SWITCH vol.28 No.2(スイッチ2010年2月号)特集:闘う、大島渚

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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884183059

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  • しばらくぶりで「SWITCH」を読んでいたら、父が表紙を見て「おっ、愛しの渚ちゃん、お元気になられたのかな」などとつぶやいて映画の話をしてきました。

    父  昨年あたりから大島渚再評価の機運が、著作集の刊行がらみで見られるけれど、ところで君は大島渚の映画を見たことがあるの?

    私  うん、もちろん見てるわよ。しかも、どちらかというと好きな方かしら。
    あのね、こないだ試しに私のまわりの知人・友人・変人・奇人の老若男女およそ100人程に、機会あるたびに「大島渚の映画を見たことある?」って尋ねてみたら、その8割がまったく見たことなくて、年配の方が大昔に『青春残酷物語』や『日本の夜と霧』を見たとか、中年どころがセンメリ=『戦場のメリークリスマス』くらいは見たとかなの。

    父  それは、無理もないことかもしれないよ。いちばん最新作の『御法度』でさえ1999年公開なんだから、ざっともう11年前のしかも時代劇だから、ひょっとして、10代20代の人たちは、よっぽどの映画好きでも見たこともないという人がいるかもしれないね。

    私  でもね、いろいろ話してわかったことだけど、これだけビデオやDVDが普及して、手軽にレンタルでも50年以上前の映画も見られる恵まれた環境にあるのに、皆なほとんどが新作のしかもハリウッド映画中心の、テレビでコマーシャルされたりバラエティ番組で紹介される映画しか見ないか、それともWOWOWやスターチャンネルが選んだ平凡な名作・傑作しか見ないというビックリするくらい情けない情況なの。

    父  う~ん、今はゲームとか合コンとか映画以外に楽しめるものがいっぱいあるから仕方ないかもしれないね。

    私  でもね、映画が好きですっていう人があまりにも欲がないというか、不勉強だっていうか、もう信じらんない。
    ほら、父さんがよく言ってたじゃない、昔はビデオもなくて映画館で見るしかなくて、その一回を見逃したら二度と見られなくなるといって、今日は日仏会館でトリュフォー特集をやると聞いたら行って見て、明日は文化センターでゴダールの『中国女』と『東風』を上演すると耳にしたら走っていって見て、明後日は東京の三百人劇場で吉田喜重特集をやると情報を得たら夜行バスで飛んで行って見たって。
    それに比べたら、もっと簡単に各国のいろんな作家の映画を、系統的に見ることができるのに、そういうこともやったことありません、そういう興味はありませんて言うのよ。

    父  ああ、それよりもっとすごい奴をこないだ発見したよ。これは、一概に学究肌ということではないけれど、人一倍読書家のインテリタイプの奴なんだが、映画なんかあんな低俗なもの、という感じだったんだ。これには、ビックリというより暗澹たる思いに駆られたよ。
    今どき映画やマンガを、芸術・思想の表現形式として認識していないシーラカンスのような生きた化石がいるとは思ってもいなかったな。

    私  へえ、そんな人がいるんだ。ねえ、それより、いまなぜ大島渚なの?
    あっ、そういえば、私すべての大島映画を見てるつもりでいたけど、いま気づいたんだけど、肝心の『愛のコリーダ』と『愛の亡霊』というふたつの傑作を見てなかったことに気づいたの。

    父  う~ん、そうなのか。それはそれを見てないと、話が続かない感じだな。

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