黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)

著者 :
  • スイッチパブリッシング
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本棚登録 : 894
感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784884184483

感想・レビュー・書評

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  • 18~21歳まで原宿に住んでいたというキョンキョンの原宿にまつわるエッセイです。
    それにしてもキョンキョンの文章の読みやすいこと。
    サッパリしていてあけっぴろげでテンポがいいのでグイグイ引き込まれました。

    原宿という町名がずいぶん昔になくなっていたことを東京に住んでいるのに知りませんでした(^^;
    今でも若い子は「神宮前」に行きたいとは言わず、「原宿」に行きたいって言いますもんね。

    個人的には原宿といえば、吉田拓郎が作曲した「風の街」を思い出します。
    ~~ 表参道 原宿は/懐かしすぎる友達や/人に言えない悲しみすら/風が運んでしまう街 ~~

    吉田拓郎ではもう一曲「ペニーレインでバーボン」もなつかしい。
    表参道の喫茶店「ペニーレイン」はなくなってしまって、もう行きたくても行けない。

    キョンキョンには特別な思い入れはなかったですが、この本を読んで素の小泉今日子さんに対する好感度が上がりました。
    学校の勉強が嫌いで、アイドルになってから中退を勧められて学校をやめたそうです。
    そしたら勉強が好きになった。学校をやめたことがコンプレックスになるのが嫌でたくさん本も読んだと書いています。

    文庫本を1冊持って1人で喫茶店に入るのが好きらしいし、すっかり読書が生活習慣に溶け込んでいたのですね。
    「この本読みたい!」という気にさせてくれるらしい小泉今日子さんの書評の本も読んでみたくなりました。

    単に、"こんなこと"や"あんなこと"があった、という思い出話にすぎない内容でしたが、なぜかとても素直な気持ちにさせてくれる本でした。

  • 面白かったです。
    小泉今日子さん、文章も良いなぁ。
    飾らず真っ直ぐで、キョンキョンの声で再生されました。最後から二番目の恋、好きだったな。
    ヘビーな出来事も経験だ、と受け止めて、これからも強く生きられるのだろうと思います。
    寂しがり屋だけど一人好き、というところに勝手に親近感です。あと、読書家さんなのですね。MILK着られるのかっこいい。
    誰も見ていない時に自分自身を大事にしてあげられるのは大人の女の醍醐味。
    続けることは、変わり続けること。
    ふむふむ。
    キョンキョン、書評集もあるのですね。読みたいです。

  • まるで小説のよう。

    僭越ながら文才があるのだろうと感じた。

    案外赤裸々に綴ってあり、50歳を目前にした等身大の小泉今日子が垣間見れた。

  • ゆるく読めるキョンキョンのエッセイ。
    アイドル時代のことも含め、キョンキョンの自然体な日常が垣間見える。

    ミステリーとかサスペンスとか続けて読んで疲れたので、箸休め的に読むのにちょうど良かった。

  • 私より少し歳上だけど、同じ昭和世代としてその頃の原宿を思い出しながら読みました。芸能人の彼女と一般人の私では住む世界が全く違うのに、何故か親近感のわくエッセイ。小泉今日子さん、好きだなー。

  • キョンキョンの書くエッセイは
    サラリと読めて、くすりと笑えて楽しいはずなのに
    読み終わるとなぜかいつも少しだけ切ない。
    十代半ばでアイドルになって今はもう50代。
    どんな時でも、目の前の出来事を
    そのまま受け止めてきた強さと優しさが
    文章の隙間隙間からこぼれ落ちてくるようなエッセイと
    今まで知らなかった家族の話、夭折してしまったあのアイドルの話・・・
    私の週刊誌的好奇心すら、たっぷり満足させてくれるという
    なんともお得な一冊でした。

  • ほぼ一気読み。

    少女の頃のキョンキョン、おませな中学生時代のキョンキョン、本人にも訳がわからないまま一躍スターダムを登りつめた頃のキョンキョン、「アイドル時代」の恋するキョンキョン、大切な人たちとの出会いと別れを経験して素敵な大人の女性になったキョンキョン。いろんなキョンキョンに出会える一冊。
    とくべつ大ファン、というわけではないけれど、憧れの存在、かな。キョンキョンを見ていると、年をとることに対してポジティブになれる。大丈夫、私たちにはキョンキョンがいる!と思える。こんなに素敵に年齢を重ねているキョンキョンの存在は、後から続くものにとって、とても心強い。

