Coyote No.26 特集:柴田元幸[文学を軽やかに遊ぶ]

著者 :
制作 : 新井敏記 
  • スイッチパブリッシング
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884182137

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  • ワタシの敬愛する柴田元幸を、2008年3月発売の雑誌Coyoteが特集していると知り、その中古本を取り寄せた。
    彼が書いたコラム、彼が訳した作家からの特別寄稿、インタビュー、そしてワタシがいつも絶賛している彼の「訳者あとがき」を並べたこの特集は、柴田ファンにはたまらない内容。
    彼の書くものは、自身のエッセイであれ、翻訳ものであれ、読んでいて疲れることがまったくないのだけれど、その理由が本書のインタビューでわかった。
    「僕自身は、言いたいことは何もないんです。何かを伝達する必要があれば、その一行一行をとにかく面白いと思って読んでもらうしかないと思う。」
    「もしかしたら、僕は小説というものをそんなに好きじゃないのかもしれない。それがいいのかもしれない。そんなに好きじゃないから、僕が終わりまで読み通せるものってのは、相当良質なものだけなんじゃないか。」
    彼の書くものには余計な力が入っていない。そして、その力の入っていない加減がワタシには心地いい。
    また、特別寄稿の4人作家のうち、ポール・オースター、スチュアート・ダイベック、スティーヴン・ミルハウザーは読んでいるが、唯一バリー・ユアグローが未読だったので、早速購入。ワタシの柴田熱は当面続きそうだ。

  • Coyoteバックナンバー。カズオ・イシグロ、インタビュー記事掲載のため購入。大したことは話していなかったけど。クリスマスイブの深夜、渋谷駅前書店にて。

  • スティーブン・ミルハウザーからの手紙より。
    「私は問いたい。このような翻訳者を前にして頭を垂れずにいられる作家が、はたしているだろうか?・・・英語を知らず日本語しか読まない読者の前に、私の作品は閉ざされている。私の言葉は黙して語らず、私の世界は隠されて見えない。だがそこに一人の魔法使いが翻訳者の姿を借りて忽然と現れる。・・・たちまち私の言葉は語りだし、それらを聞くことのできなかった人々の心の中に入ることを許されるのだ。」

  • 骨太の書籍ですね。どちらかと言えば男性性が強い内容だ。もちろん、女性が読んでも楽しめると思う。
    今回は柴田元幸氏の特集で、柴田ファンの人々には垂涎の内容になっている。翻訳が主な活動の人なので、何篇かのエッセイが収録されているのにはとても楽しませてもらった。カズオ・イシグロ氏との対談もある。柴田氏の底辺には、一定してわかりやすい日本語で話す、という真摯な姿勢があって、情緒に溺れるわけでなく、飄々と語られている。ジャック・ロンドンの『一枚のステーキ』は、柴田さんの魅力が凝縮した翻訳になっている。
    今回は柴田氏の特集だが、他の号も読んでみたい気持ちにさせられる一冊。

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著者プロフィール

1954年茨城県生まれ、日本大学芸術学部芸術研究所卒。1981年、南青山に事務所ISSUE.Inc.設立。雑誌「ISSUE」発行。POPEYE編集部にてインタビュー雑誌について片岡義男の薫陶を受ける。1984年ブルース・スプリングスティーンを全米各地に追う。フジパシフィック音楽出版社でSWITCH という音楽レーベルスタート。タブロイドの季刊誌として「SWITCH」発行。1985年、カルチャー雑誌「SWITCH」創刊。5号目から念願の沢木耕太郎の「246」の連載がスタート。1986年、佐野元春『THIS』第2期・第3期の編集責任者となる。1991年、新しい文芸誌「LITERARY SWITCH」創刊。大江健三郎、池澤夏樹などの書き下ろし短篇を掲載。1994年弁株式会社スイッチ・パブリッシング設立。2001年「paperback」発行、2004年旅をモチーフとした雑誌「Coyote」を創刊。2013年、柴田元幸責任編集「MONKEY」創刊。2015年、伊丹十三賞受賞。2021年「ISSUE」復刊、第一号特集は「和田誠のたね」とする。

「2022年 『編集とは何か。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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