もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?

著者 :
  • すばる舎
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784883999934

作品紹介・あらすじ

誰だって、どこかちょっぴりアンバランス。でも、なんだか「生きづらい」と感じたら、はじめに読む本。周囲の人へのアドバイスも満載。

感想・レビュー・書評

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  • 知り合いの話を聞いていて、「…あれ、その生きづらさは発達障害から来ているのでは」と長い付き合いながら今更思い、生きづらさの解消に繋がるといいなと思って読んでみました。
    発達障害の説明が書いてあるのに加えて、大人になってから気づく発達障害に重点を置いているので、仕事における困ったケースとその対策や、職場でカミングアウトするか否か、と言った点についても触れられています。注意点は、PDD(自閉症・アスペルガー症候群などの広汎性発達障害)とAD/HD(注意欠陥・多動性障害)の二つが入り混じって説明されているのが、時に分かりにくい点。

    「多様性」に対しても示唆に富んだ文章で、個人的には「発達障害の理解を深める」以上に刺さるものがありました。

    ①「会社が評価する人間像」への違和感への回答

    (引用)
    「一人ひとりの持つ個性や特性はひとまず置いておいて、なんでもこなせるオールマイティが世界基準!!というスローガンが掲げられる……。
    でも、そんなオールマイティな人なんて、いるのでしょうか?
    「ある基準に沿わない人は、存在価値がない」となってくると、障害の有無にかかわらずみんな苦しいですし、誰も生き残ることができません。」


    個人の実感として、「社会にでると、総合的な「人間力」が求められるんだなぁ。要求されていることの水準が高くて生きるのが大変だなぁ。」また、「社会や会社から求められる所与の「評価基準」への適合度で人を評価するより、一人一人の個性を認められたら、もっとみんな豊かに生きられるんじゃないか」とぼんやり感じていたものの、うまく言語化できていませんでした。本書を読んで、「そうか、私が感じていた総合的な「人間力」というものは、なんでもそつなくこなせるオールマイティさのことだったんだ!そして、人間は「誰だって、どこかちょっぴりアンバランス」なので、なんだか大変だなぁと思っていたんだ!!」ということがわかりました。

    ②「わからないという恐怖に近い不安」

    これはPDDの方の思いを記述した文章ですが、深く染み入りました。

    (引用)
    がんばっているのに、あれもできてない、これもできてないと、叱られる。(…)「叱られ続ける悪循環」が、生活の中に組み込まれてしまっている(…)。
    (…)このような根深い劣等感や不信感から、自分を責めて自暴自棄になったり、人を責めたり、恨んだりしてしまう人もいるかもしれません。


    私は帰国子女として日本に帰国したとき「なんで常識がわからないの?」と言われることが多く、「常識」という言葉恐怖症になったことがあります(日本では日直という制度があって、担当の人はxxをするんだよ、と言ってくれたら分かるのに、「常識がない」と一言で片付けられると自分はどこからどこまでを理解していないのか、今もまだ何か間違えを犯しているのではないかととても不安になる…)。自分の一挙手一投足が間違っているのではないかと不安になるあの気持ち。「わからないという恐怖に近い不安」。ああその通り。と思いました。

    対策として、本書では苦手の克服ではなく、生きづらさを解消するための工夫をすること、また苦手なことばかり意識してしまう自分から解放し、できること・対処できることが増えることにこそ意識を向け自分を褒めたり認めたりしよう、ということを提唱しています。その大切さもよく分かる。まなざしの温かい本でした。

  • 発達障害の大人に対してあらまほしい配慮は、「私だってそうしてもらいたいわ」ということが多く、なんだかすっきりしません。
    何が障害で、何がわがままなのか、はっきり線を引くのがむずかしいからこそ、発達障害者は「甘えている」「努力不足」という評価を受けやすい。
    発達障害という診断名がつくことは、周囲の評価を変える点で意義があるけれど、どう配慮するかについてはスタートラインにつくだけのこと。
    理解者(仲介者)が、問題が「障害」にあるのか「わがまま」にあるのか迷ってしまうと、職場の空気は乱れる。
    障害を理解し、仲介するって難しいことだと思いました。

