職業としての小説家 (Switch library)

著者 :
  • スイッチパブリッシング
4.13
  • (324)
  • (323)
  • (168)
  • (20)
  • (3)
本棚登録 : 2798
感想 : 377
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884184438

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • たぶん7年くらい前に発売間もない頃に買ったもの。途中まで読んでてようやく読了。春樹が苦手な人であっても、書くことを生業としている人、(あるいはしたい人)には大いに参考になる本だと思う。面白い。

  • 2023/01/03

  • 著者自ら初期の1人称の中編作家から複数の視点からの長編作家へ意識的に移行したプロセスを語り、興味深かった。
    平凡でいながら非凡な鍛錬を自らに課す執着的な性格が彼の著作をものにしてきたことがよくわかる。
    ただ正直に記述しているせいかそれとも本来つまらない人なのかサービス精神に欠けるのか本作は小説や紀行文ほど面白くはなかったのが正直な感想。

  • 長い文章なのに、読むことに飽きない。
    きっと講演もそうなのだろう。

    独特の心地よい文章は、
    何度も磨がれ、舐めされ、
    極上の切れ味であったり、一滴になったところで
    私たちの前に差し出されているのだ
    と改めて思った。

    文章についてだけでなく、
    生きること、健やかであること、
    世界のさまざまなことについて思うこと、
    その一つ一つを丁寧に教えられたような読後感。

    ずっと大切に読み重ねていきたい。

  • 河合隼雄先生とのお話がとても貴重で、読めて良かった。
    ほんとに河合先生にはもっと長生きして欲しかった。

  • 問い
    小説は
    誰のために書くのか
    どのように書くのか
    なぜ書き続けるのか
    そして、小説を書くための強い心とは

    答え
    自分がめぐりあいたかった言葉は以下の部分だということに気づいた。
    「どのような時代にあっても、大きな事件が起こって社会のリアリティーが大きくシフトするとき、それは物語のリアリティーのシフトをいわば裏打ちのように要求します。物語というのはもともと現実のメタファーとして存在するものですし、人々は変動する周囲の現実のシステムに追いつくために、あるいはそこから振り落とされないために、自らの内なる場所に捉えるべき新たな物語=メタファー・システムを必要とします。その二つのシステム(現実社会のシステムとメタファー・システム)をうまく連結させることによって、言い換えるなら主観世界と客観世界を行き来させ、相互的アジャストさせることによって、人々は不確かな現実を何とか受容し、正気を保っていくことができるのです。」
    これこそ、自分が(小説に限らずいろいろなことを)(話すのではなく)「書きたい」と思った動機である。歴史にしろ、評論にしろ、あらゆる書き物は、「現実世界」「社会」等々の意味されるものに、意味するものを表象した記号であり、世界をどうとらえるかを示すという存在意義がある。ヒストリーであれ、ストーリーであれ、物語というものは、いうまでもなく、世界を語るものなのだ。50代になって、自分が見てきた世界をむしょうに語りたくなったのは、自分なりの物語を現実社会とうまく連結させ、この現実を受容する方法を示したいという欲求の表れなのだろう。

    村上春樹が小説ということに限定するなら、こうした物語の機能を前提し、直接的には、自分が快さを感じるために「実感」のある物語を、読者とつながることを想定して書くこと、スピリチュアルな行為を継続するために、フィジカルな力を保持すること、そして、徹底的な自己相対化を図ること、が上記の問いに対する答えとなる。

    目次
    第一回 小説家は寛容な人種なのか
    第二回 小説家になった頃
    第三回 文学賞について
    第四回 オリジナリティーについて
    第五回 さて、何を書けばいいのか?
    第六回 時間を味方につける - 長編小説を書くこと
    第七回 どこまでも個人的でフィジカルな営み
    第八回 学校について
    第九回 どんな人物を登場させようか?
    第十回 誰のために書くのか?
    第十一回 海外に出ていく。新しいフロンティア
    第十二回 物語のあるところ・河合隼雄先生の思い出

  • 村上春樹さんのエッセイは初めて読んだと思う。小説家になった背景や、小説を書いているときに考えていることや書き方、学校が嫌いで本ばかり読んでいたことや音楽ばかり聴いていたこと、本を読むと自分を相対化できて視点が広がること、誰でも小説は書けるけど、長いあいだ続けて書くには忍耐とかもってるものとかも大事になるという話が印象的だった。「海辺のカフカ」と「多崎つくる」の本を読んでみたくなった。

  • かなり個人的な内容なので一般的な小説のハウツー本としては手に取らないのが吉(元々それを期待していたわけではない)ですが、著者のファンなので大変興味深く読めました。技術的な部分で参考になったのは第七回のフィジカルの章。雑文集を読んだ時も思ったけれど、物語に対する著者の向き合い方はかなり好きです。学校の勉強は、自分はコツコツ物事に取り組む訓練として必要派ですが、己の中でルールを決めて、やりたい事にとことん向き合える人間には不要なんだろうなあと思った。あと、ここまで来ると奥さんがどんな人なのか気になってくる。

  • 読みながら、やはり私はこの方がとても好きだなぁと思う瞬間がたくさんあった。そして、この方の創る小説が大好きだなぁとも思った。正確には、この方の創る世界観に入り込むことが好きだなぁと思った。
    私は初めて読んだのがノルウェイの森で、だけどそこまで大感動をしたわけではなく(世界的ベストセラー!という色眼鏡があったからかも)、むしろその後に読んだ風の歌を聴けを読んで『この世界観は心地よい』と思って、そこから出版順に読み進めていくことでしみじみと大好きになっていったのだが(順番に読んだらノルウェイの森も違う感じ方でした)、なんとなくその理由が分かったような気がした。

    これからも何度となくあなたの本に心を遊ばせることでしょう。ありがとうございます。と思いながら読み終わりました。

  • 『人々の心の壁に新しい窓を開け、そこに新鮮な空気を吹き込んでみたい』
    『何よりも大事なのは良き読者です。どのような文学賞も、勲章も、好意的な書評も、僕の本を身銭を切って買ってくれる読者に比べれば、実質的な意味を持ちません』
    『たぶんこの先、僕は僕自身の内部に降りていって、そこをより深くまで探っていくことになるだろうと思います。それが僕にとっての新しい未知の大地となり、おそらくは最後のフロンティアとなる』


    村上春樹さんの作品は「ノルウェイの森」と「騎士団長殺し」しか読了しておらず、正直両方ともピンとこなかった…
    ただ、『みみずくは黄昏に飛びたつ』と本書を読了し、少しだけ村上春樹さんの人物像がわかった気がする(あくまでも気がするだけです)

全377件中 61 - 70件を表示

著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

村上春樹の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マルクス アウレ...
又吉 直樹
ジャレド・ダイア...
西 加奈子
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×