    キョンキョンの中の「原宿の思い出」に、私の中の「原宿の思い出」を重ねながら読んでいた。今ではほとんど足を運ぶこともないけれど、10代後半〜20歳くらいの頃はよく買い物に行ったりしていた。原宿から渋谷へと続く「キャットストリート」と呼ばれる小径にあった小さな雑貨屋さんでアルバイトをした時期もあった。よく知った街だった。と同時に、いつまでたっても馴染めない、永遠の憧れの街だった。登場するお店や建物の名前に思わず「あー、あそこね!」とか「あった、あった!」と思わず心がはずむ。今ではもうなくなってしまったお店ばかり。キョンキョンとは微妙に世代が違うから知らない名前も出てきて、あー、この時代の原宿に行ってみたかったなあ、と思った。

    キョンキョンの家族もひんぱんに登場する。昔つき合っていたボーイフレンドたちも。大切な人たち、そして小雨ちゃん(愛猫ちゃん)とのお別れも。こんなにセキララに語ってしまって大丈夫なのだろうか、と読んでいるこちらが心配になってしまうくらい、正直な言葉。信用できる大人の言葉。

    とくに印象的だったのは、「彼女はどうだったんだろう?」。若くして自ら命を絶ってしまった岡田有希子さんの思い出を語っている。

    お父さまを亡くした日の不思議な再会にふれる「天使に会ったのだ」は、読んでいて涙が出た。

    最強だと思ったのは、「彼女からの電話」。友達の女の子に、当時つき合っていたボーイフレンドをとられてしまうお話。言い出せずに泣き出してしまう彼女。秘密が明るみになると、「あたしたち少女マンガみたいね」と赤ちゃんみたいに可愛い笑顔で言ってしまう彼女。彼女の顔を見たら「怒りも悲しみの感情も湧かなかった」というキョンキョン。
    「強いなぁ、涙も笑顔も使い道を知ってるなぁ、女としてなんか強いなぁ、逞しいなぁ、なんて感心してしまう気持ちの方が強かった。軽い敗北感みたいなものだけがこころの中に残った。(…)あれは私にとって人生の分かれ道というか、女としての生き方みたいなものを考えさせられた初めての瞬間だったのだ。」という。

    そして伝説の朝ドラ「あまちゃん」を振り返った「アキと春子と私の青春」。アキちゃんこと能年玲奈ちゃん(現「のんちゃん」)へ、先輩として贈るエールが頼もしい。
    「その火を飛び越えて来い!」(二回言ってる)

    お母さまとお姉さまとのお出かけを記した「四月某日の手記」。ノスタルジックな時間を抜けて、「今・ここ」の時間に戻ってきたキョンキョン。また一人家族を喪い、残された者たちは、失意の中でも生きていかなければならない。なんでもないほのぼのとした日常を楽しく、たくましく生きている。そんな風景が、たまらなく愛おしく、言いようのない切なさがふと押し寄せてくる。「なんだろう? こんな時、家族だなと思う。少し泣きたくなる。」

    人生って、ひとりでも、誰かといても、ぜんぶの瞬間がちょっとかなしくて、せつなくて、そして愛おしいんだ。

  • こんな小泉さんは知らなかった。
    読んでいてこんなに心地よい文章は初めて。

  • 今まで読んできたエッセイはクスッと笑えるものが多かったが、キョンキョンのは切なさがたくさんあるエッセイだった。

    死がたくさんあって、そういうのも全部含めた私の人生、私のエッセイっていう感じがした。

    もう戻ることはない時間とたくさんの経験の中で彼女はさらに素敵な人になっているなぁ。

    能年玲奈ちゃんも出てきて個人的にすごく嬉しかった!!

  • 2021.11.6
    同世代のキョンキョンのエッセイ。
    自分の生い立ちや家族のことを赤裸々に描いているのが、今でのエッセイとだいぶ違う印象。
    愛猫とのお別れは号泣もの。

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著者プロフィール

【小泉 今日子】
神奈川県生まれ。1982年『私の16才』で芸能界デビュー。以降、歌手・俳優として、舞台や映画・テレビなど幅広く活躍。2015年より代表を務める「株式会社明後日」では、プロデューサーとして舞台制作も手掛ける。文筆家としても定評があり、著書に『黄色いマンション 黒い猫』(スイッチ・パブリッシング/第33回講談社エッセイ賞)、『小泉今日子書評集』(中央公論新社)など多数。

「2023年 『ホントのコイズミさん WANDERING』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小泉今日子の作品

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