  • AD/HDやADDについて説明している本の中でもとりわけわかりやすく、そういう人にどう接していけばよいのかも具体的な言葉で書かれていたり、もし、障害をもつ当人が読んでも、自分の特性を知り、自分自身をうまくフォローしながら生きてゆけるのではないかと思う。
    病気ではなく、一種の癖だと思えばよいのだ。
    空気が読めなかったり、注意不足で多くの失敗をしてしまいがちだが、周りもその人の良いところを伸ばせるような方法を考えると良い。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「障害をもつ当人が読んでも」
      この本じゃないですけど、読んでいると自分も怪しく思えて恐くなりました。。。
      「一種の癖だと思えばよいのだ。」
      ...
      「障害をもつ当人が読んでも」
      この本じゃないですけど、読んでいると自分も怪しく思えて恐くなりました。。。
      「一種の癖だと思えばよいのだ。」
      それは、ご本人じゃなく「周りの人々が」ですよね?
      子どもの頃から、色々な人が居ると言うコトを知れば、イジメとか少なくなるかも。。。
      2013/09/02
    • みんちゅさん
      障害まではいかなくてもそれに近い人は多いように思います。
      自分の認識や周りの人の理解があればよいのだけど、なかなか難しいですね。
      障害まではいかなくてもそれに近い人は多いように思います。
      自分の認識や周りの人の理解があればよいのだけど、なかなか難しいですね。
      2013/09/04
  • もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?
    著作者:田中康雄
    すばる舎
    誰だってどこかちょっぴりアンバランスでも「生きづらい」と感じたらはじめに読む本。周囲の人のアドバイスも満載。
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • 読みながら、田中先生ご自身によるナレーションが聞こえてきそうな一冊。いつもあたたかくサポーティブで温和な田中先生のお人柄が垣間見える感じの、成人発達障害者にエールを送る本なのだけれど、こういう本の評価は難しいなと思う。ある程度自分をわかっている人にはすーっと入ってくるであろう言葉も、診断を受けたばかりの方(もしくは今まさに苦しんでいる未診断の方)にとっては“生温い“と感じるかもしれないし。

    紹介されている生活の工夫は自助努力プラス周囲に上手に頼ろうという感じなのだけど、働く人がみな殺気立っているかのような今日この頃、うまく理解&サポートしてくれる人が見つかるとは限らず、つらいところだなあと思う。まさにこの本で田中先生ご自身が書かれている通り、現代はオールラウンドプレイヤーが求められているわけで、“持ちつ持たれつ“が自然に実現したらよいのだけれど、ねえ。

  • いろんな事例が紹介されており、レベルもまちまちなのがよくわかる。個性を理解して、良い所をより活かすことの大切さが印象の残った。

  • 大人の発達障害当事者と、その周囲の人たちへのアドバイスが満載の本。
    当事者としては、医師や他の書籍では得られないような、痒いところに手の届くアドバイスが嬉しい。例えば、障害についてカミングアウトする際、自分も障害について説明することに偏ってしまう傾向があったが、「障害よりも自分自身のことを伝えよう」という提案は目から鱗が落ちる思いだった。このように、著者が発達障害を抱える人に対して非常に温かい気持ちを抱いていることが読み取れる。平易な文章で読みやすいことも好感が持てる。

  • 発達障がい、グレーだな~と思い、初めて手にとった発達障がい関連の本。

    自分を知って、認めて、傾向をつかみ、対策をたてることが大切だと改めて思いました。

    語り口が穏やかで、寄り添ってくれる感じで落ち着きました。
    具体的に困ることとその対策が載っているのもよかった。

  • わかりやすい

  • 発達障がいを平明な文章でまとめた、理解のための入門書ですが、健常者向けの部分と当事者が読んで参考にする部分とが混在しているのが気になります。それだけ、この障がい自体が連続しているものだと思うようにしておきます。

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著者プロフィール

こころとそだちのクリニックむすびめ院長。児童精神科医師。臨床心理士。北海道大学名誉教授。
『僕の児童精神科外来の覚書――子どもと親とともに考え、悩み、実践していること』(日本評論社、2022年)、『「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する』(SBクリエイティブ、2019年)

「2023年 『ADHDの僕がグループホームを作ったら、モヤモヤに包まれた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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