に値する。
経済の全て、先の大戦のキッカケ、現状の政治、江戸時代の泰平が保たれた訳、明治政府が短期間で列強に並べた理由、現在の不景気の根幹、金融危機について、もう…全てを網羅しています。
素晴らしい!!!!!!!
国家の中枢ならずとも全国民に読んでほしい一書。 -
まず感想、この本は解説が丁寧でしかも非常に読みやすい。
私も著者と同じ理系だからそう感じるのだろうか??
国の歳出を減らしてGDPを減らす方向へ舵を切っているのは日本だけ。世界でまれに見ぬ資産を持つ国なのに。
GDPが増加していないのは日本だけ、という現実が非常に気になった。
素人の疑問
各国のGDPが増え続けてお金が余り続けたら、この先世界はどうなるのだろう??ただでさえあまったマネーでいろんな金融危機が起こっているのに。。。もっと勉強しなくては。